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一章 梅雨明け
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「……佐々野はさ」
「ん?」
出会って一ヶ月も経たない、その日のことだった。守くんはちらりと僕をみて、聞いた。
「俺と飯食ってて、楽しいわけ?」
「え?なんで?」
人の少ない屋上の隅。
教室から抜ける守くんに、いつも着いてくる僕を疑問に思ったのだろう。
「だって、お前他にも友達いるし……なんで不良みたいな俺とわざわざ仲良くしてるんだって、不思議なんだよ」
守くんは、メロンパンを一口食べてから、付け加えた。
「やっぱ、可哀想とか思ってんの?」
「ち、違うよ! 須貝くんといると、楽しいし……」
「別に、趣味合わないだろ。先生に言われたのか?俺がぼっちにならないようにとか」
委員長だしな、お前。
呆れたようにそう言われ、考えるより先に言葉が出た。
「好きなんだよ!」
その言葉に、守くんはちょっと目を見開いた。
僕も意味に気がついて、慌てて訂正する。
「へ、変な意味じゃないよ!ただ、守くんの性格が好きなだけ――」
「――『守』?」
「あ」
ずっと「須貝くん」って名字で呼んでいたのに、思わず心の声が出てしまった。
いきなり名前呼びなんて、不自然すぎる。
どうしよう、どうしよう、もし想いに気づかれたら――。
「……いいけど、そう呼んでも」
守くんは、目をそらし、呟くように言った。
…………え?
「……守、くん?」
「……おう」
守くんは視線をメロンパンにしたまま、ちょっと照れくさそうに返事する。
その仕草がすごく可愛くて、僕も照れた。
「これから、守くんって呼んでもいい?」
「別に……っていうかよく覚えてたな、下の名前」
「だって友達だもん。当たり前だよ!」
「え、俺、お前の名前忘れた……」
「……えー……」
僕は、軽くショックを受けながら、自分の名前を教えた。
「誠だよ」
「……まこと?」
初めて呼ばれた、自分の名前。
僕を見つめる、守くんの、瞳。
「……っ」
ドクン。鼓動が、大きく聞こえる。
「……あー、けどなんかハズいから佐々野にするわ」
「あ、うん、僕もそっちの方が……」
だって……毎回呼ばれていたら、心臓が持たないよ。
「――あれ、守くん?」
ぼんやり思い返していたら、食べ終わった守くんはいつの間にか壁に寄りかかって、寝てしまっていた。
少し肩を揺すってみるが、反応はない。
その無防備な寝顔に、ドキドキとまた胸が高鳴る。
守くんが好きな気持ちは、日を増すごとに大きくなっていた。
でも、僕らは同じ男同士。
そして同性愛者でもない彼に、告白なんてできなかった。
それに、純粋に友達として仲良くしてくれている守くんを、裏切ってしまうようで嫌だった。
(……けど、今だけ)
彼に股がり、顔を近づける。
顔にかかったその綺麗な黒い髪を、そっと耳にかけた。
日に焼けていない、白い肌が眩しい。
そして、その薄く紅い――。
そこでぱちりと、守くんと目があった。
「……なにしてんの?」
息のかかりそうな距離、守くんは呆れたように僕を見た。
慌てて身を引いた。
「えっ、あっ、ごめん、その、ゴミついてたから」
どもりながら、言い訳して、目をそらす。
守くんはふーんと言って、体を起こした。
「キスすんのかと思った」
「……そんなことするわけないでしょ」
「だよな」
なんでもないように言うと、守くんは目を細めて笑って、
「男同士とか、キモいよな」
ぐさり。
見えないナイフが、鼓動を止めた。
……そうだよね。
気持ち悪いよね。
「――佐々野?」
黙り混んだ僕を、守くんは見つめる。
なんでもないと、首を横にふった。
「ん?」
出会って一ヶ月も経たない、その日のことだった。守くんはちらりと僕をみて、聞いた。
「俺と飯食ってて、楽しいわけ?」
「え?なんで?」
人の少ない屋上の隅。
教室から抜ける守くんに、いつも着いてくる僕を疑問に思ったのだろう。
「だって、お前他にも友達いるし……なんで不良みたいな俺とわざわざ仲良くしてるんだって、不思議なんだよ」
守くんは、メロンパンを一口食べてから、付け加えた。
「やっぱ、可哀想とか思ってんの?」
「ち、違うよ! 須貝くんといると、楽しいし……」
「別に、趣味合わないだろ。先生に言われたのか?俺がぼっちにならないようにとか」
委員長だしな、お前。
呆れたようにそう言われ、考えるより先に言葉が出た。
「好きなんだよ!」
その言葉に、守くんはちょっと目を見開いた。
僕も意味に気がついて、慌てて訂正する。
「へ、変な意味じゃないよ!ただ、守くんの性格が好きなだけ――」
「――『守』?」
「あ」
ずっと「須貝くん」って名字で呼んでいたのに、思わず心の声が出てしまった。
いきなり名前呼びなんて、不自然すぎる。
どうしよう、どうしよう、もし想いに気づかれたら――。
「……いいけど、そう呼んでも」
守くんは、目をそらし、呟くように言った。
…………え?
「……守、くん?」
「……おう」
守くんは視線をメロンパンにしたまま、ちょっと照れくさそうに返事する。
その仕草がすごく可愛くて、僕も照れた。
「これから、守くんって呼んでもいい?」
「別に……っていうかよく覚えてたな、下の名前」
「だって友達だもん。当たり前だよ!」
「え、俺、お前の名前忘れた……」
「……えー……」
僕は、軽くショックを受けながら、自分の名前を教えた。
「誠だよ」
「……まこと?」
初めて呼ばれた、自分の名前。
僕を見つめる、守くんの、瞳。
「……っ」
ドクン。鼓動が、大きく聞こえる。
「……あー、けどなんかハズいから佐々野にするわ」
「あ、うん、僕もそっちの方が……」
だって……毎回呼ばれていたら、心臓が持たないよ。
「――あれ、守くん?」
ぼんやり思い返していたら、食べ終わった守くんはいつの間にか壁に寄りかかって、寝てしまっていた。
少し肩を揺すってみるが、反応はない。
その無防備な寝顔に、ドキドキとまた胸が高鳴る。
守くんが好きな気持ちは、日を増すごとに大きくなっていた。
でも、僕らは同じ男同士。
そして同性愛者でもない彼に、告白なんてできなかった。
それに、純粋に友達として仲良くしてくれている守くんを、裏切ってしまうようで嫌だった。
(……けど、今だけ)
彼に股がり、顔を近づける。
顔にかかったその綺麗な黒い髪を、そっと耳にかけた。
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そして、その薄く紅い――。
そこでぱちりと、守くんと目があった。
「……なにしてんの?」
息のかかりそうな距離、守くんは呆れたように僕を見た。
慌てて身を引いた。
「えっ、あっ、ごめん、その、ゴミついてたから」
どもりながら、言い訳して、目をそらす。
守くんはふーんと言って、体を起こした。
「キスすんのかと思った」
「……そんなことするわけないでしょ」
「だよな」
なんでもないように言うと、守くんは目を細めて笑って、
「男同士とか、キモいよな」
ぐさり。
見えないナイフが、鼓動を止めた。
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気持ち悪いよね。
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なんでもないと、首を横にふった。
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