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四章 夏期講習
08
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side:まもる
チャイムが鳴り外に出ると、いつも通りまことは外に立っていた。
今日も、あの可愛い水色のパーカーを着ている。
玄関のドアを閉め、二人きりになった途端、まことは俺に抱きついた。
「守くん」
「……なんだよ」
「……守くん……っ」
久しぶりに会って余裕がないのか、まことは胸に顔を埋めたまま、俺の名を呼ぶ。
彼の髪からはシャンプーのいい匂いがした。
それにまことの体温が熱くて……心臓に悪い。
「守くん、ドキドキしてるね」
「…………」
「聞こえるよ」
彼は胸に耳をあて、クスッと笑う。
見透かされているようで恥ずかしくなって、体を離した。
「……もういいだろ。早く入ろう」
「そうだね」
まことは笑って、そして不意打ちのように、俺に短くキスをした。
……ったく。
リビングに行き、コップに氷と麦茶を注ぐ。
まことは、既にソファーに礼儀正しく座っていた。
「これ、お茶」
「ありがとう」
喉を潤してから、iPhoneをいじるまことをぼーっと眺める。
いつもより伏せ目がちの目に、暑さで少し汗ばんだ頬。
それを見つめているだけで、胸がドクドクと高鳴った。
……彼への想いを、嫌でも実感してしまう。
けれどふいに昨日見た、一ノ瀬と並んでいたまことの姿が思い出された。
(……離れたくない)
再び胸の中に、得体の知れない熱い何かが湧き上がって。
衝動的に、彼を後ろから抱きしめた。
「守くん?」
まことは少し驚いたように、俺を見上げる。
こちらを覗く、薄い色の瞳。柔らかな髪。白い肌。
……ああ、やっぱり。
(好きだな)
そう思ったら、まことにキスをしていた。
窓から射す夕日の光が眩しくて、目を閉じる。
少し長めにして離すと、まことは動揺したように俺を見上げていた。
顔が真っ赤だ。
「ま、守くん……」
「なんだよ」
俺もなんだか照れ臭くなり、目をそらす。
すると一瞬で、ソファアに押し倒された。
「……っ、守くん……」
「……何」
「好き……!」
もう聞き慣れた、その二文字の単語。
俺は初めて、それにちゃんと返した。
「……俺も……俺も、まことが好き……!」
「!」
かたり、iPhoneが床に落ちた。
今度はまことからキスされて……そのまま、舌を入れられ、何度も深くキスをする。
まことの舌使いの上手さに、頭がぼうっとした。
唾液がまことの唇を色っぽく光らせ、またドキリと胸が高鳴る。
一度起き上がり、そのまま彼を抱きしめる。
まこともぎゅっと抱き締め返してきた。
「守くんからちゅーしてくれたの、はじめてだね」
「…………」
「ね、もう一回して」
「……やだ」
「いじわる」
断ると、まことは笑う。
「けど、すごく嬉しかった。口、洗えないよ」
そう言ったまことの目は、何故か潤んでいて。
「……何、泣いてんの?」
「ふふ……色々あって」
まことが目を細め、雫が頬を流れていく。
その涙を、指で拭った。
「泣くほど嬉しいとか、引く」
「僕に避けられて、泣くほど悲しかった君が言う?」
「う……うるせぇ」
そう思い返せば、俺もこいつに依存しているんだな、と思う。
……認めたくないけど。
「……ね、僕もう……」
まことは顔を近づけ、俺を見つめる。
太ももに、ぐりっと固いものが当てられた。
それがなんなのかは、すぐに察しがついた。
そのまま膨らんだ彼の股を、膝でぐりぐり刺激する。
「ひっ……あ、あっ、やめ……!」
「この流れでなんで勃ってんだよ、変態」
「ご、ごめんなさい……!」
はあはあと興奮ぎみに謝る彼は、全く救いようのない変態だ。
「ね……ベッド行こ?」
けれど、その彼の不敵な笑みに、ゾクリとしてしまう俺がいる。
「…………」
「ね?」
「っ!」
目をそらして黙っていると、ズボンの上から股を触られた。
ゾクゾクッという快感が、背中を走る。
