二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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お泊り

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 サウルから了承も得られ、だがいきなりカイだけ置いていくのは可哀想なため縁たちも数日一緒に泊まることにした。
 以前魔法で作った建物にも部屋数にはまだ余裕があったため寝泊まりするにも問題はない。
 
 「私はとりあえず部屋の掃除と洗濯でも手伝いましょうかね。アレンは夕飯用に狩りに行ってもらうとして……2人はどうしますか?」

 未だ縁の膝に乗り張り付く双子にどうするか聞けばーー

 「「かえる」」

 うーん。
 やはり子どもたちの視線に耐えられなかったらしい。
 ならばアレンと狩りにでも行って来てはとどうかと言ってみるが、イヤだと首を振られてしまい仕方がないがアレンには1人で行ってもらうことにした。

 「なら2人はママのお手伝いをして下さい。カイはサウルのお手伝いを」

 「うん」

 「「……………」」

 素直に従うカイとは違い、納得出来ないと口を尖らせる2人を膝から下ろす。
 置いていかないでと付いてくるのを横目で確認しつつ部屋を掃除すると、子どもたちと一緒に洗濯をする。

 「みんな上手ですね。いつもお手伝いしているんですか?」

 「おばあちゃんこしがいたいって。だからみんなでしてるの」

 「それはとても偉いですね」

 「「…………」」

 両隣りに双子を張り付けながらも子どもたちと話し進めていく。
 最初こそ警戒し緊張していた子どもたちだが、縁がきちんと自身の子だと説明し仲良くしてほしいと言ったため普段通り接してくれている。

 「じゃあ頑張るみんなのために今日の夜はお肉にしましょう」

 「「「「「やったーー!」」」」」

 お肉だお肉だと喜ぶ子どもたちに、しかし肉好きの愛依は元気がない。
 ここがイヤなら先に家に帰っていいと言ったのだが、2人はそれに首を振った。
 残ると決めたのならば縁もいつまでも慰めることはせず普段通り家事をする。

 「ねぇねぇアイちゃんおにくすき?ユナおにく大すき!」

 「………すき」

 「エニシお兄ちゃんがおしえてくれたタレもおいしいの。いつもは食べられないからおにくの日はみんなうれしいのよ」

 ふんふん♪とご機嫌で手伝ってくれる少女に、まだ緊張しながらも愛依も少しずつ言葉を返していく。

 「シンいいなぁ。エニシお兄ちゃんがママで。オレもエニシお兄ちゃんみたいなママほしかった」

 「……ママいないの?」

 「じゃまだからどっかいけって。けど今はみんなもおばあちゃんもいるからたのしいよ」

 家族を亡くし、家族に捨てられ、ここにいる子たちは何かしら理由があってここに来た。
 だが今は楽しいと、幸せだと笑ってくれていることに自分がやったことは間違ってなかったと思える。

 「よし、終わりです。夕飯までは時間がありますからみんなで遊んでおいで」

 「「「「「わーい!」」」」」

 「アイちゃんもいこ!」

 「シンも!」

 伸ばされた手に戸惑い見上げきた2人に微笑んでやる。
 行ってらっしゃいと軽く背を押してやれば駆けていく背に良かったと息をつくのだった。

 「………たった一歩。けど大切な一歩です。ね?」

 順調に育ちつつある腹をそっと撫でる。
 成長速度と腹の大きさから言って腹の子はきっと獣人だろう。
 その力を恐れ従わせることを選んだ人間と、その酷い扱いから人間を嫌悪し憎しみを抱く獣人。
 縁にそれら全てを解決する力も、しようとも思わない。
 けれどーー

 「何も教えず、何も知らず、選ばせることすらしないのは間違っていますよね」

 獣人は人間に従うのが当たり前。
 人間に逆らうことは罪だと何も考えず大人に教え込まれた子などまともに育つはずがない。
 だから選ばせた。
 獣人である彼らを敵と見るか、味方とするかと。
 今ここにいるのは数えるほどしかいないが、これから育っていくだろう子どもたちに彼らを恐れることはないと教え、自分たち人間と何も変わらないんだと見てもらった。
 確かに体格も力も獣人が上だが、だからといって彼らの命が人間より重くも、ましてや軽くなるなどありはしない。
 力強く逞ましいアレンに驚き、自分たちとそう変わらない年頃の真と愛依を見て子どもたちは何を思うのか。

 「手をとって笑い合えたらいいですね」

 あれほど縁を愛してくれているアレンたちを見下し蔑むなど絶対に許しはしない。
 人それぞれ感じ方も考え方も違うとは分かっているが、それでも許せることと許せないことがあるのだ。
 アレンたちの存在が縁を生かしている。
 彼らがいるから愛しい子どもたちとも出会えた。
 誰より縁を幸せにしてくれた彼らを獣人だからという理由だけで否定させはしない。
 彼らは番。
 すなわち彼らは縁の半身なのだ。

 「貴方のパパは強く、逞しく、そして何より格好良い。だからーーぜひパパに似てくださいね」

 どちらに似ても愛せる自信はあるが希望だけはしっかりと伝えておくのだった。
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