二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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え?あ、はい。

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 久しぶりの再会に自然足が早まった。

 「お兄様、気持ちは分かりますが私を置いていかないでくださいまし」

 「………悪い。つい気が急いてしまった」

 隣りにいたはずの妹がいつの間にやら後方におり、置いていくなと拗ねられた。
 妹も彼に会いたいのは同じなのだ。
 最近は王位を継ぐため本格的に忙しくなってきており、彼が城に来ていると聞いていても会えない日々が続いていた。
 偶に魔道具を使い連絡をもらってはいたため少しは寂しさを紛らわせられていたが、やはり会ってその微笑みを見たいと何度も思っていた。
 だがらこそ今日仕事もひと段落しやっと会えると喜んでいたため無意識に足が早くなっていた。

 「久しぶりですものね。お元気だったでしょうか?」

 「ああ。最近は家族でダンジョンに行っていたらしい。怪我なく帰って来られるのかとあのレオナルドまで心配していた」

 「まあ!彼が!?」

 妹の驚きももっともだろう。
 彼は誰より仕事が出来る人だが人にも自分にも何より厳しい人だった。
 そのせいで周りからは遠巻きにされていたが、エニシに出会い彼もいい方向に変わって来ていた。
 自分と同じように。
 エニシの言葉を考え、彼の温かさに支えられここ数年エリックは多くのことを学んだ。
 それまでの自分の行いを心から反省し、道を示してくれた彼に恥じない人間になれるよう寝る間も惜しんで学んだ。
 ただそのせいで体調を崩した時は彼が見舞いに来てくれ不謹慎だがとても嬉しかった。
 無理をしないようにと約束させられ、だが頑張っているご褒美にと美味しい菓子やご飯を作ってくれたりもした。
 これでもかと甘やかしてもらい身体は怠かったが唯々幸せだった。
 彼がいたから頑張れた、彼がいたから辛くとも耐えられた。
 血が繋がっておらずとも彼だけが自分の家族だった。
 …………いや、今は妹も、家族ではないがレオナルドも側にいてくれる。
 
 「彼は貴方が王になろうとなるまいと変わらず接してくれるだろう。だが仮にも母と慕っているならば力をつけなさい。彼を守れるほどの力を。周りに何を言われても黙らせられるほどの力を」

 レオナルドも気付いてはいたのだろう。
 エニシは優しい。人によってはお綺麗な甘過ぎる人間だと言う奴もいるだろう。
 だがこの世界でどれほどそう出来る人間がいるか。
 甘いと、優しいと言うが、彼はきちんと叱る時は叱るしものの良し悪しも分かっている。
 学ぶことを躊躇うな、人の弱みはいつかのためにとっておけと甘いだけの人間ではないことを少し接しただけでも分かった。
 甘いが、甘さだけではないエニシ。
 普通に生活を送るだけならばそれで問題ないのだろうが、自分たちが彼を巻き込んだ。関わらせてしまった。
 ならばそんな彼を守れるほどの力をつけろとレオナルドは言う。

 「今のこの国の現状では彼を悲しませ傷付けることが多くあるだろう。彼の伴侶のこと然り、彼の子のこと然り。あのフレックでさえその常識で彼を少なからず傷付けた。それが普通なんだと勝手な常識で」

 大切な人を否定されることはどれほど辛いだろう。
 両親に、周りに否定され続けた自分だからこそ彼の辛い気持ちが分かる。
 
 「彼に感謝し、これからも共にいたい思うのであれば貴方がこの国を変えなさい。彼は優しいからきっと貴方にそんなことを言いも望みもしないだろう。私たちは彼に与えられてばかりだ。求めてばかりだ。だが…いや、だからこそ私たちも彼に報いなければならない」

 レオナルドもそう思ったからこそ惜しみなくエリックに知識を与えてくれたと言う。
 国を、何より彼を守れるようにと。
 
 「彼が自身を母と呼ぶことを許したならば分かるだろう?彼は甘い人間ではあるが気に入らない奴を相手にするほど馬鹿でも、ましてや聖人でもない。今の貴方を認めたからこそ許した」

 彼がエリック自身を見、認めてくれているということが何より嬉しかった。誇らしかった。

 「あの………頑張ります。まだまだ足りないものばかりですが、私はあの人に胸を張って、何よりエニシさんの隣りに立っても恥じない人間になりたい……………いえ、きっとなってみせます!」

 エリックの言葉にいつもの厳めしい表情を少し緩め頷くレオナルドに身を引き締めると、課題として出された用紙と今日も向き合うのだった。
 あれから数年、以前より会える回数は格段に減ってはいたがあの時の決意も想いも何一つ変わってはいなかった。
 会えていないからこそ会えた時の喜びは一入だった。
 妹を置いていってしまうほど足速になっていたのは完全に無意識だったが、仕方ないなと笑って許してくれると今度こそ彼が待つ部屋へ2人で向かうのだった。
 だからこそ部屋に入り挨拶もそこそこにーー

 「ママ、ママっ!おうじさま、おうじさまがいる!!」

 そう言って自分を指差す子どもの姿に「お、おうじさま?いや、確かに私は王子だが……」と戸惑うばかりなのだった。
 
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