二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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彼からのお願い

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 「アリーさんにお願いしたいんですが、ヨナちゃんの服を何枚か見繕ってきてもらえませんか?」

 そう言われ足を止めたのは数時間前。
 店に向かう途中、エニシにそう頼まれ断る理由もなかったため喜んで引き受けた。

 「私が勝手に選んできても構わないのかしら?もし希望があるようならーー」

 「本人に選ばせて上げて下さい」

 「え?」

 てっきり1人で行ってくるものだと思っていたのだが、行っておいでとヨナの背中を押した彼に驚いた。

 「私じゃヨナちゃんの好きそうなものを選んであげられませんから。アリーさんと一緒に行って可愛い服を選んでもらっておいで」

 突然のことに不安そうな顔をするヨナに微笑むと、楽しみに待ってますねと送り出していた。

 「お代は後できちんと支払いますので。普段着用に数枚と下着なども替えが欲しいです。あと、もしあれば彼女が持っている人形用のものも」

 お願いしますと頭を下げられれば頷くしかなく、行きましょうと手を差し出せば思いの外素直に手を繋いでくれた。

 「ヨナちゃんはどんなのがいいのかしら?可愛らしいリボンがついているものもいいわね。それともフリフリのスカートとかがいいかしら」

 「……………」

 返事がないことに少々不安になっていれば、ふと彼女がずっと腕に抱えていた人形を見せられた。

 「人形?」

 「……いっしょ、がいい」

 「そっか。そうね、お揃いの可愛らしいものを探してみましょうか」

 人形とお揃いがいいという可愛らしいお願いに分かったと頷く。
 夫によって彼女の家族に何があったのかは大体聞いていた。
 そのためエニシが手助けしていることも知っており、彼女がエニシに懐いていることも。
 この幼さで家族を失うのはどれほどの痛みだろう。
 失ったものの大きさもそうだが、何より家族の死を目の前で見たことは全てに絶望するほどの悲しみなはずだ。
 ギルドで泣き叫び母の名を呼んだ時、それまで普通に見えた彼女がどれほどの悲しみの中で耐えていたのか分かった。
 その姿に自分まで泣きそうになり、しかしエニシによって泣き止み眠る彼女にホッとした。

 「おばさんね、子どもが2人いるんだけどどっちも男だったの。だからヨナちゃんみたいな可愛い娘が欲しかったのよ。だから今日ヨナちゃんとこうやってお買い物出来て嬉しいわ。可愛い服いっぱい見て回りましょうね」

 「………うん」

 小さくはあるがきちんと言葉が返ってきたことに喜ぶ。
 やる気が出たため張り切って服屋に向かえば、あれでもない、これでもないと2人で買い物を楽しむのであった。

 「………といってもやっぱりお人形の服は一緒には売ってないわね。似たものはあったけど、結局柄も生地も違うのよね」

 お揃いがいいという彼女のせめてもの希望を叶えてやりたい。
 どうしようかしらと手を繋ぎ店々を回っていたが、ふと目に入ってきたソレにこれだ!と拳を握る。

 「ヨナちゃん、お人形とお揃いの服おばさんが作ってもいいかしら?」

 「つくる?」

 「そう!おばさんお裁縫は得意なのよ。お店で売っているものみたいに上手く出来るかは分からないけど、頑張って作ってみるから完成したらお人形さんと一緒に着て見せてくれるかしら?」

 服を作るというのがいまいち分かっていないようだったが、お揃いだという言葉に嬉しそうに頷いてくれた。
 ならばと早速生地を選びに店に入れば、これがいいというヨナの希望とこれもいいわねと自分でも数枚選んでいく。
 長さは?どんな形がいいかとヨナと話し合いながら家兼店に戻れば、何故か落ち込む夫と生意気な笑い方をする息子たちに出迎えられるのであった。

 「なんなのこれ?」

 「あっ、おかえりなさい」

 唯一変わらず笑って出迎えてくれたエニシにただいまと返す。

 「可愛いのはありましたか?」

 「うん」

 ヨナを抱き抱え何があったかと話す2人はとりあえず置いておき、きっと何かしたんだろう息子2人の頭を叩く。

 「アンタたちは何父親を笑ってんのよ。あなたもお客の前でそんな情けない顔しないの!」

 「うっ、ご、ごめーー」

 「なんで叩くんだよ!悪いのは父さんだよ」

 「そう!父さんがわーー」

 「うっさいっ!だからって自分の父親見下して笑っていいと思ってんの!」

 素直に謝る夫と違い、反抗的な息子2人を叱りつける。
 一体誰に似たのかしら。
 元々親離れが早かった2人だが、そのせいなのかどうなのか時々子どもみたいなことをする時がある。
 成人していると言っても、やはりまだ子どもなのだ。

 「大体アンタたちは…って、何食べてるの?」

 「エニシさんがくれた」

 「エニシさんの手作り」

 「何ですって!?」

 これは金儲けのよか………ゴホゴホッ、また新たな知識が増えたわ!
 そういうことはもっと早く言えと息子たちを叱りつつ、さぁ教えてもらいましょうかとエニシの腕を笑顔で掴むのだった。
 え?怖い?黙ってなさいバカ息子ども。
 

 
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