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甘いです
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繋に代わり抱っこを要求してきた翔を抱え元来た道を並んで歩く。
「ねぇ、ほんとにアイツでいいの?ひょろひょろだったじゃん。殴ったら吹っ飛んできそうだったよ」
出来れば殴らないで上げてほしい。
家族以外には基本好戦的なエルは、いまいち男を雇った意味が理解出来ないのだろう。
「彼に強さは求めていませんよ。むしろ弱そうだと分かる見た目が大事だったんです」
「は?」
大事なのは子どもたちに警戒心を抱かせないような容姿。
今はお婆さんのおかげで彼らも落ち着いてはいるが、中にはそれまで大人たちに暴力を振るわれていた子もいる。
そんな中生活のためにとはいえ、知らない人間をいれるならばとかなり悩んだ結果が彼だ。
「私を抱えるくらいには力がありましたし、妹さんがいたなら多少は子どもたちの相手も苦にはならないでしょう。あの様子なら怒って手を上げるということもなさそうですし、むしろ子どもたち相手にも頭を下げそうです」
「謝るのが癖じゃないかってくらい謝ってたからね」
だからこそ彼なのだ。
子どもたちが怒ってもごめんねと受け入れられる相手が必要だった。
縁はサウルもいたためある程度は許してくれていたが、あのお婆さんでさえ近付くのに数日かかった子もいた。
マルスやフレックも最初の頃は泣いて怯えられたが、肉という餌付けと数時間という滞在時間のため少しずつ慣れていった。
だが共に生活していくとなれば話しは難しくなってくる。
彼には申し訳ないが、子どもたちが見ても受け入れやすいだろう弱そうな見た目が大事だったのだ。
身長は高くとも痩せ細った身体、すいませんと謝まる気弱そうな性格は条件に当てはまっていた。
「だとしてもアイツに条件良すぎじゃない?」
甘いよと言うエルに苦笑いする。
たぶん彼の中での自分は随分優しい人間だと思われているようだ。
「ではエルならどうします?」
「え?」
「食べるにも困る中、弟である幼いアズを抱え、今日の私のように雇いたいという人間が来たとして」
これでもう食うに困ることはない。
暖かい家で、美味しい食事をとり、寒さに震えることもない。
最高の生活ではあるが、それも他の自分より幼い子どもたちの努力の上で成り立っているとしたら。
自分たちのために彼らが汗水流して頑張ってくれている中、自分は簡単な作業を手伝うだけで養ってもらわれているとしたら。
「気分悪いね」
「でしょ?」
それでも縁が彼にそれを強いることをしなかったのは、強いる必要が彼ならば必要がないと思ったから。
「あの彼なら申し訳ないと率先して頼んだ以上に働いてくれるかもしれませんねぇ。稼いだお金で子どもたちに何か買ってくれるかも。楽しみですねぇ」
「………………ソウダネ」
それが狙いだったかとエルが頬を引き攣らせていた。
「彼は人間ですからイリスさんたちと違って町に入ることに問題はありません。お婆ちゃんたちとも顔見知りでもありますから何かあった時すぐに連絡をとれます。お母様のこともあるでしょうから病人の世話も慣れているでしょう」
「つまりエニシの求めてた条件に全部当てはまったってわけね」
その通り。
「なのでお婆ちゃんには感謝してます。あの時彼を受け入れてくれてありがとうございます」
マーガレットがあの時知り合いの頼みを聞いてくれたからこそ彼に出会えた。
断っていたら、縁が行くまでに彼が辞めてしまっていたら、いくらでも可能性があった中で彼を見つけることが出来た。
「まったくアンタは本当に。何かあったら言いな。やっぱりダメだったてんなら私からもアイツに言ってやるさ」
「それ裏切ったが最後地獄じゃん」
「お婆ちゃんは優しいですからそんなことしませんよ?」
「そんなことって言ってる当たり何するか分かってんじゃん!」
何のことやら。
