二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
328 / 475

ドヤァ

しおりを挟む
 本人たちは真剣なのかもしれないが、周りもそうかと聞かれればそうでもないということがある。

 「ママ、ねこさんすき?」

 「ええ。とても可愛くて好きですよ」

 茶毛に青い瞳は可愛く、元々動物好きでもあった縁は子猫をとても気に入っていた。

 「ケイより?」

 子どもらしい可愛い質問に微笑む。
 
 「そうですねぇ。可愛らしい猫さんも好きですけど…可愛いくて優しい繋が私は大大大好きですよ」

 「……うわぁ、すっごいドヤ顔」

 どうだとばかりに子猫を見上げる繋にエルが呆れていた。
 動物好きな繋には珍しくケンカ越しだが、繋には悪いがその怒り方すら大人たちから見れば可愛く止めるに止められない。
 悔しいのか唸り声を上げる子猫を撫でつつ、のんびりお茶をするのだった。



 それから暫くして子猫を連れ帰宅したのだが、案の定というか、やはりと言うべきか子猫は何故か縁意外に懐かず、子どもたちはママに近づけないと泣いてしまった。
 
 「そいつ……猫じゃねぇだろ」

 「ってか、コイツなんで縁から離れねぇんだよ!」

 「「「「ママ~」」」」

 家族からの捨ててこいコールにどうしたものかと戸惑う。
 噛みも引っ掻きもしてはいないが、近寄るなとばかりに威嚇する子猫に仲良くしようにも誰も近付けないのだ。
 ただ一人縁を除いて。
 それこそどこに行くにも縁の後ろを付いてくる子猫は可愛らしいものだが、これでは誰かに子猫を託すどころか縁以外に懐くかすら怪しい。

 「逆にもう他の方に託した方がこの子も諦めますかね?」

 「どうだろな。下手すれば脱走して帰ってきそうだ」

 いっそのこと手放した方が子猫も諦めがつくかもと縁が言うが、それは難しいのではないかとセインが唸る。
 ジークも頷いており、だが捨て置くことも出来ない。

 「子どもたちのためにもやっぱり手放した方がーー」

 「ガウッ!」

 「わっ!?リ、リル?どうしーーあっ」
 
 トコトコとリルが近付いてきたかと思えば、目の前で一鳴きする。
 出会った初めの頃以来縁に対して吠えるということもなかったためかなり驚いたが、よく見ればその視線は縁ではなく縁の膝に向かっていたため視線を落とせば子猫がコテンと気絶していた。
 大人でさえ驚くような鳴き声だ、子猫が驚かないわけがなく恐怖で気を失ってしまったのだろう。

 「其方たちは少々優し過ぎる。己が立場が分かっていない小童にはこれぐらいしてやらねば分からんぞ」

 「…立場、ですか?」

 「そうだ。可哀想だからと手を貸してばかりではいつまで経っても独り立ち出来ぬ。それを抜きにしても世話になっている立場でまるで自分の方が上だと勘違いしている小童は1度しっかり叱ってやらねば」

 リルの言葉に甘やかしてしまっていた自分を恥じた。
 子猫の態度に困りながらも自分にしか懐かないことに少しだが嬉しさもあったのだ。
 だが共に生活する以上可愛いからとそれが許されるわけもなく、どちらが上か教えておかなければならない。
 セインたちにもリルの言葉を伝えれば、なるほどと頷き手伝ってくれる。
 少々可哀想だが、セインたちにも吠えられ威嚇されれば尻尾を丸めながらも勝気に鳴くことはなくなった。

 「君が嫌いだからじゃないんです。彼らは私にとって大切な家族だから嫌いになってほしくないんです」

 力無く子猫に、決して嫌いだからしているわけではないと言い背を撫でてやる。
 
 「怖い目に合ったからこその防衛本能かもしれませんが……言ったでしょう?私たちは君を傷付けたりしないって。私も、私の家族も君を傷付けることはありません」

 だから怖がらなくていいと言い続ける。

 「繋だって泣きながらも1度だって君に手を出しはしなかったでしょう?戦えばきっと勝てるのに言葉で怒ることしかしなかった」

 魔法を使える繋も、力が強い真たちも泣きながらも子猫に手を上げることなどせず、きっと考えもしていないに違いない。
 優しく可愛い子どもたち。
 だから大丈夫だと言い続ける縁に、力無くだが返事をするように鳴く子猫を褒めるように撫でてやるのだった。
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...