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165.目黒区連続レイプ事件

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
 夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
 金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
 日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。
 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。
 江南(えなみ)美由紀・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
 青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
 渡伸也一曹・・・陸自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当の事務官。
 草薙あきら・・・警視庁からのEITO出向。特別事務官。
 河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
 橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。愛宕の相棒。
 久保田管理官・・・EITO前司令官。斉藤理事官の命で、伝子達をEITOにスカウトした。
 中山ひかる・・・以前、愛宕のお隣さんだった。謎解きが得意な大学生。伝子達の後輩。
 青木新一・・・Linenを使いこなす大学生。友人の致傷事件の関係者。後に伝子達の協力者になる。
 椎橋太郎警部補・・・目黒署刑事。
 西園寺公子・・・中津健二の恋人。
 中津健二・・・中津興信所所長。
 =================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 午前10時。目黒区。目黒区民センター図書館。
 本を借りて、テニスコートを抜け、権之助坂に向かう途中の女子大生芦名ひじりは、大学生っぽい男に声をかけられた。
「予約席にいた人ですよね、図書館でお会いしましたよね。」
「そう言えば・・・はい。」「どうやって、予約したんですかあ?僕は引っ越したばかりだし、今まであまり図書館を利用したことなくて。予約システム教えて貰う代わりに、冷やし中華、奢りますよ。駅前に新しい店出来ましたよね。」
 ひじりは、言われるまま、ラーメン屋に入り、冷やし中華を食べながら予約システムの話をした。そして、彼のペースに乗り、喫茶店でも話し、ボーリングをし、いつの間にか夕方になっていた。
 送って行く、と強引に言われ、アパートに帰ったひじりは、その男にレイプされた。
 アパートには、管理人がいない。他の店子は皆帰省していなかった。
 翌日。午前7時。
 故郷への帰省から戻った、他の店子の女子大生が、ひじりを発見。警察に通報した。
 レイプした男の体液やDNAからは、有力な手掛かりは見つからなかった。
 目黒署刑事椎橋は、捜査会議の時に、「お手上げですか。」と、ため息をついた。
 同日。午前10時。中目黒駅前図書館。
 地下にある図書館から、駐車場を抜けて中目黒GTに向かう途中の、相葉瑪瑙(めのう)は、ある男に声をかけられた。
「予約席にいた人ですよね、図書館でお会いしましたよね。」「そう言えば・・・はい。」
 翌日。午前1時。
 マンションに帰ってきたカップルが、相葉を発見した。男の方が100番し、女の方は、虚空を睨んでいた。明らかにレイプ殺人だ。女の敵だ。彼女は、そう確信した。
 午前4時。捜査本部に泊まっていた椎橋ほかの捜査員は色めき立った。
 明らかに連続レイプ殺人だ。
 本部長の目黒署署長は言った。「戒名を変えろ。『連続』がついた。退役もDNAも、前のホシと同じだ。」
「朝イチで、目黒区内の図書館全部に臨時休館の指示を出す。それと、女子大や共学の大学の女子大生は、単独行動を自粛するように、呼びかける。」
 副署長の言葉に、入って来た副総監が「それは、記者会見で私が言おう。」と言った。
 午前9時。EITO本部。会議室。
「今、副総監がリモート記者会見を行っておられる。」と、理事官が言った。
「連続レイプ事件ですか。まだ、警察の案件では?」と、夏目警視正が言うと、「いや、そうでもない。実は、昨夜遅く、大文字君の病室にケンが現れて、2つ教えて行った。」と、画面の中の久保田管理官が言った。
「一つは、オクトパスこと山下が教えてくれたシンドロームの正式名だ。サンドシンドロームだ。砂症候群。それでも訳が分からない名前だが。もう一つは、そのサンドシンドロームは、特殊なプロを抱えているらしい。今回のレイプ犯も、そのプロではないか、ということだ。」
「じゃ、単独犯じゃなくて、バックにダークレインボーがいるってことですか?」と筒井は言った。
「そうなるね。及ばずながら、いや、及ばないかも知れないが、私も参加することになりそうです。」と、枝山事務官が入って来て言った。
「2つの図書館利用者がレイプ殺人事件に遭ったというので、調べてみましたが、目黒区立図書館では、予約システムがあるそうです。この図書館の予約システムは、全国的に広まっていますが、システムは地方地域によって異なります。管理しきれないですからね。予約の方法は、館内端末で行う方法と、スマホやPCでWEB予約する方法があります。で、目黒区立図書館は・・・。」
 枝山は、ホワイトボードに書き出し、マップを理事官に渡した。
 ホワイトボードには、こう書き出された。

 1.八雲中央図書館
 2.大橋図書館
 3.中目黒駅前図書館
 4.目黒区民センター図書館
 5.守屋図書館
 6.目黒本町図書館
 7.洗足図書館
 8.緑が丘図書館
 】

