気づいたら日本まるごとゲーム世界でした!?

黒鳥カラス

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第1章_ベースとギルドと大阪と

梅田の侵攻

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 心斎橋地下街で小規模の“核”を壊した翌日。
 難波ギルドのロビーは、朝から妙なざわつきに包まれていた。
 昨日は「やったな!」って歓声が飛び交ってたのに、今日はみんな声をひそめている。

「……遼、なんか雰囲気ちゃうな」
 智樹が俺の隣で腕を組む。
「うん。昨日の勝利ムード、どこいったん?」
「多分……来る」雅の声は落ち着いているけど、少し震えていた。

 そのとき、ロビーの中央にシステムウィンドウが浮かんだ。



【緊急システム通知】
【事案:梅田ギルドによる広域侵攻】
危険度:B
対象:難波エリア全域
発生条件:支配の核(小規模)の破壊により、梅田側が反応
指令:即応態勢を取れ



「……やっぱり、報復や」堂島龍臣がスティックをコン、コンと鳴らす。
「俺らが小規模核を壊したせいで、梅田が本格的に動き出した。逃げ道はない」

「数は?」智樹がすぐ尋ねる。
「斥候含めて二十から三十。支配下も混じっとる」舞さんがタブレットを操作し、マップに赤い点を映す。
「東から三波、西から一波。目的は……ここ、難波本拠地やろな」

「三十!? いきなり多ない!?」俺は思わず声を上げた。
「普通のゲームなら“中ボス戦”くらいの規模よね」雅が冷静に言う。
「例えるならやめてくれへん!? 心臓バクバクなんやけど!」



 準備の時間はわずか。
 武器を点検し、防具を着け、食堂から握り飯が大量に配られる。
 俺たち新人組にも、小隊マークが渡された。

「お前らは第二小隊や。位置は東の路地。最前線じゃないけど、突破されたら本拠地直撃や」
「了解」智樹が即答。
「了解……って俺も言わなあかんやつやな?」
「当たり前や」雅が小さく笑う。



 夕方。
 俺たちは東の路地で待機していた。
 薄暗い通りに、赤いシステムマーカーがじわじわ近づいてくる。

「……来た」智樹が剣を抜く。
 低く一定のリズムが空気を叩く。
 コン、コン、コン、コン。
 耳に入った瞬間、体がざわついた。

「また……南条のリズム」雅が魔導書を握る。
「けど、今は俺がいる」俺はサニーを抱え、共鳴石を装着した。
「――内側に、床を作る!」



【スキル発動:グルーヴシールド】
範囲:中/効果:精神固定+支配干渉軽減



 透明の床が広がり、仲間の足が揃う。
 支配下のプレイヤーたちが揃って襲いかかるが、そのリズムは半拍ずれていた。

「抜ける!」智樹が剣で一人を弾き飛ばす。
「後衛カット!」雅の光弾が二人を止める。
 俺はベースを盾に受け、肩で衝撃を耐える。
「うおおお……サニー折れんなよ!」
「戦闘中に楽器に祈るな!」智樹が即ツッコミ。



【討伐:支配下プレイヤー×5】
【ドロップ:黒いリズム片×2】



「よし……まだいける!」
 そう思った瞬間、奥の道からさらに赤いマーカーが現れた。
 十、いや十五はいる。
 数で押しつぶす気だ。

「くっ……持つか!?」
「持たせる! 俺が床を強くする!」
 E弦を叩きつけ、リズムを刻む。
 ドゥゥン、ドゥゥン、ドゥゥン……!



【スキル進化:グルーヴシールド改】
効果:味方の精神抵抗+15%
範囲:拡張



「……遼、ほんまに強なったな」智樹が口元を緩める。
「ありがとう、でも終わってから言え!」雅が叫ぶ。

 そのとき。
 奥の建物の屋上に、白いスーツの影が立った。
 指揮棒が夜空に浮かび、冷たい声が響く。

「――いい。奪う価値がある」
 南条剛。
 俺を、はっきりと狙っていた。
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