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1章:冒険の終わりと物語の始まり
決着
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「クロウ、いったんマリ―を連れて回避するぞ」
アリスがそう声をかけてきた。しかしクロウは黙って首を横に振った。
「どうしてだ!?君だって前回あのブレスを受けて吹き飛ばされかけていたじゃないか」
「・・・ダメなんだよ避けたら、今避けたら花に――エクリースに当たっちまうんだよ」
アリスはハッとして後ろを振り返り、そして舌打ちした。しかし、クロウの行動をやめろとは言わないことに彼は驚いた。
「・・・何を驚いた顔をしているんだ、君が言ったんだろう?全部救うと。だがどうする?このままじゃじり貧だ、私たちの攻撃は決定打にならない。それにあの光線を君一人じゃ受け止められない」
アリスが言い終わると同時に、蒼龍の口から光線が放出された。クロウは刀を構え眼前に迫る光線を険しい顔で見ていたが、何かに気が付いたようににやりと笑い言った。
「あぁ、なんだよ、あるじゃねぇか。あの固い皮膚を貫くとっておきの方法が目の前に」
「君、まさかあの光線を操るつもりか!?」
ブレスを受け止めた瞬間、前回よりもはるかに強い衝撃がクロウの全身を襲う。どうやら魔力を断ち切るよりも操る方が衝撃を受けやすいようだ。
クロウは重心を下げて、体重を前にかけて、踏ん張るが、少しずつ少しずつ後ろへ押し戻される。噛み締めた奥歯がぎりぎりと言い、腕の筋肉が悲鳴を上げている、とその時後ろから、トンっと背中を押された。振り返るとアリスが両手でクロウの背を懸命に押していた。
「・・・どうしたんだよ、いいからお前はとっとと逃げろ」
「さっきも言っただろう、君が自分の勝手を押し通すのなら、私は私の勝手を押し通すまでだ!それに君一人じゃあとても受け止めきれないだろう!」
そう言って彼女はむぎぎ・・と言いながら、クロウの背中を押し続けた。アリス本人はおそらく全力で押しているつもりなのだろうが、ほとんど力を感じない。しかし不思議と、先ほどよりも腕に、足に力が湧いてきた。
「30秒だ!前回のこのブレスの放出時間は30秒程度だった、最低でもそれ以上は耐えきれないといけない、死ぬ気で踏ん張れ!」
アリスの叫びに、クロウは苦笑いする、あと最低30秒以上は耐えきらなきゃいけないわけか、と。そして、そうしている間にも二人はじりじりと後ろへ後退させられている。後、26、25,24・・22・・20、とその時、攻撃によって壊された岩の破片がクロウの眼前へと飛んできた。しかし、踏ん張るのに手いっぱいだったクロウは、その石を避けることができずに、右目に石が直撃した。それと同時に重心がわずかに後ろへ崩れてしまった。
そのわずかな重心の変化が致命的だった、今まで何とか抑えていた攻撃の勢いを殺しきれず、彼の体が宙に浮いてしまった。また、また守れないのか、この手のひらからこぼれ落ちてしまうのか、クロウは奥歯をかみしめて叫ぶ。
「ちくしょぉぉぉぉぉ」
体が後ろへと吹き飛ばされる――――――とその時背中を強い力で押され、クロウは吹き飛ばされずに済んだ。クロウは刀を構えたまま、はっと後ろを振り返った。するとそこにはアリスが、そしてマリー、ローレンス、村人たちが何人も懸命にクロウの背中を押していた。
「どうして・・・?」
クロウの口からそんな疑問がポロリとこぼれ落ちた。その声が聞こえたか定かではないが、ローレンスは
「私たちはずっと罪悪感にさいなまれてきた。こんなことで私の罪も後悔も消えるわけではないとわかっている。しかしそれでも、クロウ君、君を見てもう一度立ち上ろうと、立ち向かわなければならないと思えたんだ!」
そう言った。
「私はねクロウ君、君を許すことができない。でもそれ以上に許せないのがあの時何もできずに泣いていた自分自身なの。だから今度は――いえ、今度こそ顔を背けず前を向こうと、あの子の残してくれたものだけは守ろうと決めたの!」
マリーの声も聞こえてきた。そうして最後に
「どうするクロウ?君、ここまでお膳立てされて失敗でもしたら最高にかっこ悪いよ」
そうアリスはいたずらっぽい笑みを浮かべてそう言った。
ここにきてクロウはようやく理解した。今までのクロウは自分一人でできる限り多くの人を救おうと、手のひらからこぼれ落とさないようにしてきた。でもそれはアリスが先ほど言ったように、一人の人間には限界がある。大切なのはきっと、そのこぼれ落ちたものを掬いあげてくれる人が周りにいることなんだ。あの時のクロウにそれはなかった、だけど今ならきっと――。
「あぁ、決めてみせるさ。さぁこれが、このくそったれな運命への反撃の狼煙だ」
クロウがそういうと同時に、図ったようなタイミングで蒼龍のブレスの攻撃がやんだ。クロウの持った刀は大量の蒼龍の魔力をまとっており、その蒼い刃は本来の刀身の数倍にまで伸びていた。彼は手に持った刀を振り上げた。その刃の輝きは、真黒な暗闇を蒼く照らしていた。
クロウは始めは小走りに、そして徐々に速度を上げながら蒼龍へと駆け出した。蒼龍は先ほどの光線で消耗したのか、光線は撃ってこず、その大きな鉤爪を振り下ろした。しかし、先ほどのクロウ達の攻撃が効いていたのか、傷が開き、その痛みで動作が一瞬止まった。クロウはそのすきを見逃すことなく、蒼龍の懐へと飛び込み、全力でその一撃を叩き込んだ。
