二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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知ったからには

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 ご機嫌で自分を洗ってくる双子にリルは苦笑いするしかなかった。

 「私がいない時に子どもたちに簡単なお仕事を任せようと思うんですけどリルも手伝ってくれますか?」

 「構わない」

 彼のことだ、そう無理難題を言う筈がないだろうと出来ることならと頷いたのだがまさかこのことだったとは。
 以前にも血を落とすためと双子には洗われたことはあったが、再びその機会が訪れようとは思っていなかった。
 こうして彼らと家族になったのも偶然であり奇跡なのだ。
 本来ならフェンリルである自身に近づこうと思うものなど人間どころか魔獣ですらそういない。
 倒そうと刃を向けてくる者が殆どの中、自分たちは家族だというエニシに負けたのだ。
 出会い頭に噛み付き傷付けたにもかかわらず怒ることなく怪我を治し魔力を分け与えてくれた。
 こんな人間もいるのかと驚き、そんなお人好しで大丈夫かと心配にもなった。
 ふわふわですねと抱きつき笑う彼に毒気を抜かれ、望まれるまま家族になった。
 自分が従魔になったのだから危険なことなどありはしないだろうと思っていた矢先、エニシが攫われ救出に向かえば泣き助けを求める彼の姿に自分の無力さを思い知った。
 出会ってから初めて見た涙に守ってやれなかったと後悔で胸がいっぱいになり、遅くなってすまなかったと謝れば逆に助けに来てくれてありがとうと礼を言われてしまった。
 大切なものを失っていたかもしれないのだと傷付くエニシを見て初めて恐怖というものを感じた。
 自分の中でそれほど彼の存在が大きくなっていたのだと。
 大好きだと笑う姿。
 ふわふわですねと抱き付き顔を埋める姿。
 運動がてら狩りに出かけ、帰ってくれば当たり前におかえりと迎えてくれる彼。
 初めて出来たに自覚はなかったが、居心地の良さは感じていた。

 「…………たすけて」

 漏らされた震える声に、自身の血で赤く染まるエニシの姿に怒りのまま男に噛み付いた。
 自分がもう少し早く着いていれば、自分にもしもっと力があったなら、彼が傷付き涙することはなかったのではと何度も考えた。

 「リルがいてくれたから助かったんです。ありがとうリル。助けに来てくれて本当にありがとう」

 文句の1つでも言ってくれれば謝ることもできたが、そう言われてはもう何も言うことが出来ずその小さな身体に自分から擦り寄るのだった。
 もしかしたら失っていたかもしれない温もりに、ああこれが家族かと実感した。

 「リルきもちいい?」

 「リルきれいなった?」

 エニシほどではないが一生懸命洗ってくれる双子に返事をするように軽く鳴いてやれば、身体を拭かれ完了だと双子が笑顔で駆けていく。
 彼に似た愛らしい子どもたち。
 母親を目の前で傷付けられながらも自分を家族だと受け入れこうして笑ってくれる。
 
 「偶には頼みも聞いてやらねばな」

 誰でもない自分に手伝ってほしいと頼み込んできたエニシ。
 自身のふわふわな毛を気に入っている彼だからこそ子どもたちに洗うよう頼んだのだろう。
 毛の具合など気にしたことはなかったが、時々一緒にする昼寝はリルも気に入ってたりする。
 彼の魔力を感じ寄り添い寝るのはとても気持ちよく、エニシもエニシでふわふわで気持ちいいと眠れるのならば嬉しかった。

 「さて我は褒美に何を作ってもらおうか」

 以前作ってもらったカラアゲというものも美味かったが、アイスという冷たいものも美味しかった。
 それまで魔力で腹を満たしていた自分にとって彼の料理はかなりの驚きであり、それを教えてもらい感謝である。

 「両方でいいか。そのためにも食材は多い方がよかろう」

 育ち盛りの子どもたちもいるのだ。
 彼の番である獣人もいることから作り過ぎて捨てるということにもきっとならない。
 少ないより多くあって困ることないだろうと狩りにでもいくかと立ち上がる。
 発情期はまだ数日かかるため、それまでに準備をしておこうと決心すると褒美にと作ってもらう材料をとりに森へ向かうのだった。

 
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