二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
365 / 475

がんばるぞ

しおりを挟む
 「「ママ……」」

 「ごめんね、ちょっと待っていてくれますか?」

 最近そう言われることが増えた。
 最初はなんで?早く!と我儘を言い甘えていたが、それも顔色悪くベッドに横になる姿にまたママと会わせてもらえなくなるのでと不安になった。
 前に風邪でママが寝込んだ時うつってはいけないと数日離され泣いたのを覚えていたから。

 「大丈夫だ。言ってたろ?真と愛依の弟か妹が今ママの腹の中にいるんだ。いっぱい食う子だからママが疲れちまってんだよ」

 不安そうに立ち尽くす僕たちにパパがそう言い頭を撫でてくれる。

 「ママおなかすいてるの?」

 「ママたべたらなおる?」

 ならご飯を持っていこうと走り出そうとしたが、後ろからパパに捕まえられてしまい離してと暴れる。
 ママを治してあげるのに!

 「待て待て待て。お前らの気持ちは嬉しいが疲れてるつってんだろ。肉や魚はすぐ吐いちまうし、そんなに量は食えねぇよ」

 ならば何ならいいのか?何ならママは元気になるのかと聞こうとすれば、後ろからのしのしという音と共にリルがやってきた。
 口に咥えられている木の籠の中には色とりどりの果物がいくつも詰め込まれている。

 「お、今日もとってきてくれたのか。ありがとな」

 籠を受け取りリルを撫でようとしたパパの手は避けられたが、パパは気にすることなくまたありがとうと言っていた。
 ママや僕たちには触らせてくれるリルだけど、パパたちが触ろうとすればいつも逃げていく。
 ママはリルを抱きしめて一緒に寝ることもあるのに……

 「ほら、これなら持っていっていいぞ」

 渡された赤く丸いそれは最近ママが美味しいと言っていた果物だった。
 ママが美味しいならと僕たちも食べてみたけど酸っぱくて一口でやめた。

 「ママこれたべたらげんきなる?」

 「そうだな。真たちが持っていってくれたらもっと喜んでくれるぞ」

 「「いく!」」

 食べやすいようにと切ってもらい、落とさないよう気を付けながらママがいる部屋まで運んでいく。

 「「ママ~、ごはん」」

 「……ごはん?」

 もうそんな時間だったかと慌てるママにちがうと首を振るとここまで運んできた皿をそっと差し出す。

 「ママたべたらげんきになるってパパが」

 「ママげんきなる?」

 早く食べてと言えば、久しぶりに見たママの笑顔に愛依と2人嬉しくなった。

 「ありがとう。ママのために持ってきてくれたんですね。とても美味しそう」

 おいでと手招きされ寄っていけばギュッと抱きしめてくれる。
 
 「真と愛依のおかげで頑張れそうです。2人も楽しみにしていて下さいね」

 「シンね、いもうとがいい」

 「アイは……アイもいもうと!」

 すでに弟は翔がいるため次は妹がいいとねだる。
 それから妹だったら一緒に何をしようかとママと話していれば、様子を見にきたのだろうアーパパに少しママを休ませてやってくれと言われ愛依と手を繋ぎ部屋を出る。

 「真と愛依もありがとう。2人のおかげで元気が出ました」

 部屋を出ていく時そう言ってくれたママに笑って頷くと、リルを探すため走って庭に向かう。

 「「リル!つれてって!」」

 「……ガウ?」

 あれを食べたママは元気になるとパパが言っていた。
 あれを食べたママも元気になったと言った。
 ならもっと食べればママはもっと元気になる!

 「あれとってきたところつれてって!」

 「ママげんきになるの!」

 だが困ったように鳴き動かないリルに、パパなら何とかしてくれるのかもと再び走るとパパの姿を探す。

 「「パパっ!」」

 「あ?どうした?」

 かなりの勢いでぶつかったのにパパはやっぱり痛がることなく受けとめてくれる。

 「ママげんきする!」

 「ママげんきなるの!」

 「はぁ?」

 こっちに来てとリルの前までパパを引きずっていった。

 「リルつれてっていって。シンいっぱいさがす」

 「アイもママげんきするみさがす」

 興奮しながらも説明すれば、何となく話しを察したジークは悩んだ。

 「今からか?今日はもう食べたんだろう?なら明日にしろ。明日ならパパも一緒に行ってやるから」

 「「本当?」」

 「ああ。悪いがお前もそれでもいいか?面倒だろうがコイツらも縁を早く元気にしたいんだ」

 「ガウ」

 やっぱりパパだと愛依と頷き合う。
 強くてカッコいいパパが2人は大好きだった。

 「ほら、リルも頷いてくれたから今日は大人しくメシ食って風呂入って早く寝ろ。起きるのが遅かったらおいていくからな」

 「「やだ!」」

 それはイヤだと首を振るとパパに言われた通り今日は早く寝ることにするのだった。
 次の日両手いっぱいに実を抱え家に戻った2人にママは笑って抱きしめてくれるのだった。

 
 

 

 
 

  

 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...