特命機関夏目リサーチ

クライングフリーマン

文字の大きさ
2 / 47

2.『見張り役』

しおりを挟む
========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
夏目房之助・・・有限会社市場リサーチの会社の実質経営者だった。名義代表者は、妻の夏目優香。
夏目優香・・・有限会社夏目リサーチ社長。コロニー被爆の疑いで3日間隔離された。
夏目朱美・・・有限会社夏目リサーチ副社長。
笠置・・・夏目リサーチ社員。
高山・・・夏目リサーチ社員。
榊・・・夏目リサーチ社員。
久保田管理官・・・警視庁テロ対策室所属だが、引きこもり犯人との交渉人を勤めることもある。EITO初代司令官。

===============================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。


午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置以下、古参のグループが作業に入った。
作業。それは何か、マッチングシステムによる、『面割り』だ。
表向きの市場調査は、『通行人調査』だ。カウンターをカチカチ。あれである。
このとき、隠しカメラで通行人を撮影している。
遠隔操作の為、カチカチのバイト君には分からない。
幸い、件のスパイは、『市場調査の報告書』の整理作業を行っていたので、このカラクリは分からない。
夏目リサーチには、市場調査の際に得られた膨大なデータが集まっている。
公安またはEITOの要請で、『市場調査』の振りして監視・張り込みが行われることもある。
誰も、カチカチやっている人間に『盗撮』されているとは思わない。
言わば、『くろこ』だから。
EITOからの要請で、笠置、高山、榊は、警視庁が開発した『顔認証システム』で、前科のある者のデータや、運転免許証のデータ、お名前カードのデータと照合していた。
この大事な作業は自動で行われるものの、やはりオペレータが必要となる。最終チェック・確認だ。
「あった!!」榊の声に、皆が集まった。
今オリンピック記念公園にある駒沢球場で、ドリフト・アイスこと小谷配下の集団が闘った時の防犯カメラの映像と、EITOの原田警部が仕掛けた隠しカメラの映像、前科のある者のデータや、運転免許証のデータ、お名前カードのデータ、それに今まで顔認証システムであぶり出された履歴データが、同時に、1人の男を割り出した。
名前は、茅野勇作。詰まり、決戦の時に『見張っていた』人物が、集団食中毒事件とも関連した人物ということになる。
笠置は、警視庁の久保田管理官の部屋に電話した。
今日は、繋がった。
「よくやってくれた。EITOと村越さんには、私から連絡しておく。被疑者は既に逃亡中だが、改めてガサ入れを行う。」
笠置が受話器を置くと受話器に繋がった自動録音機が停止した。
「笠置さん。茅野は、『先輩幹』と呼ばれていた、『ダーティー・ブランチ』の配下、『枝』かも知れませんね。」と榊が言った。
「付属データには、2課で昔捕まえたことがあるが、証拠不充分で不起訴になった、とありますね。仮釈放の時の身元引受人かな?『ダーティー・ブランチ』」
「うん。あり得るね。」そう言ってすぐ『でんわ、いそげ!』と駄洒落を言って、笠置は、再び久保田管理官に電話をした。
「成程。本庄さんに尋ねてみよう。案外、早く見つかるかも知れないな。」
笠置は、今度は優香に電話した。
「ありがとう。助かるわ。夏目にも報告しておきます。」
笠置達は、他の案件の『リサーチ』に取りかかった。
以前より広い、分室は、仮眠室もばす・トイレも給湯室も食堂もある。
だが、元来『仕事人間』の彼らは、いずれも使ったことがない。10人のメンバーは、シフトで交替、午後10時から午前7時までが勤務だ。元警察官もいれば、元会社員もいる。
まだ、仕事は始まったばかりだ。
―完―



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

秋月の鬼

凪子
キャラ文芸
時は昔。吉野の国の寒村に生まれ育った少女・常盤(ときわ)は、主都・白鴎(はくおう)を目指して旅立つ。領主秋月家では、当主である京次郎が正室を娶るため、国中の娘から身分を問わず花嫁候補を募っていた。 安曇城へたどりついた常盤は、美貌の花魁・夕霧や、高貴な姫君・容花、おきゃんな町娘・春日、おしとやかな令嬢・清子らと出会う。 境遇も立場もさまざまな彼女らは候補者として大部屋に集められ、その日から当主の嫁選びと称する試練が始まった。 ところが、その試練は死者が出るほど苛酷なものだった……。 常盤は試練を乗り越え、領主の正妻の座を掴みとれるのか?

異国妃の宮廷漂流記

花雨宮琵
キャラ文芸
唯一の身内である祖母を失った公爵令嬢・ヘレナに持ち上がったのは、元敵国の皇太子・アルフォンスとの縁談。 夫となる人には、愛する女性と皇子がいるという。 いずれ離縁される“お飾りの皇太子妃”――そう冷笑されながら、ヘレナは宮廷という伏魔殿に足を踏み入れる。 冷徹と噂される皇太子とのすれ違い、宮中に渦巻く陰謀、そして胸の奥に残る初恋の記憶。 これは、居場所を持たないお転婆な花嫁が、庇護系ヒーローに静かに溺愛されながら、自分の居場所を築き逞しく美しい女性に成長するまでの、ときに騒がしく、とびきり愛おしい――笑って泣ける、ハッピーエンドのサバイバル譚です。 ※本作は2年前にカクヨム、エブリスタに掲載していた物語『元敵国に嫁いだ皇太子妃は、初恋の彼に想いを馳せる』を大幅に改稿し、別作品として仕上げたものです。 © 花雨宮琵 2025 All Rights Reserved. 無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...