そして長かった戦いについに決着がついた―――。
アリスがそう声をかけてきた。しかしクロウは黙って首を横に振った。
「どうしてだ!?君だって前回あのブレスを受けて吹き飛ばされかけていたじゃないか」
「・・・ダメなんだよ避けたら、今避けたら花に――エクリースに当たっちまうんだよ」
アリスはハッとして後ろを振り返り、そして舌打ちした。しかし、クロウの行動をやめろとは言わないことに彼は驚いた。
「・・・何を驚いた顔をしているんだ、君が言ったんだろう?全部救うと。だがどうする?このままじゃじり貧だ、私たちの攻撃は決定打にならない。それにあの光線を君一人じゃ受け止められない」
アリスが言い終わると同時に、蒼龍の口から光線が放出された。クロウは刀を構え眼前に迫る光線を険しい顔で見ていたが、何かに気が付いたようににやりと笑い言った。
「あぁ、なんだよ、あるじゃねぇか。あの固い皮膚を貫くとっておきの方法が目の前に」
「君、まさかあの光線を操るつもりか!?」
ブレスを受け止めた瞬間、前回よりもはるかに強い衝撃がクロウの全身を襲う。どうやら魔力を断ち切るよりも操る方が衝撃を受けやすいようだ。
クロウは重心を下げて、体重を前にかけて、踏ん張るが、少しずつ少しずつ後ろへ押し戻される。噛み締めた奥歯がぎりぎりと言い、腕の筋肉が悲鳴を上げている、とその時後ろから、トンっと背中を押された。振り返るとアリスが両手でクロウの背を懸命に押していた。
「・・・どうしたんだよ、いいからお前はとっとと逃げろ」
「さっきも言っただろう、君が自分の勝手を押し通すのなら、私は私の勝手を押し通すまでだ!それに君一人じゃあとても受け止めきれないだろう!」
そう言って彼女はむぎぎ・・と言いながら、クロウの背中を押し続けた。アリス本人はおそらく全力で押しているつもりなのだろうが、ほとんど力を感じない。しかし不思議と、先ほどよりも腕に、足に力が湧いてきた。
「30秒だ!前回のこのブレスの放出時間は30秒程度だった、最低でもそれ以上は耐えきれないといけない、死ぬ気で踏ん張れ!」
アリスの叫びに、クロウは苦笑いする、あと最低30秒以上は耐えきらなきゃいけないわけか、と。そして、そうしている間にも二人はじりじりと後ろへ後退させられている。後、26、25,24・・22・・20、とその時、攻撃によって壊された岩の破片がクロウの眼前へと飛んできた。しかし、踏ん張るのに手いっぱいだったクロウは、その石を避けることができずに、右目に石が直撃した。それと同時に重心がわずかに後ろへ崩れてしまった。
そのわずかな重心の変化が致命的だった、今まで何とか抑えていた攻撃の勢いを殺しきれず、彼の体が宙に浮いてしまった。また、また守れないのか、この手のひらからこぼれ落ちてしまうのか、クロウは奥歯をかみしめて叫ぶ。
「ちくしょぉぉぉぉぉ」
体が後ろへと吹き飛ばされる――――――とその時背中を強い力で押され、クロウは吹き飛ばされずに済んだ。クロウは刀を構えたまま、はっと後ろを振り返った。するとそこにはアリスが、そしてマリー、ローレンス、村人たちが何人も懸命にクロウの背中を押していた。
「どうして・・・?」
クロウの口からそんな疑問がポロリとこぼれ落ちた。その声が聞こえたか定かではないが、ローレンスは
「私たちはずっと罪悪感にさいなまれてきた。こんなことで私の罪も後悔も消えるわけではないとわかっている。しかしそれでも、クロウ君、君を見てもう一度立ち上ろうと、立ち向かわなければならないと思えたんだ!」
そう言った。
「私はねクロウ君、君を許すことができない。でもそれ以上に許せないのがあの時何もできずに泣いていた自分自身なの。だから今度は――いえ、今度こそ顔を背けず前を向こうと、あの子の残してくれたものだけは守ろうと決めたの!」
マリーの声も聞こえてきた。そうして最後に
「どうするクロウ?君、ここまでお膳立てされて失敗でもしたら最高にかっこ悪いよ」
そうアリスはいたずらっぽい笑みを浮かべてそう言った。
ここにきてクロウはようやく理解した。今までのクロウは自分一人でできる限り多くの人を救おうと、手のひらからこぼれ落とさないようにしてきた。でもそれはアリスが先ほど言ったように、一人の人間には限界がある。大切なのはきっと、そのこぼれ落ちたものを掬いあげてくれる人が周りにいることなんだ。あの時のクロウにそれはなかった、だけど今ならきっと――。
「あぁ、決めてみせるさ。さぁこれが、このくそったれな運命への反撃の狼煙だ」
クロウがそういうと同時に、図ったようなタイミングで蒼龍のブレスの攻撃がやんだ。クロウの持った刀は大量の蒼龍の魔力をまとっており、その蒼い刃は本来の刀身の数倍にまで伸びていた。彼は手に持った刀を振り上げた。その刃の輝きは、真黒な暗闇を蒼く照らしていた。
クロウは始めは小走りに、そして徐々に速度を上げながら蒼龍へと駆け出した。蒼龍は先ほどの光線で消耗したのか、光線は撃ってこず、その大きな鉤爪を振り下ろした。しかし、先ほどのクロウ達の攻撃が効いていたのか、傷が開き、その痛みで動作が一瞬止まった。クロウはそのすきを見逃すことなく、蒼龍の懐へと飛び込み、全力でその一撃を叩き込んだ。
そして長かった戦いについに決着がついた―――。
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