「守くん……かわいい」
「……っ」
何がかわいいだ……このヘンタイ野郎。
……まあ、そういうところも含めて、好き、なんだけど……。
「三日ぶりくらいかな。ちょっと久しぶりだよね」
「毎日してたときに比べたらな」
俺はベッドに寝て、まことは膝立ちになる。
「そういえば、守くんって、普段何でオナってるの?」
「は?」
服を脱がせながらそう聞かれ、思わず聞き返した。
まことは微笑み、俺のベルトをいじりながら、
「せっかくなら、守くんの好きなようにしようと思って」
「いらねーよ、そんな配慮……」
「ふふ、もしかして人に言えないような内容とか?」
「………………」
ローションをつけたその指が、俺の穴に触れようとしたとき。
まことはふと動きを止めて、俺を見た。
「そうだ、あのさ、今後も僕が守くんに入れていいの?」
「え?」
意味がわからなくて、聞き返す。
まことは首を傾げ、
「いや、守くんは僕に入れたくないのかな、って思って……あ、けど抱きたくないんだっけ」
「逆になるってことか?」
俺がまことを抱く。……そんなこと、考えもしなかった。
確かに今なら、まことを良くさせてやりたいっていう気持ちはある。
どうしてもって言うなら、いいけど……。
「いや、俺は今のままでいいよ。今更じゃん」
「そっか。ならいいんだ」
「……抱かれたい?俺に」
「一回くらいはされてみたいなあ。……けど僕お腹弱いから、そういう意味で不安が……」
「はは……」
気まずそうに腹を擦るまことに、思わず笑う。それは困るな。
まことは微笑み返して、その指で後ろに触れた。
「あ、はぁ……」
ローションで滑らせ、中を慣らされる。裏からのその刺激に、ゾクゾクッと快感が体を巡った。
指が二本、そして三本に増える。
更に奥へと入れられ、一番いいところにその指が触れた。
「あッ、っ……はあ……」
くちゅくちゅと、やらしい音が鳴る。
やっぱり、まことにされる方が、一番……っ。
恥ずかしいと思いつつ、自分でも腰が動く。
「……あとさ、一ついいかな」
「っあ! な、に…っ」
ずぷ、と一度指を抜かれ、ビクリと体が跳ねる。
まことはニヤリと笑った。
「守くんの後ろ、前より入りやすくなってる気がするんだけど?」
チャイムが鳴り外に出ると、いつも通りまことは外に立っていた。
今日も、あの可愛い水色のパーカーを着ている。
玄関のドアを閉め、二人きりになった途端、まことは俺に抱きついた。
「守くん」
「……なんだよ」
「……守くん……っ」
久しぶりに会って余裕がないのか、まことは胸に顔を埋めたまま、俺の名を呼ぶ。
彼の髪からはシャンプーのいい匂いがした。
それにまことの体温が熱くて……心臓に悪い。
「守くん、ドキドキしてるね」
「…………」
「聞こえるよ」
彼は胸に耳をあて、クスッと笑う。
見透かされているようで恥ずかしくなって、体を離した。
「……もういいだろ。早く入ろう」
「そうだね」
まことは笑って、そして不意打ちのように、俺に短くキスをした。
……ったく。
リビングに行き、コップに氷と麦茶を注ぐ。
まことは、既にソファーに礼儀正しく座っていた。
「これ、お茶」
「ありがとう」
喉を潤してから、iPhoneをいじるまことをぼーっと眺める。
いつもより伏せ目がちの目に、暑さで少し汗ばんだ頬。
それを見つめているだけで、胸がドクドクと高鳴った。
……彼への想いを、嫌でも実感してしまう。
けれどふいに昨日見た、一ノ瀬と並んでいたまことの姿が思い出された。
(……離れたくない)
再び胸の中に、得体の知れない熱い何かが湧き上がって。
衝動的に、彼を後ろから抱きしめた。
「守くん?」
まことは少し驚いたように、俺を見上げる。
こちらを覗く、薄い色の瞳。柔らかな髪。白い肌。
……ああ、やっぱり。
(好きだな)
そう思ったら、まことにキスをしていた。
窓から射す夕日の光が眩しくて、目を閉じる。
少し長めにして離すと、まことは動揺したように俺を見上げていた。
顔が真っ赤だ。
「ま、守くん……」
「なんだよ」
俺もなんだか照れ臭くなり、目をそらす。
