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第1章_ベースとギルドと大阪と
低音と支配の衝突
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東の路地。
夕闇を切り裂くように、白いスーツの男が屋上に立っていた。
南条剛――梅田ギルド幹部、指揮棒の支配者。
指先で軽くタクトを振るだけで、下の支配下プレイヤーたちの動きが変わる。
ぎこちなかったはずの歩幅が、ピタリと揃った。
軍靴のような足音が、路地を圧迫する。
⸻
【イベント戦闘:南条剛】
危険度:B+
勝利条件:撤退または時間切れまで生存
特殊条件:プレイヤー“長谷川遼”を標的
⸻
「……やば」俺は背中に冷や汗を感じながら、サニーを握り直す。
「ほんまに狙ってきよったか」智樹が剣を抜く。
「この数……普通なら詰みね」雅が低く言う。
「いや、普通じゃないから。俺らは」
自分で言っておきながら、喉がからからだ。
でも引くわけにはいかない。
⸻
南条の指揮棒が空を裂いた。
コン、コン、コン、コン――!
路地全体に四拍が響き渡る。
その瞬間、俺の心臓がズレそうになった。
「くっ……体が勝手に……!」
智樹の剣が一瞬ブレる。雅の魔力も揺らぐ。
支配は俺たちにまで浸透しようとしていた。
「――遼!」
智樹の声に押され、俺は弦を叩きつけた。
ドゥゥゥン! ドゥゥゥン!
低音が地面を這い、空気を震わせる。
⸻
【スキル発動:グルーヴシールド改】
効果:支配干渉を中和/味方の精神を固定
⸻
「止まった……!」雅の目が見開かれる。
南条の四拍に合わせられそうになった身体が、別の“床”に固定される。
「……ほう」
屋上の南条が、わずかに口角を上げた。
「自ら床を作るか。ならば――壊す」
タクトが大きく振られる。
支配下プレイヤーたちが一斉に跳びかかってきた。
数は十五。まともに受ければ押し潰される。
「遼、もっと出せ!」智樹が叫ぶ。
「了解!」
俺は共鳴石に力を込め、さらに深い低音を鳴らす。
ドゥゥゥゥゥン……!
空気が揺れ、建物の窓ガラスがビリビリと震えた。
⸻
【スキル連携:リズムシフト+グルーヴシールド】
効果:敵のリズムを半拍ずらす/味方の固定強化
⸻
操られたプレイヤーたちの足並みが崩れ、一瞬バラバラに。
その隙に智樹が切り込み、雅が光の壁を展開して押し返す。
「……っしゃあ!」
「まだ終わってない!」雅の声。
⸻
南条が再び指揮棒を振る。
今度は空気そのものが重くなった。
体の奥、鼓動に直接干渉してくるようなリズム。
「ぐっ……やば……っ!」
シールドがきしむ。頭が割れそうだ。
俺は必死で弦を叩き、音を重ねる。
「遼!」
「わかっとる……! ――崩れるなよ!」
⸻
【新スキル覚醒条件:精神抵抗 極限状態】
発動可否:判定中
⸻
頭の中に、システムの文字が走った。
胸の奥に熱が集まり、指先が勝手に動く。
自然と生まれたフレーズは、重く、優しく、仲間を支える旋律だった。
ドゥゥゥゥン……ドゥゥゥン……!
⸻
【新スキル獲得:アンカーリズム】
効果:一時的に味方全員の精神を固定。支配干渉を無効化。
持続:短時間/消耗:大
⸻
透明な床が、厚い“錨”のように沈んだ。
俺たち三人の足がしっかり地面に根を張り、南条のリズムが弾き返される。
「……なに……?」
南条の瞳がわずかに揺れた。
「俺の支配が……弾かれた……だと?」
「そう簡単に奪わせへん。俺の低音は――仲間のもんや!」
叫んだ瞬間、智樹が斬り込み、雅の魔法が炸裂。
操られていた十五人が一気に吹き飛び、南条の支配の糸がぷつりと切れた。
⸻
【イベント戦闘:南条剛】
状況:撤退条件達成/時間切れ
結果:生存勝利
メインクエスト進行度:30%
⸻
「……今日はここまでだ」
南条はタクトを下ろし、静かに踵を返す。
「だが必ず……その低音を奪う」
白いスーツの背中が闇に消えていく。
⸻
戦場に残された静寂の中、俺はサニーを抱き締め、膝から崩れ落ちた。
「……はぁ、はぁ……死ぬかと思った」
「でもやった。支配を弾いた」雅が小さく笑う。
「遼、今のは間違いなく切り札や」智樹が肩を叩く。
「……切り札ね。いい響きやけど、胃に悪いわ」
俺は冗談を口にしながらも、胸の奥に確かな実感を抱いていた。
低音は、仲間を守れる。
そして南条をも揺らせる。
戦いは、まだ始まったばかりだ。
夕闇を切り裂くように、白いスーツの男が屋上に立っていた。
南条剛――梅田ギルド幹部、指揮棒の支配者。
指先で軽くタクトを振るだけで、下の支配下プレイヤーたちの動きが変わる。
ぎこちなかったはずの歩幅が、ピタリと揃った。
軍靴のような足音が、路地を圧迫する。
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【イベント戦闘:南条剛】
危険度:B+
勝利条件:撤退または時間切れまで生存
特殊条件:プレイヤー“長谷川遼”を標的
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「……やば」俺は背中に冷や汗を感じながら、サニーを握り直す。
「ほんまに狙ってきよったか」智樹が剣を抜く。
「この数……普通なら詰みね」雅が低く言う。
「いや、普通じゃないから。俺らは」
自分で言っておきながら、喉がからからだ。
でも引くわけにはいかない。
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南条の指揮棒が空を裂いた。
コン、コン、コン、コン――!
路地全体に四拍が響き渡る。
その瞬間、俺の心臓がズレそうになった。
「くっ……体が勝手に……!」
智樹の剣が一瞬ブレる。雅の魔力も揺らぐ。
支配は俺たちにまで浸透しようとしていた。
「――遼!」
智樹の声に押され、俺は弦を叩きつけた。
ドゥゥゥン! ドゥゥゥン!
低音が地面を這い、空気を震わせる。
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【スキル発動:グルーヴシールド改】
効果:支配干渉を中和/味方の精神を固定
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「止まった……!」雅の目が見開かれる。
南条の四拍に合わせられそうになった身体が、別の“床”に固定される。
「……ほう」
屋上の南条が、わずかに口角を上げた。
「自ら床を作るか。ならば――壊す」
タクトが大きく振られる。
支配下プレイヤーたちが一斉に跳びかかってきた。
数は十五。まともに受ければ押し潰される。
「遼、もっと出せ!」智樹が叫ぶ。
「了解!」
俺は共鳴石に力を込め、さらに深い低音を鳴らす。
ドゥゥゥゥゥン……!
空気が揺れ、建物の窓ガラスがビリビリと震えた。
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【スキル連携:リズムシフト+グルーヴシールド】
効果:敵のリズムを半拍ずらす/味方の固定強化
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操られたプレイヤーたちの足並みが崩れ、一瞬バラバラに。
その隙に智樹が切り込み、雅が光の壁を展開して押し返す。
「……っしゃあ!」
「まだ終わってない!」雅の声。
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南条が再び指揮棒を振る。
今度は空気そのものが重くなった。
体の奥、鼓動に直接干渉してくるようなリズム。
「ぐっ……やば……っ!」
シールドがきしむ。頭が割れそうだ。
俺は必死で弦を叩き、音を重ねる。
「遼!」
「わかっとる……! ――崩れるなよ!」
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【新スキル覚醒条件:精神抵抗 極限状態】
発動可否:判定中
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頭の中に、システムの文字が走った。
胸の奥に熱が集まり、指先が勝手に動く。
自然と生まれたフレーズは、重く、優しく、仲間を支える旋律だった。
ドゥゥゥゥン……ドゥゥゥン……!
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【新スキル獲得:アンカーリズム】
効果:一時的に味方全員の精神を固定。支配干渉を無効化。
持続:短時間/消耗:大
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透明な床が、厚い“錨”のように沈んだ。
俺たち三人の足がしっかり地面に根を張り、南条のリズムが弾き返される。
「……なに……?」
南条の瞳がわずかに揺れた。
「俺の支配が……弾かれた……だと?」
「そう簡単に奪わせへん。俺の低音は――仲間のもんや!」
叫んだ瞬間、智樹が斬り込み、雅の魔法が炸裂。
操られていた十五人が一気に吹き飛び、南条の支配の糸がぷつりと切れた。
⸻
【イベント戦闘:南条剛】
状況:撤退条件達成/時間切れ
結果:生存勝利
メインクエスト進行度:30%
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「……今日はここまでだ」
南条はタクトを下ろし、静かに踵を返す。
「だが必ず……その低音を奪う」
白いスーツの背中が闇に消えていく。
⸻
戦場に残された静寂の中、俺はサニーを抱き締め、膝から崩れ落ちた。
「……はぁ、はぁ……死ぬかと思った」
「でもやった。支配を弾いた」雅が小さく笑う。
「遼、今のは間違いなく切り札や」智樹が肩を叩く。
「……切り札ね。いい響きやけど、胃に悪いわ」
俺は冗談を口にしながらも、胸の奥に確かな実感を抱いていた。
低音は、仲間を守れる。
そして南条をも揺らせる。
戦いは、まだ始まったばかりだ。
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