二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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いい子

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 「ケイのママなの!」

 「ミャミャミャー!」

 可愛いなぁ。
 言葉から明らかにケンカをしているのだが、周りから見れば子猫とお話しする可愛らしい女の子にしか見えず、大人たちはとても微笑ましくニコニコと2人を見守るのだった。
 
 「いやいやいや止めようよ」

 唯一エルだけが冷静にーー

 「繋がケガでもしたらどうすんの!?女の子なんだから傷でも残ったら大事じゃん!」

 しっかりと兄バカだった。
 
 「ねぇ、ちょっと止めーーってなんでオレの頭を撫でんの!?」

 「可愛いなぁと」

 普段それほど態度に出すことはないエルだが、こういう時にああちゃんとお兄ちゃんなんだなと感じる。
 母親が少し放任主義だからかもしれないが。
 何故こうなったかと言えば、縁の膝に乗る子猫に繋が焼いたからである。
 漸く抱っこ紐から出てきたかと思えば、縁の膝に乗り撫でろとばかりに子猫が手に甘噛みしてきたため撫でてやっていたのだが、それを見た繋が自分もと近寄らうとしたがまた威嚇されてしまった。
 だが落ち込み縁に抱き着こうにも子猫がおり抱き付けず、どうしようもない感情に猫とのケンカになってしまったのだ。
 
 「ケイの……ケイのママだもん!ねこさんどいて!」

 怒っているのにねこさん呼びが可愛い。
 もう少し見ていたかったが、全く動く気のない子猫についに繋が泣き出してしまった。
 
 「ゔぇ~ん。ママ……ママ、ケ、ケイのだもん。ケイ、の、なんだ、もん…」

 これは流石に可哀想だと子猫を下ろそうとするが、それが分かったのかしがみ付いてくる子猫に苦笑いしてしまう。

 「またあとで撫でてあげますから。ね?」

 「ナァ」

 イヤだとばかりに服に爪を引っ掛けてくる子猫はもはやこちらの言葉が分かっているとしか思えないが、それより泣く我が子の方が先だと仕方ないが子猫には下りてもらい繋を膝に乗せてやる。
 グズグズと鼻をすすりながらも抱きついてくる繋の背中を撫でてやれば、少しずつだが落ち着いてきた。

 「こら、それはダメ」

 子猫はどうしたかと見れば、膝に乗る繋の足に向けて爪を伸ばしていた。
 自分の場所を取られたと思ったのか知らないが、いくらそれほど威力がないとはいえ我が子を傷付けられるのを許しはしない。
 縁が注意すればシュンとし力なく鳴く声に完全に言葉が分かっているとしか思えないが、縁の言う通りに止めた子猫を片手ですくい上げると肩に乗せてやる。

 「今はそこで我慢して下さい」

 「ミャー」

 大人しく肩に乗る子猫を一撫ですると繋の背中をポンポンと叩いてやる。

 「ーーーっておかしくない!?いや、絶対おかしいよ!」

 エルのツッコミが入った。
 
 「エル、町中ですからもう少し静かにーー」

 「してられないでしょ!ソイツ絶対猫じゃないよ!」

 確かに縁もそう思ったが、ではこの子猫は何かと聞かれれば猫としか言いようがなく分からない。
 ならばと子猫に尋ねようにも、答えられても猫語が理解出来ない縁たちには理解することが出来ないのだ。

 「彼の言う通りだよ。その猫は明らかに君の言葉を理解してるし返事をしている。普通の猫なら有り得ないよ」

 それまで黙っていたジンもその子猫は怪しいと眉間に皺を寄せており、マーガレットもジンの言葉に頷いている。

 「流石に人の言葉を話してはないけどね。けどアンタの言葉も繋の言葉にも反応してるのはおかしいよ」

 皆が皆おかしいと言うが、ではどうすればいいのだろうか?
 置いていくのは簡単だが、そうなればまた先程のように誰かしらに痛めつけられるのではないかと心配になってしまう。

 「エル、この子が魔獣である可能性はありますか?」

 知能が高い魔獣か、もしくは子猫に化けた何かであるというならば話しは早いのだがーー

 「………たぶん違う。魔力は感じないし、あったとしてもオレが感じないってことは微々たるほどしかないってことだから姿形を変えられるはずがない」

 もしかしたらと確認したが、その可能性は低いと言われてしまい縁にはもはや答えが出せなかった。
 エルも怪しいと言うが子猫の正体は分からず戸惑っている。
 実際本当に子猫が魔獣や何かだったとしても、力があるならば子どもたちに痛めつけられるなんてこともなかったはずで、そもそもこれほど縁に懐くということが有り得ないと言う。

 「特に何かされたわけでもありませんし、少し様子を見ましょうか」

 捨て置くことは簡単だが、もしまた先程のように傷付けられ下手をすれば死んでしまったら折角助けた命がなくなるのは後味が悪い。
 子猫の様子からも縁に危害を加えるようには思えないため暫くは保護し様子を見ることにするのだった。

 「いい子にね?」

 「ミャー」

 可愛らしい鳴き声と共に頬に擦り寄ってくる子猫に微笑むのだった。



 




 
 
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