すると一瞬で、ソファアに押し倒された。
「……っ、守くん……」
「……何」
「好き……!」
もう聞き慣れた、その二文字の単語。
俺は初めて、それにちゃんと返した。
「……俺も……俺も、まことが好き……!」
「!」
かたり、iPhoneが床に落ちた。
今度はまことからキスされて……そのまま、舌を入れられ、何度も深くキスをする。
まことの舌使いの上手さに、頭がぼうっとした。
唾液がまことの唇を色っぽく光らせ、またドキリと胸が高鳴る。
一度起き上がり、そのまま彼を抱きしめる。
まこともぎゅっと抱き締め返してきた。
「守くんからちゅーしてくれたの、はじめてだね」
「…………」
「ね、もう一回して」
「……やだ」
「いじわる」
断ると、まことは笑う。
「けど、すごく嬉しかった。口、洗えないよ」
そう言ったまことの目は、何故か潤んでいて。
「……何、泣いてんの?」
「ふふ……色々あって」
まことが目を細め、雫が頬を流れていく。
その涙を、指で拭った。
「泣くほど嬉しいとか、引く」
「僕に避けられて、泣くほど悲しかった君が言う?」
「う……うるせぇ」
そう思い返せば、俺もこいつに依存しているんだな、と思う。
……認めたくないけど。
「……ね、僕もう……」
まことは顔を近づけ、俺を見つめる。
太ももに、ぐりっと固いものが当てられた。
それがなんなのかは、すぐに察しがついた。
そのまま膨らんだ彼の股を、膝でぐりぐり刺激する。
「ひっ……あ、あっ、やめ……!」
「この流れでなんで勃ってんだよ、変態」
「ご、ごめんなさい……!」
はあはあと興奮ぎみに謝る彼は、全く救いようのない変態だ。
「ね……ベッド行こ?」
けれど、その彼の不敵な笑みに、ゾクリとしてしまう俺がいる。
「…………」
「ね?」
「っ!」
目をそらして黙っていると、ズボンの上から股を触られた。
ゾクゾクッという快感が、背中を走る。
「守くん……かわいい」
「……っ」
何がかわいいだ……このヘンタイ野郎。
……まあ、そういうところも含めて、好き、なんだけど……。
「三日ぶりくらいかな。ちょっと久しぶりだよね」
「毎日してたときに比べたらな」
俺はベッドに寝て、まことは膝立ちになる。
「そういえば、守くんって、普段何でオナってるの?」
「は?」
服を脱がせながらそう聞かれ、思わず聞き返した。
まことは微笑み、俺のベルトをいじりながら、
「せっかくなら、守くんの好きなようにしようと思って」
「いらねーよ、そんな配慮……」
「ふふ、もしかして人に言えないような内容とか?」
「………………」
ローションをつけたその指が、俺の穴に触れようとしたとき。
まことはふと動きを止めて、俺を見た。
「そうだ、あのさ、今後も僕が守くんに入れていいの?」
「え?」
意味がわからなくて、聞き返す。
まことは首を傾げ、
「いや、守くんは僕に入れたくないのかな、って思って……あ、けど抱きたくないんだっけ」
「逆になるってことか?」
俺がまことを抱く。……そんなこと、考えもしなかった。
確かに今なら、まことを良くさせてやりたいっていう気持ちはある。
どうしてもって言うなら、いいけど……。
「いや、俺は今のままでいいよ。今更じゃん」
「そっか。ならいいんだ」
「……抱かれたい?俺に」
「一回くらいはされてみたいなあ。……けど僕お腹弱いから、そういう意味で不安が……」
「はは……」
気まずそうに腹を擦るまことに、思わず笑う。それは困るな。
まことは微笑み返して、その指で後ろに触れた。
「あ、はぁ……」
ローションで滑らせ、中を慣らされる。裏からのその刺激に、ゾクゾクッと快感が体を巡った。
指が二本、そして三本に増える。
更に奥へと入れられ、一番いいところにその指が触れた。
「あッ、っ……はあ……」
くちゅくちゅと、やらしい音が鳴る。
やっぱり、まことにされる方が、一番……っ。
恥ずかしいと思いつつ、自分でも腰が動く。
「……あとさ、一ついいかな」
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