「犯人の手口ですが、恐らくナンパ、ではないかと私は見ています。草薙さんなら、どうナンパします?」
「予約システムの使い方、教えてくれ、とか。」即答した草薙に、「お前、ナンパ師だったのか?」と渡が感心して言った。
「いや、一般的な見解だよ。」「でも、即答したわよね。みんな、注意しなさいよ。草薙さんのナンパに。」と、言い訳する草薙にあつこは言った。
「私、ナンパされてもついて行きます。草薙さん、イケメンだし。」
 調子に乗った、下條の足を、あかりは黙って踏んづけた。
「いたーい。先輩、パワハラですぅ。」と、あかりにわざとらしく下條は言った。
 結城は、「下條。いい加減にしなさい。休み時間じゃない。会議中だ。新町もいちいち目くじらたてるな!」と2人をけん制した。
「じゃ、会議を続けましょう。」と、なぎさは、枝山に目配せした。
「えーっと。2軒襲われた訳ですが、目黒警察の方では、区内全図書館を閉館する案と、囮作戦を実行すべきという案が拮抗しています。」
 マルチディスプレイに久保田管理官が現れ、こう言った。
「警察の方では、囮が非常に危険なので、慎重になっている。そこで、EITOに協力を申し出てきた。サンドシンドロームの仕業かも知れないしね。」
「私は既に、レイプ経験済みだから恐怖心はないけど、『としま』だし。」となぎさは言った。
「私は出産済みのミセスだからへいきだけだけど、『としま』だし。」と、あつこは言った。
「私はミセスで流産経験済みだから平気だけど、『としま』だし。」と、みちるは言った。
「副隊長、理事官。囮は女子大生に見える人がいいんじゃないでしょうか?私はミセスだし、『としま』だし。」と、金森が言った。
「大文字の悪影響デカすぎだな。」と、筒井が呟いた。
 青山も高木も井関も馬場も頷いた。
 結城も日向も伊地知も、あかりを見た。
 増田も馬越も大町も田坂もあかりを見た。
 江南も安藤も浜田もあかりを見た。
 飯星も稲森も静音もあかりを見た。
 金森も増田もあかりを見た。
 下條と小坂もあかりを見た。
 越後と葉月もあかりを見た。
 財前と仁礼もあかりを見た。
 なぎさもあつこもみちるもあかりを見た。
 草薙も渡も河野も枝山もあかりを見た。
 理事官も夏目もあかりを見た。
「決まりだな。」と、ディスプレイの中から、久保田管理官が言った。
 当人のあかりは、きょとんとしている。
 午前10時。池上病院。伝子の病室。
 PCで会議室の様子を見ていた、伝子、高遠、池上院長は爆笑した。
「決まりだな、だってさ。」と、伝子は顔をしかめながら、笑った。
「大文字さん。無理しちゃ、だ、ダメよ。」と言いながら、院長も笑いが止まらない。
 午後1時。目黒区立大橋図書館前。
 図書館を出て、目黒天空庭園に向かう、あかりに声をかける男がいた。
「予約席にいた人ですよね、図書館でお会いしましたよね。」「そう言えば・・・はい。」
 2人は、一緒に歩きながら話をした。あかりは、ボロが出ないように、口数を少なめにした。
 天空庭園の前に来たとき、男は天空庭園の説明をする振りをして、あかりの首を背後から鎖で締め付けた。
「今日は、喫茶店とか行かないのか?レイプする『お楽しみ』は飽きたのか?」と言う声が聞こえた。
「待っていたよ、エマージェンシーガールズ。」男は更に首を絞めた。
 天空庭園の方から、ぱらぱらと、銃や機関銃を持った一団が現れた。
 エマージェンシーガールズが現れた。すかさず、あかりは逃げ去った。
 あつこと金森がブーメランを投げた。男の顔面と股間に見事に当たった。男は前屈みになった。あかりは、容赦なく男の股間を蹴った。
 エマージェンシーガールズが一団に向かって、冷凍ガンで、銃や機関銃を持った男達の手首を麻痺または銃を使用不能にし、一斉にバトルスティックで闘い始めた。
 なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た音波を出すホイッスルで、一時的な連絡に使うことが多い。
「甘いな。」倒れたままの男は言った。
 どこからか、手榴弾が跳んできた。
 稲森は鞭で、手榴弾を跳ね飛ばした。
 天空庭園から跳んできた手榴弾だったが、オスプレイがやって来て、小型水流弾をその投げた連中の真上から落とし、水浸しにした。小型水流弾は、MAITOが開発した水流弾の小型のものである。手榴弾チームは一瞬にしてびしょ濡れになった。
 愛宕とやって来た、椎橋は「お見事。」と言って、他の警察官と一緒に一団の男達を逮捕連行した。橋爪警部補は、「お仲間増えたかな?」と言った。
 エマージェンシーガールズがオスプレイで引き上げた後、あかりは、少し離れた、図書館の駐車場に駐まっていた自動車に近寄った。そして、乗った。
 中にいた中津健二は言った。「確かに、オッパイ自慢だけあって、大きいな。ウチの所員とどっちが大きいかな?」
 後部座席にいた、西園寺公子は言った。「どうも、初めまして。Gカップの西園寺です。」「Fカップの新町です。変な自己紹介。」と、あかりは笑った。
 中津は、笑いながら、自動車を発進させた。
「撮影者はいなかったようだが、遠くからなら分からないね。別行動させるには、どうしたらいいか?なんて大文字さんが言ったから協力したが、新しい敵が強烈な奴だったら、無駄かも知れないな。ま、よろしく。当面、『つなぎ』は彼女にさせるよ。」
 午後2時半。池上病院。伝子の病室。
 シーツの人形はあるが、中身は空である。
 池上家。
 伝子は、我が子を眺めている。「伝子。作戦は成功したよ。あかりちゃんも無事だ。」と、高遠は報告した。
「そうか。良かった。病室から抜け出すのも一苦労だな。」
「当面、不便だけど、我慢してね。お母さん。」と、池上院長は伝子に言った。
 ―完―

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