エルは最近怒りっぽいなぁとぼやけば、誰のせいだと怒られるのであった。
「ママ、エルにぃいじめちゃ、めっよ」
「繋!ありがと!」
味方を得たとばかりに繋をギュッと抱きしめるエル。
「いじめてませんよ。ママはエルお兄ちゃんが大好きですからね。ただエルお兄ちゃんと遊んでるだけです」
「とじゃなくて、オレで遊んでんでしょ!」
何故バレたのか。
どんどんツッコミが鋭くなっていくなぁと彼の成長を喜ぶのであった。
「ねぇ、ほんとにアイツでいいの?ひょろひょろだったじゃん。殴ったら吹っ飛んできそうだったよ」
出来れば殴らないで上げてほしい。
家族以外には基本好戦的なエルは、いまいち男を雇った意味が理解出来ないのだろう。
「彼に強さは求めていませんよ。むしろ弱そうだと分かる見た目が大事だったんです」
「は?」
大事なのは子どもたちに警戒心を抱かせないような容姿。
今はお婆さんのおかげで彼らも落ち着いてはいるが、中にはそれまで大人たちに暴力を振るわれていた子もいる。
そんな中生活のためにとはいえ、知らない人間をいれるならばとかなり悩んだ結果が彼だ。
「私を抱えるくらいには力がありましたし、妹さんがいたなら多少は子どもたちの相手も苦にはならないでしょう。あの様子なら怒って手を上げるということもなさそうですし、むしろ子どもたち相手にも頭を下げそうです」
「謝るのが癖じゃないかってくらい謝ってたからね」
だからこそ彼なのだ。
子どもたちが怒ってもごめんねと受け入れられる相手が必要だった。
縁はサウルもいたためある程度は許してくれていたが、あのお婆さんでさえ近付くのに数日かかった子もいた。
マルスやフレックも最初の頃は泣いて怯えられたが、肉という餌付けと数時間という滞在時間のため少しずつ慣れていった。
だが共に生活していくとなれば話しは難しくなってくる。
彼には申し訳ないが、子どもたちが見ても受け入れやすいだろう弱そうな見た目が大事だったのだ。
身長は高くとも痩せ細った身体、すいませんと謝まる気弱そうな性格は条件に当てはまっていた。
「だとしてもアイツに条件良すぎじゃない?」
甘いよと言うエルに苦笑いする。
たぶん彼の中での自分は随分優しい人間だと思われているようだ。
「ではエルならどうします?」
「え?」
「食べるにも困る中、弟である幼いアズを抱え、今日の私のように雇いたいという人間が来たとして」
これでもう食うに困ることはない。
暖かい家で、美味しい食事をとり、寒さに震えることもない。
最高の生活ではあるが、それも他の自分より幼い子どもたちの努力の上で成り立っているとしたら。
自分たちのために彼らが汗水流して頑張ってくれている中、自分は簡単な作業を手伝うだけで養ってもらわれているとしたら。
「気分悪いね」
「でしょ?」
それでも縁が彼にそれを強いることをしなかったのは、強いる必要が彼ならば必要がないと思ったから。
「あの彼なら申し訳ないと率先して頼んだ以上に働いてくれるかもしれませんねぇ。稼いだお金で子どもたちに何か買ってくれるかも。楽しみですねぇ」
「………………ソウダネ」
それが狙いだったかとエルが頬を引き攣らせていた。
「彼は人間ですからイリスさんたちと違って町に入ることに問題はありません。お婆ちゃんたちとも顔見知りでもありますから何かあった時すぐに連絡をとれます。お母様のこともあるでしょうから病人の世話も慣れているでしょう」
「つまりエニシの求めてた条件に全部当てはまったってわけね」
その通り。
「なのでお婆ちゃんには感謝してます。あの時彼を受け入れてくれてありがとうございます」
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断っていたら、縁が行くまでに彼が辞めてしまっていたら、いくらでも可能性があった中で彼を見つけることが出来た。
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