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予想外の
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「「ママおなかすいた~」」
「…………もう、ですか」
子どもの食欲を舐めていた。
いや、獣人の食欲を、だろう。
日々増えていく量と回数に、これは自分が勝てないはずだと納得した。
先程昼食を食べたばかりなのだが、双子はそれから1時間経たずしてお腹が減ったと催促し始めた。
お昼ごはんを食べなかったわけでも、量が少なかったわけでもない。
むしろ縁と似たような量を食べていたはずであり、未だ消化中の縁には理解が出来なかった。
あまりの食欲に心配になりジークにも聞いてはみたのだが……
「普通だろ。むしろこの2人は少ない方だぞ」
………普通。………少ない方。……………これで?
「でもジークたちはご飯時以外にそんなに食べませんよね?」
小腹が空いたとアレンなど時々催促してくるが、2人のように数時間おきなどでは決してない。
「そりゃこれ以上成長しねぇからな。身体が出来上がっちまえばある程度は自分で調整出来るだろうが、この歳じゃ無理だな」
まだ小さいからこそ消費が激しく量が必要になってくるらしい。
「順調に育ってくれているなら嬉しい限りですが……やっぱり私には似てくれないんですね」
「諦めてなかったのかよ」
着々と育ちつつある2人に顔は似ても体格は無理だったかと諦める他ないのだった。
そこは繋に期待しよう。
「もう少ししたらオヤツの時間なんですけど……我慢できない?」
「「できない!」」
こうもキッパリ言われてしまえば我慢するなと言うのも酷だろう。
何が食べたいか聞けばおいしいの!と言われ、悩みながらも諦めて準備に取り掛かるのだった。
「え?なになに?何なの?」
丁度良くエルを見つけたため確保する。
双子へオヤツを作ると言えば快く引き受けてくれた。
「オレも食べる方だけど、獣人ってすごいんだね」
「ね。私はまだお昼ごはんでさえ消化出来てないのに」
家族の中で自分が一番貧弱なのではと心配になってくるのだった。
「何作んの?」
「んー。量がいるのでフライドポテトにしましょうか。切って揚げるだけなので楽ですし、芋なら少しは腹持ちもいいでしょう」
味付けは色々あるだろうが、まず嫌いな人などいないだろうフライドポテトにすることにした。
ついでに繋たちにはジャガイモではなくサツマイモで作っておくことにする。
「熱いですからちゃんとフーフーしてからね」
「「はーい」」
待ちきれず突撃してきた双子を宥めつつ揚げたてを与えれば勢いよく食べ始める。
「………まるで私がご飯を与えていないかのような食べっぷり」
「はははははっ、すっご。でも本当に美味しそうだね。オレも食べていい?」
「いいですよ」
美味しそうに頬張る双子に触発されたのか並んで仲良く食べ始める。
流石に3人ともなると減るのも早くーー
「いや、早すぎでしょ!?ってリルも?」
双子に隠れていたが、よく見れば足下でリルが子どもたちに差し出されるまま口を開いていた。
4人もいれば減るのが早いのも当たり前である。
催促される前にと汗を流しながらも子どもたちが満足するまで揚げ続ける。
「なぁさっきからいい匂ーー。それ俺も食っていい?」
アレン(絶望)の到来にロン(手伝い)を召喚した。
泣きそうな顔で助けを求める縁に、部屋を見て何があったのか大体察したのか嫌がることなく手伝ってくれる。
「みんなどこにそんな量が入るんですか?」
「胃袋」
それはそうだろう。
だがそんなことを聞きたいんじゃない。
「私は見てるだけで胸やけしそうです」
「お前はもう少し食え。最近また減ってきただろう?」
なぜバレているのか。
「最近少し暑いじゃないですか。それでその……」
暑さにより食欲が落ちているのは自覚はあった。
だが無理に食べても逆に具合がなるため量を抑えていたのだが、ロンの指摘にまるで先生に怒られたような気持ちになってしまう。
「まぁ食べれているならまだマシか。具合が悪かったらすぐ言うんだぞ」
「お前は縁の母親か!」
アレンのツッコミに皆が笑う。
ここ最近、というか翔が生まれた辺りからロンが口うるさ……心配症になった。
母親なのだから、翔がいるのだから気を付けろと度々注意される。
「ありがとうございます。ロンがいるなら心強いですね」
「俺もいるからな!」
張り合うようにアレンも言ってきたため笑って頷いておく。
「じゃあ揚げるの代わってもらえますか?アレン」
「あ、はい」
宣言した手前断わることが出来ず素直に代わってくれるのだった。
というか子どもたちの手が止まらないことに恐怖しかなかった。
「…………もう、ですか」
子どもの食欲を舐めていた。
いや、獣人の食欲を、だろう。
日々増えていく量と回数に、これは自分が勝てないはずだと納得した。
先程昼食を食べたばかりなのだが、双子はそれから1時間経たずしてお腹が減ったと催促し始めた。
お昼ごはんを食べなかったわけでも、量が少なかったわけでもない。
むしろ縁と似たような量を食べていたはずであり、未だ消化中の縁には理解が出来なかった。
あまりの食欲に心配になりジークにも聞いてはみたのだが……
「普通だろ。むしろこの2人は少ない方だぞ」
………普通。………少ない方。……………これで?
