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しおりを挟むおじさまの舌が、指が、絶え間なく私の体を撫でて、這い回って、摩って、触れていく。
おじさまの指は頑なに秘所に触れないのに、私の体は、もう何度も何度も絶頂に達していた。これが絶頂、というのも、おじさまがさっき教えてくれたことだった。
「おじさま、おじさま、っ……あぁっ……だめぇっ……」
体が不規則に大きく跳ねる。
やっぱり汗が出るけれど、おじさまの唾液でべとべとになった体は、もう汗で濡れてるいるのか、唾液で濡れているのか区別がつかなかった。
そうして、私の体という体を愛で尽くしたおじさまが不意に膝立ちになった。
それから私の足を割り開いて、私の秘所になにかを押し付けた。
おじさまの男性の象徴だった。
さすがに体が竦む。だって初めての時、本当に、体が真っ二つになったのではないかというぐらい痛かったから。
「痛くないよ」
私の不安を感じ取ったのか、おじさまは言う。
「痛くない。大丈夫。アリス、私が君に嘘をついたことはあったかい?」
「……ありません。……おじさまの言うことは、いつも全部正しくて……」
「だろう? だから大丈夫だよ。さぁアリス。これさえ挿れれば、君は正真正銘私の妻になる」
閉じていた秘所が、無理やりこじ開けられる。見えないけれどわかるか、これは無理やりだ。なのに、なのに。本当に、全然、痛くないではないか。
しかも痛いどころか、おじさまのそれと擦り合わさったところから、強烈な快感が生み出されていた。どうすべきかわからず身を捩ると、動きを制するようにシーツに手を磔にされてしまつ。
「あっ……おじさま……すごい、どうして、……全然、痛くない……」
「だから言っただろう?」
柔らかく笑うおじさまに、けれど今度はどうしようもない申し訳なさを感じてしまう。
――おじさまはこんなに私に尽くしてくれるのに。魔法みたいに、痛みなく私を抱いてくれているのに。私は処女ではない、傷物なのだ。
「おじさま、……ごめん、なさい……」
「……アリス? 突然どうした。謝るようなことを君はしていないよ?」
「だ、だって、私は処女ではなくて、……女にとって、純潔が一番大切だと、そう学んだのに、その一番大切なものをおじさまに捧げられなくて……」
「……あぁ。それなら心配しなくていいよ。アリス、君は破瓜の血が出なかったと言っていたね?」
頷く。するとおじさまは、私の手をするりと解いて、私と繋がったまま体を起こした。
「そんなものどうとでもなるんだよ」
おじさまの右手の人差し指が、左手の手首をすっと撫でる。そうしたら――左手の手首がぱっくり割れて、血が、流れ出したではないか。
あまりの光景に言葉を失う。おじさまは止血する素振りすら見せず、滴り落ちる血を、私と、おじさまの繋がる箇所に、垂らした。
「ほら、君と私が繋がる箇所から血が滲んでいる。これは破瓜の血といって差し支えないとは思わないかい?」
そんなでたらめな。
そう思うのに、おじさまに言われると納得してしまう。おじさまに抱かれて、私は赤い血を流した。それなら私は今日初めて処女を失って、破瓜の血を流したのだと、そう、思えてしまうのだ。
「さぁアリス。ここからが本当の夫婦の時間だ。たっぷり君を可愛がらせておくれ」
おじさまから甘い口づけが降ってきて――そういえば――、
おじさまと私はどういう血縁関係にあるのか。
どうして何年経とうが同じ容姿のままなのか。
おじさまの名前すら――知らなかったと、そのとき急に気がついた。
けれどもう全てがどうでもよかった。甘い口づけに身を委ねながら、私は、おじさま、と、声にならない声で囁いた。
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