まこまも

No.26

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一章 梅雨明け

04

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side:まもる

 ――最近、佐々野に避けられている気がする。
 同じクラスになってから、うざいくらいに絡んできたアイツ。
 ところがここ数日、昼飯を一緒に食べなかったり、用事があるからと言って、早く帰るようになった。
 俺と一緒にいることに、飽きたのだろうか……それとも。
「……はあ」
 制服のまま、ベッドに仰向けになり、天井を見上げる。
 もう、一週間も会話していないんじゃないか。
 ……別に、気にしてなんか、ないけど。
「けど、何で……」
 そのわけを聞いてみたかったが、何と話しかければいいのかわからない。
 思い返せば今まで、話すときは、いつもあいつからだった。
 初日の、あの日も……。

   *

「クソッ」
 そう呟いて乱暴に靴を床に落とすと、近くにいた女子生徒がびくりとこちらを振り向いた。
 気づいていないふりをして、靴を履き校庭に出る。
 靴の底から、桜の花びらが、ちらりと落ちた。

「――佐々野誠です。去年はA組で委員長をしていました」
 俺の目の前で、こちらに背を向けてそう言った彼。
 周りの女子生徒は目を輝かせて、彼を注目していた。
「部活は入っていません。色んな人と仲良くなりたいです。よろしくお願いします」
 爽やかな声でそう言い終えて礼をする佐々野に、周りからは今までで一番強い拍手が起こった。
 うわ、この後で俺、自己紹介するのかよ……。
 拍手が収まり、居心地の悪さを感じながら席を立つと、佐々野がくるりと後ろを振り向いた。
 一瞬、目が合う。
 確かに、どこのアイドルだ、と疑うくらい整った顔立ちをしていた。
 前々から「1年A組の佐々野くんがかっこいい」という噂を聞いていたが……はー、これはモテるわけだ。
 けど俺は、「色んな人と仲良くなりたいです」なんて言う、こういう真面目そうでイイ子ぶってるヤツが一番嫌いだ。
 適当に自己紹介を済まして、席に座る。
 しかし佐々野は、まだじろじろと俺を見ていた。
 ああ……きっとこの髪が気になってるんだろう。
 メッシュなんてそうそういないから、不良に見えてるのかもしれない。
 別に、俺は不良とかじゃない。
 バイクも乗らないし、たばこだってしない。門限だって破ったことはない。
 ただ、こういう髪が好きで、自分で染めているだけだ。
 けれど、こいつは『真面目でイイ子』だから……下手に接したら、派手な色に染めるのは良くないとか、筋違いのお節介を焼くに違いない。
  そんなの余計なお世話だ、俺は好きでやってんだから――。

「須貝くん!」
 ……ほんとに、余計なお世話だ。
 早々と校門を出ようとしたとき、名前を呼ばれて嫌々振り返る。
「なんだよしつけぇな。一緒に帰らねえよ」
「や、そうじゃなくて、これ」
 佐々野は息を切らして、見覚えのあるものを押し付ける。
 ……俺の筆箱だ。
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