「でもジークたちはご飯時以外にそんなに食べませんよね?」
小腹が空いたとアレンなど時々催促してくるが、2人のように数時間おきなどでは決してない。
「そりゃこれ以上成長しねぇからな。身体が出来上がっちまえばある程度は自分で調整出来るだろうが、この歳じゃ無理だな」
まだ小さいからこそ消費が激しく量が必要になってくるらしい。
「順調に育ってくれているなら嬉しい限りですが……やっぱり私には似てくれないんですね」
「諦めてなかったのかよ」
着々と育ちつつある2人に顔は似ても体格は無理だったかと諦める他ないのだった。
そこは繋に期待しよう。
「もう少ししたらオヤツの時間なんですけど……我慢できない?」
「「できない!」」
こうもキッパリ言われてしまえば我慢するなと言うのも酷だろう。
何が食べたいか聞けばおいしいの!と言われ、悩みながらも諦めて準備に取り掛かるのだった。
「え?なになに?何なの?」
丁度良くエルを見つけたため確保する。
双子へオヤツを作ると言えば快く引き受けてくれた。
「オレも食べる方だけど、獣人ってすごいんだね」
「ね。私はまだお昼ごはんでさえ消化出来てないのに」
家族の中で自分が一番貧弱なのではと心配になってくるのだった。
「何作んの?」
「んー。量がいるのでフライドポテトにしましょうか。切って揚げるだけなので楽ですし、芋なら少しは腹持ちもいいでしょう」
味付けは色々あるだろうが、まず嫌いな人などいないだろうフライドポテトにすることにした。
ついでに繋たちにはジャガイモではなくサツマイモで作っておくことにする。
「熱いですからちゃんとフーフーしてからね」
「「はーい」」
待ちきれず突撃してきた双子を宥めつつ揚げたてを与えれば勢いよく食べ始める。
「………まるで私がご飯を与えていないかのような食べっぷり」
「はははははっ、すっご。でも本当に美味しそうだね。オレも食べていい?」
「いいですよ」
美味しそうに頬張る双子に触発されたのか並んで仲良く食べ始める。
流石に3人ともなると減るのも早くーー
「いや、早すぎでしょ!?ってリルも?」
双子に隠れていたが、よく見れば足下でリルが子どもたちに差し出されるまま口を開いていた。
4人もいれば減るのが早いのも当たり前である。
催促される前にと汗を流しながらも子どもたちが満足するまで揚げ続ける。
「なぁさっきからいい匂ーー。それ俺も食っていい?」
アレン(絶望)の到来にロン(手伝い)を召喚した。
泣きそうな顔で助けを求める縁に、部屋を見て何があったのか大体察したのか嫌がることなく手伝ってくれる。
「みんなどこにそんな量が入るんですか?」
「胃袋」
それはそうだろう。
だがそんなことを聞きたいんじゃない。
「私は見てるだけで胸やけしそうです」
「お前はもう少し食え。最近また減ってきただろう?」
なぜバレているのか。
「最近少し暑いじゃないですか。それでその……」
暑さにより食欲が落ちているのは自覚はあった。
だが無理に食べても逆に具合がなるため量を抑えていたのだが、ロンの指摘にまるで先生に怒られたような気持ちになってしまう。
「まぁ食べれているならまだマシか。具合が悪かったらすぐ言うんだぞ」
「お前は縁の母親か!」
アレンのツッコミに皆が笑う。
ここ最近、というか翔が生まれた辺りからロンが口うるさ……心配症になった。
母親なのだから、翔がいるのだから気を付けろと度々注意される。
「ありがとうございます。ロンがいるなら心強いですね」
「俺もいるからな!」
張り合うようにアレンも言ってきたため笑って頷いておく。
「じゃあ揚げるの代わってもらえますか?アレン」
「あ、はい」
宣言した手前断わることが出来ず素直に代わってくれるのだった。
というか子どもたちの手が止まらないことに恐怖しかなかった。
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