1 / 38
一章 梅雨明け
01
しおりを挟む
side:まこと
「守くーん!」
梅雨の雨上がりの通学路、そこに大好きな友達の背中を見つけて突進する。
「いってぇな、佐々野。殺すぞ」
そしてその大好きな友達、僕のことをすごい目付きで睨んできたのは、愛しの守くん。
さらさらの黒い髪を少し長めに伸ばし、一部に赤いメッシュを入れている。胸元のネクタイを緩め、ズボンからYシャツを出していた。
あまり笑わないのもあって、不良に間違えられるけれど、守くんはすごく優しいんだよ。
あと、背が高くて、かっこいい!
そのまま抱き締め、胸に顔を埋める。
はあ、めっちゃいい匂いする……。
「……おい」
「あ、ごめんね」
本気で迷惑そうな顔をされたので、慌てて離し、微笑んだ。
「おはよう、守くん。今日も荷物重いねー」
「そうだな。めんどくせぇ」
守くんはそうぼやいて、鞄の紐をかけなおした。
今日の授業は何だっけ、とか、他愛ない会話をしながら学校に向かう。
学校が近づくにつれて、周りに生徒が多くなってきた。
「――サクラ、ほら、佐々野くんだよ!」
「えっ!あっ、ほんとだ!今日もかっこいいー!」
「もー、早く告白しちゃいなよ!」
「む、無理だよ~、あんなハイスペックなイケメン――」
……そんな高い声が聞こえて、とても居心地が悪くなる。
佐々野。僕の名字だ。
「……相変わらずモテるよな。適当にでも彼女作ればいいのに。虫除けになるだろ」
「もう、僕はそういうのはいいって言ってるじゃないか」
わざと怒って言うと、守くんはフッと笑う。
あまり見せないその笑顔に、僕の胸は高鳴った。
――『そういうのはいい』。いつも口ではそう言っているが、本当は違う。
僕は、守くんが好きだ。
友達の枠を越えて、恋愛的な意味で。
*
『一目惚れ』。
よく聞く言葉だけど、経験したことは一度もない。
物語の中の話だけだと、そう思い込んでいた。
だから、思ってもみなかったんだ。
僕――佐々野誠(ささのまこと)が、高校二年生初日に、一目惚れをすることになるなんて。
「……!」
あ、好きだ。
『その人』の姿を見て、直感的に思ってしまった。
そして僕の後ろの席の『その人』は、前を見つめ、すこし気だるそうに口を開く。
「須貝守(すがいまもる)です。去年はE組でした。部活は入っていません。終わりです」
低い声でそう言い放ち、すぐに席に座った。
短い自己紹介に、ぱらぱらと拍手が起こる。
しかし僕だけではなく、誰もが今、彼を見つめ続けていた。
「ねえ、あの人、髪……」
「赤、だよね」
彼は、左側の横髪の一部だけ、赤を入れていた。
この学校では珍しい、メッシュの男子。
確かに髪を染めることは校則には引っ掛かっていないが、こうした個性派は、うちの学校にはあまりいなかった。
…………不良?
しかし次の人に自己紹介が移ると、皆はそちらを振り向いた。
でも僕は、須貝くんから目が離せない。
少し長めに切られた髪は、彼の目を少し隠している。
目付きは鋭く、自己紹介の際も始終無表情だったが、よく見ると瞳は大きめだ。
けしてすごいイケメンというわけではないが、顔立ちは整っていて、どことなく色気を感じる。
シャツのボタンは三つめまで開けられて、中の黒いインナーが見え――
「お前、さっきから何?」
須貝くんは僕を睨みながら、そう呟くように聞いた。
そこで自分が、彼をずっと見つめていたことに気がついた。
「な、何でもない」
ハッとして、急いで前を向き直るも、頬は熱いし、心臓はまだドキドキと高鳴ったまま。
もう、これを恋だと否定できなかった。
「守くーん!」
梅雨の雨上がりの通学路、そこに大好きな友達の背中を見つけて突進する。
「いってぇな、佐々野。殺すぞ」
そしてその大好きな友達、僕のことをすごい目付きで睨んできたのは、愛しの守くん。
さらさらの黒い髪を少し長めに伸ばし、一部に赤いメッシュを入れている。胸元のネクタイを緩め、ズボンからYシャツを出していた。
あまり笑わないのもあって、不良に間違えられるけれど、守くんはすごく優しいんだよ。
あと、背が高くて、かっこいい!
そのまま抱き締め、胸に顔を埋める。
はあ、めっちゃいい匂いする……。
「……おい」
「あ、ごめんね」
本気で迷惑そうな顔をされたので、慌てて離し、微笑んだ。
「おはよう、守くん。今日も荷物重いねー」
「そうだな。めんどくせぇ」
守くんはそうぼやいて、鞄の紐をかけなおした。
今日の授業は何だっけ、とか、他愛ない会話をしながら学校に向かう。
学校が近づくにつれて、周りに生徒が多くなってきた。
「――サクラ、ほら、佐々野くんだよ!」
「えっ!あっ、ほんとだ!今日もかっこいいー!」
「もー、早く告白しちゃいなよ!」
「む、無理だよ~、あんなハイスペックなイケメン――」
……そんな高い声が聞こえて、とても居心地が悪くなる。
佐々野。僕の名字だ。
「……相変わらずモテるよな。適当にでも彼女作ればいいのに。虫除けになるだろ」
「もう、僕はそういうのはいいって言ってるじゃないか」
わざと怒って言うと、守くんはフッと笑う。
あまり見せないその笑顔に、僕の胸は高鳴った。
――『そういうのはいい』。いつも口ではそう言っているが、本当は違う。
僕は、守くんが好きだ。
友達の枠を越えて、恋愛的な意味で。
*
『一目惚れ』。
よく聞く言葉だけど、経験したことは一度もない。
物語の中の話だけだと、そう思い込んでいた。
だから、思ってもみなかったんだ。
僕――佐々野誠(ささのまこと)が、高校二年生初日に、一目惚れをすることになるなんて。
「……!」
あ、好きだ。
『その人』の姿を見て、直感的に思ってしまった。
そして僕の後ろの席の『その人』は、前を見つめ、すこし気だるそうに口を開く。
「須貝守(すがいまもる)です。去年はE組でした。部活は入っていません。終わりです」
低い声でそう言い放ち、すぐに席に座った。
短い自己紹介に、ぱらぱらと拍手が起こる。
しかし僕だけではなく、誰もが今、彼を見つめ続けていた。
「ねえ、あの人、髪……」
「赤、だよね」
彼は、左側の横髪の一部だけ、赤を入れていた。
この学校では珍しい、メッシュの男子。
確かに髪を染めることは校則には引っ掛かっていないが、こうした個性派は、うちの学校にはあまりいなかった。
…………不良?
しかし次の人に自己紹介が移ると、皆はそちらを振り向いた。
でも僕は、須貝くんから目が離せない。
少し長めに切られた髪は、彼の目を少し隠している。
目付きは鋭く、自己紹介の際も始終無表情だったが、よく見ると瞳は大きめだ。
けしてすごいイケメンというわけではないが、顔立ちは整っていて、どことなく色気を感じる。
シャツのボタンは三つめまで開けられて、中の黒いインナーが見え――
「お前、さっきから何?」
須貝くんは僕を睨みながら、そう呟くように聞いた。
そこで自分が、彼をずっと見つめていたことに気がついた。
「な、何でもない」
ハッとして、急いで前を向き直るも、頬は熱いし、心臓はまだドキドキと高鳴ったまま。
もう、これを恋だと否定できなかった。
0
あなたにおすすめの小説
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる