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2章:贋作は真作足りえるか
ゲームセット
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時は少し遡り、クロウが砂ぼこりを起こした瞬間、スキアは身をかがめ屋敷の裏手へと回り込んだ。そして、適当な部屋の窓ガラスへとあたりをつけると、一歩下がった。すると彼女の足元の影から数本の影が伸び、窓を窓枠ごと切り取った。
そしてスキアは出来るだけ音をたてないようにそっと屋敷の中へと入った。トゥーリは人を絵画にすると決まって自身の部屋に飾っていたため、スキアは彼女の部屋へ向かおうと、そっと部屋の扉を開けた。
そして、スキアはその金色の瞳を見開いた。彼女も目にはひたすらに闇が移っていた。確かに、屋敷の中はもともと昼でも薄暗かった。しかし、多少は窓から日が差し込むため、最低限の光はあった。だが、スキアの目の前には光は一つもなかった。
このまま進めばこの闇に飲み込まれるのではないかという恐怖がスキアの全身を覆った。しかし、スキアはぶんぶんと首を振ると、そんな恐怖を無理やりに引きはがすように大きく廊下へ足を踏み出した。
廊下は暗く、普通であればとてもではないが歩けたものではなかった。しかし、スキアは足取りこそ遅いものの着実に歩を進めることが出来た。当然だ、彼女はこの屋敷を十年ものあいだ管理し続けたのだから。
スキアは部屋までは2,3分でたどり着くことが出来た。そしてゆっくりとドアノブをまわすと扉はすんなりと開いた。鍵すらかけていないことをいぶかしみつつ、手探りで絵画を探す。すると、とある一枚の絵に手が触れた。そして、スキアは直感した。これはトゥーリの創り出した絵画だと。どうしてわかるのか彼女自身にも不思議だったが、それでもその感覚があっていると彼女は確信できた。
先ほどの感覚を頼りに絵を探すと、過ぎに他の絵画も見つけることが出来た。スキアは4枚の絵画を抱えるとよろよろと歩き出した。大判と言うほどではないが、それでもそれなりの大きさの絵画四枚を持って歩くのは女一人には大変な重さであった。
スキアは廊下へと出ると、来た時とは逆方向へと歩き出した。来た時の部屋から行くよりも玄関へ向かった方が、圧倒的に距離が近いと考えたからだ。仮に、トゥーリ達がいたとしても隙をついてクロウにさえ絵画を渡せば解放できると。
そして、1階へと降りる階段まで来た。エントランスは吹き抜けになっているため、スキアのいる2階から玄関の明かりが見えた。久しぶりに見る明かりにスキアは安堵し、階段を降りようとした。だが、彼女はどんと何かにぶつかった。スキアの前にはうつろな青い瞳をした初老の男——ネブラが立っていた。
スキアは全身が総毛立つような感覚を覚えた。この場から、この男から一刻も早く離れなければまずいと、スキアはネブラをかわし階段を降りようとした。だが、重い絵画を持っていたこと、そして急いでいたことが重なり足をもつれさせ、絵画と共に踊り場まで転げ落ちた。
すぐさまスキアは立ち上がって逃げようとしたが、右足に鋭い痛みを感じた。見ると、薄暗い中でも足が赤く腫れあがっているのが見えた。ネブラはそんな彼女を何の感情も持ち合わせていない瞳で見ながら、ゆっくりと階段を下りてきた。
スキアは歯を食いしばると、意識を集中しネブラへと影を放とうとした。しかし、影からは先ほどのような力強さは感じられず、弱弱しくネブラへと向かっていった。後ほんの数センチでネブラへと届くというところで、ネブラの目の前に突然闇が広がった。そして、影はその中へと吸い込まれなくなってしまった。
「そ…そんな、なんで?」
スキアは絶望した声でつぶやいた。それと同時にドンという轟音と共に玄関から何かが飛び込んできてエントランスにどすっと転がった。スキアはその正体を確認すると、彼女の瞳は先ほどとは比べ物にならないほど絶望の色に染まった。
「結局、私を助けるってご高説をたれても何もできないじゃない」
嘲笑を含んだ声でトゥーリがアリスを伴い玄関から入ってきた。そして、ちらりとネブラの姿を確認すると、ただ一言「やりなさい」と命令した。
すると、ネブラの全身から闇があふれ出し、周囲をすべて覆っていき、かすかに玄関から入ってきていた光も完全に消えてしまった。そして、トゥーリは暗闇の中でも見えているのだろうか、焼け焦げたクロウと階段の踊り場に座り込むスキアの姿を見て、高々と告げた。
「さぁ、ゲームセットよ!」
そしてスキアは出来るだけ音をたてないようにそっと屋敷の中へと入った。トゥーリは人を絵画にすると決まって自身の部屋に飾っていたため、スキアは彼女の部屋へ向かおうと、そっと部屋の扉を開けた。
そして、スキアはその金色の瞳を見開いた。彼女も目にはひたすらに闇が移っていた。確かに、屋敷の中はもともと昼でも薄暗かった。しかし、多少は窓から日が差し込むため、最低限の光はあった。だが、スキアの目の前には光は一つもなかった。
このまま進めばこの闇に飲み込まれるのではないかという恐怖がスキアの全身を覆った。しかし、スキアはぶんぶんと首を振ると、そんな恐怖を無理やりに引きはがすように大きく廊下へ足を踏み出した。
廊下は暗く、普通であればとてもではないが歩けたものではなかった。しかし、スキアは足取りこそ遅いものの着実に歩を進めることが出来た。当然だ、彼女はこの屋敷を十年ものあいだ管理し続けたのだから。
スキアは部屋までは2,3分でたどり着くことが出来た。そしてゆっくりとドアノブをまわすと扉はすんなりと開いた。鍵すらかけていないことをいぶかしみつつ、手探りで絵画を探す。すると、とある一枚の絵に手が触れた。そして、スキアは直感した。これはトゥーリの創り出した絵画だと。どうしてわかるのか彼女自身にも不思議だったが、それでもその感覚があっていると彼女は確信できた。
先ほどの感覚を頼りに絵を探すと、過ぎに他の絵画も見つけることが出来た。スキアは4枚の絵画を抱えるとよろよろと歩き出した。大判と言うほどではないが、それでもそれなりの大きさの絵画四枚を持って歩くのは女一人には大変な重さであった。
スキアは廊下へと出ると、来た時とは逆方向へと歩き出した。来た時の部屋から行くよりも玄関へ向かった方が、圧倒的に距離が近いと考えたからだ。仮に、トゥーリ達がいたとしても隙をついてクロウにさえ絵画を渡せば解放できると。
そして、1階へと降りる階段まで来た。エントランスは吹き抜けになっているため、スキアのいる2階から玄関の明かりが見えた。久しぶりに見る明かりにスキアは安堵し、階段を降りようとした。だが、彼女はどんと何かにぶつかった。スキアの前にはうつろな青い瞳をした初老の男——ネブラが立っていた。
スキアは全身が総毛立つような感覚を覚えた。この場から、この男から一刻も早く離れなければまずいと、スキアはネブラをかわし階段を降りようとした。だが、重い絵画を持っていたこと、そして急いでいたことが重なり足をもつれさせ、絵画と共に踊り場まで転げ落ちた。
すぐさまスキアは立ち上がって逃げようとしたが、右足に鋭い痛みを感じた。見ると、薄暗い中でも足が赤く腫れあがっているのが見えた。ネブラはそんな彼女を何の感情も持ち合わせていない瞳で見ながら、ゆっくりと階段を下りてきた。
スキアは歯を食いしばると、意識を集中しネブラへと影を放とうとした。しかし、影からは先ほどのような力強さは感じられず、弱弱しくネブラへと向かっていった。後ほんの数センチでネブラへと届くというところで、ネブラの目の前に突然闇が広がった。そして、影はその中へと吸い込まれなくなってしまった。
「そ…そんな、なんで?」
スキアは絶望した声でつぶやいた。それと同時にドンという轟音と共に玄関から何かが飛び込んできてエントランスにどすっと転がった。スキアはその正体を確認すると、彼女の瞳は先ほどとは比べ物にならないほど絶望の色に染まった。
「結局、私を助けるってご高説をたれても何もできないじゃない」
嘲笑を含んだ声でトゥーリがアリスを伴い玄関から入ってきた。そして、ちらりとネブラの姿を確認すると、ただ一言「やりなさい」と命令した。
すると、ネブラの全身から闇があふれ出し、周囲をすべて覆っていき、かすかに玄関から入ってきていた光も完全に消えてしまった。そして、トゥーリは暗闇の中でも見えているのだろうか、焼け焦げたクロウと階段の踊り場に座り込むスキアの姿を見て、高々と告げた。
「さぁ、ゲームセットよ!」
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