二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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日常とは

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 初めは小さな違和感だった。
 あれから無事みんな普段通りの生活に戻り、お腹が空いたという子どもたちのためにご飯を作ろうとし手が震えた。

 「あ」

 水を入れていた鍋を運ぼうとしてぶちまけてしまい、濡れる床に溜め息をつく。
 結構な音を立ててしまったようで、何事かと慌てて部屋に駆け込んできたエルたちに申し訳ないと謝った。

 「ちょっと手を滑らせてしまって。すいません、すぐ片付けるので……アズ?」

 気にせず子どもたちと遊んできてくれと言おうとし、何故か進みでてきたアズに首を傾げる。
 もしかして拭くのを手伝ってくれるつもりなのかと気にしなくていいと止めようとし、次の瞬間床に溢れていた水が浮き上がる光景にポカンと口を開けてしまった。

 「すててくる」

 「え?あ、ありがとうアズ」

 初めて見た光景に、なるほどそんな使い方もあるのかと勉強になった。

 「ケガは?どこもぶつけたりしてない?」

 更には心配したエルが怪我がないか尋ねてくるが、ないと言えば良かったとご飯の支度を手伝ってくれようとする。

 「エル?あの、私がしますからエルは繋たちと遊んでーー」

 「はいはい、遊びはおしまい。今からご飯作り。ほら、みんな手伝って~」

 「はーい」
 「まだあそぶ」
 「あそびたーい」
 「ぎゃうぎゃう!」

 素直に手伝いを始める繋と、まだ遊び足りないと口を尖らせる真たち。
 ならばここはいいから遊んで来ていいとエルたちに薦めようとしーー

 「手伝わないならご飯はなしね。愛依たちの分はオレがもらっちゃうから」

 「「「っ!やっ!」」」

 エルの脅しにそれはイヤだと首を振ると駆け寄りエルと一緒にご飯作りを手伝ってくれる。
 何が何だか分からない内に話しが進んでしまい、しかし1人で作るより早く済むかと手伝ってもらうことにするのだった。
 それからというもの、ご飯時になると必ずと言っていいほどエルたちが手伝ってくれるようになり、力仕事も進んでしてくれるようになるのだった。


 そして夜、普段なら一度寝れば朝までぐっすりなはずの縁には珍しく深夜に目が覚めるようになってしまった。
 何故だ?と首を傾げながらも再び寝ようとするが、数時間するとまた目が覚めてしまう。
 ならば気分転換に散歩でもするかと部屋を抜け出そうとするが、何故か誰かしらが縁に気付き散歩に付き合ってくれる。
 眠いだろうから1人でいいと言ってもみたのだが……

 「これは俺たちのためだ。俺たちが安心したいからしてるだけで縁が気にすることじゃない」

 セインたちはそう言ってくれたが、やはり申し訳なくなり夜の散歩は諦めることにした。
 だがやはり目は覚めてしまうもので、考えた結果部屋内をウロウロと徘徊し、吸い寄せられるように部屋の隅で座り込むと少し気分が落ち着いた。

 「………なんでそんなとこで寝てるんだよ」

 「あの……なんか落ち着くので」

 狭い所が好きなのはやはり元日本人だからだろうか?
 今まで然程気にしてはいなかったが、思いの外楽になった。
 だが縁はそれで落ち着いても皆がそうとは限らず、縁がいないと落ち着かない、寂しいと子どもたちにも言われてしまい結局ベッドに戻ることになってしまう。
 そうなればまた眠れない夜が続いてしまい、寝不足に薄っすら隈が出来てしまった。


 そしてマーガレットたちに礼を言おうと町に向かう途中。
 普段ならルーに町近くまで運んでもらい、そこから歩いて行くのだが、何故か下りることが出来ず固まってしまった。

 「縁?」

 「あの、えっと……」

 自分でも何をしているんだと頭で分かっているのにルーの背中から下りることが出来ない。

 「お前の乗り心地が悪くて酔っちゃったんじゃない?ねぇ、今日はもう帰ろうか。あの人たちならまた今度会いにいけばいいよ」

 「えっ、オレのせい?気持ち悪い?ご、ごめん、すぐ帰ろう。しっかり掴まっててね」

 「ち、ちがいます!ルーのせいじゃなーーっ」

 心配してくれるのは有り難かったが、準備なく凄い速さで空を駆け抜けられたおかげで本当に車酔いならぬドラゴン酔いをしてしまう。
 帰宅早々目を回し倒れた縁に、なんてことするんだとルーが皆から総責めをくらうのだった。



 「………リル」

 「気が付いたならば何も遠慮することなどない。家族とは互いに支え合うものなのだろう?」

 「けど……」

 ここ数日皆の態度がおかしいのには気付いていた。
 正しくはおかしい縁に皆が気遣い優しくしてくれていたのだが。
 みんなに気遣わせてしまったと落ち込んでいれば、それだけ愛されているのだから素直に甘えておけばいいとリルに言われた。
 最近、明らかに自分らしくない謎の行動ばかりだった。
 手が震え鍋を落としたり、落ち着かないと部屋の隅に座り込んで寝てみたり。やっと外に出たかと思えばルーの背中から下りることが出来なかったり。
 人の心とは難しいものだ。
 もう大丈夫なのだと頭では分かっていても、された痛みに、感じた恐怖に知らず知らずの内に行動に出てしまう。

 「それほど愛さえているのは其方が皆をそれほど愛しているからだ。ならば甘えて何が悪い。甘えられて救われる人間もおるのだ。我もそう。我に出来ることがあるならば何でも言うがいい」

 「………ありがとう、リル」

 背中を押してくれたリルをギュッと抱きしめると、愛しい人たちが待つ家へ駆けていくのだった。
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