二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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冗談ですよ?

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 「「「…………」」」

 「…………」

 両者相手を睨みつけたまま一歩も引かず!さぁここからどうなーー

 「いや、何か言ってやれよ」

 つい面白さに心の中で実況をしていたのだが、早々にアレンに突っ込まれ断念した。
 話しもついたのでカイを連れ帰ってきたのだが、おかえりなさい!と出迎えてくれた子どもたちと対面しその場の時が止まった。
 どうするのかなと実況しながらも待っていたのだが、アレンに止められたため仕方なく繋をおんぶしてやると双子と手を繋ぎ家に入っていく。

 「どうしたんですか?ほら、カイもおいで」

 ふと気になり振り向けば俯いたまま玄関先で動かないカイにおいでと声をかける。

 「…………おれ…」

 「みんなで少しお話ししましょう。あとごめんなさいもね」

 「……うん」

 返事はしたが中々足を踏み出さないカイにどうしようかと迷っていればーー

 「そんなとこいたら邪魔になんだろ。さっさと入れ」

 「わっ」

 見かねたアレンがカイの襟首を掴むとズンズンとそのまま中に入っていく。
 キョトンとする繋たちに笑いながらも縁たちも後を追えば、ボンとソファに落とされていた。

 「繋たちもお話ししましょうね。で、終わったらオヤツにしましょう」

 「…………ねこさんなんでいるの?」

 あちらで数日一緒に過ごしたおかげかすんなりとソファに腰を下ろした双子とは違い、なんで?と警戒するように縁の背から離れない繋には大丈夫だからと膝に乗せてやることした。

 「今日からまたカイも一緒に暮らすことになりました」

 「え……」

 その表情からして喜んでいないのが分かり苦笑いする。

 「繋はカイが嫌い?」

 「……………こわいもん」

 実際引っ掻かれるなどの怪我はしていないが威嚇され怖かったのを今も覚えているのだろう。

 「そうですね。怖かったですね。でもね、カイもみんなが怖くて怖くて少し大きな声で鳴いちゃっただけなんですよ」

 人間たちによってされた暴力の数々に、カイも身を守ろうと周りを威嚇していただけなのだ。

 「ケイこわくないもん」

 なんで怖がる必要があるのかと首を傾げる繋にそういえば拾った時の状況を話したことがなかったかと思い出した。

 「ママがカイを見つけた時、カイは子どもたちに叩かれて蹴られていじめられていたんですよ。だから繋を見てもまた痛いことされるかもって怖がってたんです」

 「ケイしない!」

 「そうですね。繋も、真も愛依もそんなことしませんよね。けどカイにはそれが分からなかった。だから近付かないでって鳴いてたんです」

 この人は大丈夫、この人は危ないなど見ただけで分かれば誰も危険な目には合わないだろう。
 理由もなく暴力を受ければ全てが敵に見えてしまうこともある。

 「でもママにシャーしなかった」

 「それはママがカイの怪我を治して上げたからです。繋も叩いたりいじめてくる人より、もう痛くないよって撫でてくれる人の方がいいでしょ?」

 痛いことをしてくる相手より、もう大丈夫だよと怪我を治し自分を守ってくれる相手に懐くのは当たり前だ。
 うんと頷く繋たちに微笑むと、カイを手招く。

 「ママから離れなかったのも怖かったからなんです。またいじめられたらどうしよう?また蹴られたら?叩かれたら?そんなことしない人と離れたくないってママから離れるのが怖かった。ね?」

 「いたいのこわかった。またいたいのやだったから………ごめんなさい」

 誰でも怖い中、不安な中見つけた自分を助けてくれた相手を手放すのは怖いだろう。
 その相手が自分ではない、他の誰かにも手を伸ばしていればもしかしたら自分はいつか切り離されるかもしれないと怯えもするだろう。
 恐怖と不安からの行動だったのだ。

 「ケイこわかった?」

 「………うん」

 年齢は違えど暴力を振るっていた子どもたちと同じ子どもということもあり警戒も強かったのだろう。
 
 「こわかった、から……ママとってごめんなさい」

 「………」

 不安そうに小さな手を握りしめながらも謝るカイに繋が縁を見上げてきた。
 どうする?というように首を傾げる。
 
 「ケイさわってももうおこらない?」

 「うん。いいよ」

 そう言い一瞬にして猫の姿に変わったカイはピョンと飛ぶと繋の膝にのり、どうぞと頭を差し出してくる。

 「わぁ、ふわふわ~」

 「ねーねズルい!アイも!」

 「シンもふわふわしたい」

 ふわふわだと喜ぶ繋に横でそれを見ていた愛依たちも触りたいと手を伸ばしてくる。

 「順番にね。みんなでやったらカイが驚いちゃいますから」

 猫の小さな身体では子どもとはいえ囲まれればかなりの圧迫感があるだろう。
 怖がらせないようにねと注意すれば頬を膨らませながらも、繋が終わるのを静かに待つ2人によく出来ましたと頭を撫でてやるのだった。

 「翔も許して上げてくれますか?」

 「?、みゃんまねんね?」

 「…………」

 一番驚かせただろう翔にも確認したのだが、そもそも泣いたことを覚えてなかったのか不思議そうに首を傾げていた。

 「オレ、翔の将来が心配でしかないわ」

 縁の心の声をエルが代弁してくれるのだった。
 





 




 

 

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