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「フィーすまないが今日限りで君とは婚約を破棄させてもらう」
「……そうですか」
やっぱりなと思った。
トーマス・エリクソン子爵令息と婚約して早4年。
彼の愚行と愚考は日に日に増していき、今日こうして話しをしたいと突如我が家へ突撃訪問をかましてきたと聞いた時「あっ、今日言う気だなコイツ」と思ったからだ。
婚約前の話しではかなり優秀だったと聞いていたのだが?
「君には悪いが俺は運命の相手に出会ったんだ」
「そうですか」
とうとう頭がイカれたようだ。
「本当に美しい女性でね。また心根もとても美しい人なんだ」
「そうですか」
お前と比べたらみんなそうだろうよ。
「あれほど美しい人には今まで出会ったことがないよ。君とは政略結婚とは分かっているが、それを捨ててもいいと思えるほど一生素晴らしい人なんだ」
「そうですか」
すっげぇな。家捨ててどうやって生きてくんだよ。
「君には本当に申し訳ないと思っている。だが私も1人の人間なんだ。あの美しい人と一生を共にしたいと願ってしまった」
へぇ。………で?
なぜ自分はこんな下らない話しを聴かされなければならないのだろうか?
婚約破棄は自分も望むところだが、なぜコイツの浮気相手の惚気話しを延々と聴かされねばならないのか。
最早無我の境地に入り始めようとした瞬間、扉を叩く音と共にお父様が現れた。
「失礼するよ」
「お父様」
ナイスタイミング!
ホッと息をついたソフィアに、分かっているよとばかりにウインクを返した父に心の中で悶える。
お父様カッコいいっ!!
そう、ソフィアは自他共に認めるファザコンだった。
「トーマスくん、悪いが話しは外で聴かせてもらった。君の希望通り娘との婚約は破棄させてもらおう」
「ありがとうございますっ!!」
こいつ本物のバカだ。
呆れ果てこんなバカ見ているだけ気分が悪くなってしまうわと、にっこりと隣りに腰掛ける大好きなお父様を見つめ心を癒す。
「ただし、これはあくまで君からの要望にこちらが頷いたにすぎない。そのため慰謝料は請求させてもらうよ。構わないよね?」
「え!?あ、あー、あの、その、それは………」
いや、ここまで来て怖気付くとかどんだけ考えなしの能無しなのよ。
そんなことでよく婚約破棄するなんて言えたな。
「安心してほしい。君の家の事情は多少理解しているうもりだ。エリクソン子爵が支払い可能な金額しか請求するつもりはないよ」
「そ、そうですか。それなら……」
………ヤバかった。マジで噴き出すところだった。
あまりにもバカ丸出しの返事は、完全父の言葉を理解出来ていないようだ。
支払い可能な金額というのは、つまり屋敷や領地なと私財全て投げ打れば得られる金額も、ある意味では払える金額ということでもあるのに。
爵位も、領地も、お金も全てなくして彼はこれからどう生きていくつもりなのか。
もはや笑うしかないバカさ加減である。
自分だけならまだしも、彼のこの愚かな行為のせいで家族まで巻き添えだ。
まぁいい気味だが。
いくら私から何とかしてほしいとお願いしても笑って流してた野郎共なので。
いくら最初はこちらからの提案だったとしても、その後の行いようによってはこの話しが流れることもあったというのに。
愚か。それに尽きる。
「……そうですか」
やっぱりなと思った。
トーマス・エリクソン子爵令息と婚約して早4年。
彼の愚行と愚考は日に日に増していき、今日こうして話しをしたいと突如我が家へ突撃訪問をかましてきたと聞いた時「あっ、今日言う気だなコイツ」と思ったからだ。
婚約前の話しではかなり優秀だったと聞いていたのだが?
「君には悪いが俺は運命の相手に出会ったんだ」
「そうですか」
とうとう頭がイカれたようだ。
「本当に美しい女性でね。また心根もとても美しい人なんだ」
「そうですか」
お前と比べたらみんなそうだろうよ。
「あれほど美しい人には今まで出会ったことがないよ。君とは政略結婚とは分かっているが、それを捨ててもいいと思えるほど一生素晴らしい人なんだ」
「そうですか」
すっげぇな。家捨ててどうやって生きてくんだよ。
「君には本当に申し訳ないと思っている。だが私も1人の人間なんだ。あの美しい人と一生を共にしたいと願ってしまった」
へぇ。………で?
なぜ自分はこんな下らない話しを聴かされなければならないのだろうか?
婚約破棄は自分も望むところだが、なぜコイツの浮気相手の惚気話しを延々と聴かされねばならないのか。
最早無我の境地に入り始めようとした瞬間、扉を叩く音と共にお父様が現れた。
「失礼するよ」
「お父様」
ナイスタイミング!
ホッと息をついたソフィアに、分かっているよとばかりにウインクを返した父に心の中で悶える。
お父様カッコいいっ!!
そう、ソフィアは自他共に認めるファザコンだった。
「トーマスくん、悪いが話しは外で聴かせてもらった。君の希望通り娘との婚約は破棄させてもらおう」
「ありがとうございますっ!!」
こいつ本物のバカだ。
呆れ果てこんなバカ見ているだけ気分が悪くなってしまうわと、にっこりと隣りに腰掛ける大好きなお父様を見つめ心を癒す。
「ただし、これはあくまで君からの要望にこちらが頷いたにすぎない。そのため慰謝料は請求させてもらうよ。構わないよね?」
「え!?あ、あー、あの、その、それは………」
いや、ここまで来て怖気付くとかどんだけ考えなしの能無しなのよ。
そんなことでよく婚約破棄するなんて言えたな。
「安心してほしい。君の家の事情は多少理解しているうもりだ。エリクソン子爵が支払い可能な金額しか請求するつもりはないよ」
「そ、そうですか。それなら……」
………ヤバかった。マジで噴き出すところだった。
あまりにもバカ丸出しの返事は、完全父の言葉を理解出来ていないようだ。
支払い可能な金額というのは、つまり屋敷や領地なと私財全て投げ打れば得られる金額も、ある意味では払える金額ということでもあるのに。
爵位も、領地も、お金も全てなくして彼はこれからどう生きていくつもりなのか。
もはや笑うしかないバカさ加減である。
自分だけならまだしも、彼のこの愚かな行為のせいで家族まで巻き添えだ。
まぁいい気味だが。
いくら私から何とかしてほしいとお願いしても笑って流してた野郎共なので。
いくら最初はこちらからの提案だったとしても、その後の行いようによってはこの話しが流れることもあったというのに。
愚か。それに尽きる。
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