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211.静かな年越し

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
 久保田健太郎・・・久保田警部補とあつこの子。
 馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
 日向さやか(ひなたさやか)一佐・・・空自からのEITO出向。
 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。EITOボーイズに参加。
 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
 高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
 久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。
 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
 夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
 物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。喫茶店アテロゴのマスター。
 物部(逢坂)栞・・・伝子の大学の翻訳部の同輩。物部と再婚した。童話作家だったが、今は書いていない。
 物部満百合・・・物部と栞の子供。
 辰巳一郎・・・物部が経営する、喫茶店アテロゴのウエイター。
 一色泰子(たいこ)・・・辰巳の婚約者。喫茶店アテロゴのウエイトレス。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
 福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。今は建築デザイン事務所社員。社会人演劇を主宰。
 福本(鈴木)祥子・・・福本が「かつていた」劇団の仲間。
 福本日出夫・・・福本の叔父。タクシー運転手。元刑事。
 福本明子・・・福本の母。
 福本めぐみ・・・福本と祥子の子。
 松下宗一郎・・・福本の元劇団仲間。
 本田幸之助・・・福本の元劇団仲間。
 豊田哲夫・・・福本の劇団仲間。
 依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。宅配便ドライバーをしていたが、やすらぎほのかホテル東京の支配人になった。
 依田(小田)慶子・・・やすらぎほのかホテル東京副支配人。依田の妻。
 小田社長・・・やすらぎほのかホテル社長。慶子の叔父。
 山城順・・・伝子の中学の後輩。愛宕と同窓生。今は海自臨時職員。
 山城(南原)蘭・・・南原の妹。美容師。
 南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。元高校の国語教師。今は妻の文子と学習塾を経営している。
 南原(大田原)文子・・・南原の妻。
 服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。妻のコウと音楽教室を経営している。
 服部(麻宮)コウ・・・服部の妻。
 本庄尚子・・・本庄院長の姪。弁護士。
 藤井康子・・・伝子のお隣さん。モールで料理教室を開いている。
 大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
 森淳子・・・依田が済んでいたアパートの大家さん。
 中津健二・・・中津警部の弟で、中津興信所を開いている。
 西園寺公子・・・中津興信所中津健二の妻で、所員。
 根津あき所員・・・中津興信所所員。
 泊所員・・・中津興信所所員。
 高崎所員・・・中津興信所所員。
 本郷隼人・・・EITOシステム開発担当。普段は、EITO秘密基地にいる。
 大蔵太蔵(おおくらたいぞう)・・・EITOシステム部長。普段は、EITO秘密基地にいる。
 池上葉子・・・池上病院院長。
 真中志津子・・・池上病院総看護師長。
 真中瞳・・・池上病院看護師長。
 みゆき出版社編集長山村・・・伝子と高遠が原稿を収めている、出版社の編集長

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 午前10時。EITO本部。会議室。
「お母さんまで、引っ張り出すとは、ね。」と夏目警視正が言った。
「見張りはいませんでしたが、どこかにカメラが仕込まれているかも知れなかったので。」と、伝子は応えた。
「おねえさま。MAITOの、あの布は?フリーズ弾は分かるけど。重油のこと、知ってたの?あ、知ってらしたの?」と、あつこは尋ねた。
「いや、警視。重油の盗難とタンクローリーの盗難は警察に届け出が既にあったんだよ。そして、住民側から変な工事をしているという通報もね。そこで、空自のMAITOに相談してみたんだ。そこで、災害救助用の『布爆弾』と森林火災用のフリーズ弾を試した、と言っていた。」と、理事官は言った。
「会長室から飛び降りた者達だが、飛び込む前に毒を飲んでいたようだ。落ちて生きてても、死ぬ予定だった。」と、マルチディスプレイの中から久保田管理官が言った。
「コンティニュー、いや、ダークレインボーらしくない。裏金を送金した手順もプロだ。」と筒井は言った。
「私も、一瞬、映画みたい、と思いました。」と、増田が言った。
「本日新聞グループが、どうなろうと我々には関係ない。皆、今日は休め。コンティニューがいつ挑戦してくるか分からないが、今日は大晦日、明日は元日だ。皆よく働いた。ありがとう。出来れば、静かに新年を迎えたいものだな。」
 午後1時。馬場と金森のアパート。
「乾燥、どうする?」「ダメ元でコインランドリー。」「力、後悔してない?」「後悔してるさ。ほったらかしにしていたんだから。」
 午後1時。日向と高木のアパート。
「マンションねえ。放火されるかもよ。」と、日向は考え込み、「筒井さんに相談してみるよ。」と、高木は言った。
 午後1時。高坂のアパート。
 飯星が来ている。「目張り、出来たよ。」
 高坂は、壁に張った、即席スクリーンに、映写機の画像を映した。
「今時、よくあったわねえ。」「うん。『モロカリ』で、掘り出し物があったんだよ。お爺ちゃんの映写機はもう、壊れてるし。」
 午後1時。服部のアパート。
「やっと、片付いたね。このラックは、生徒さんの分ね。」「教室。副島さんの片鱗、何もないのは、ビックリだったけど、芦屋さんが内装拘ってくれて良かったわ。」
 午後1時。福本邸。
 福本は松下、本田、豊田を呼んで、餅つきをしていた。サチコとジュンコが興味深く見守っている。祥子と明子と日出夫は、めぐみをあやしながら、餅つきを見ている。
 午後1時。やすらぎほのかホテル東京。
 宴会の準備をしながら依田は、「来年、人増やそうか?」と言うと、慶子は「もう増える予定よ。」と、依田の手を自分の腹に持って行き、にっこり笑った。それを見た小田社長は驚き、にっこり笑った。
 午後1時。本庄病院。
「病院で年越し、かあ。」と山城が言うと、「ねえ、あなた。お守り買って来てよ、初詣に行って。」「了解しました。」
「復活したら、私の髪、お願いねえ。」と、本庄弁護士が入って来た。
 午後1時。池上病院。
「どう、様子は?」池上院長は、総看護師長の真中志津子と看護師長の真中瞳に尋ねた。
「異常なし。」「普通に会える日が来るといいですね、高遠さん夫婦とおさむ君。」
「そうねえ。」池上院長は腕を組んで考え込んだ。伝子と高遠の息子を池上家で匿っているのである。
 午後1時。南原邸。
「蘭ちゃん、可哀想ね。」「大丈夫。山城さんがついているんだから。エマージェンシーガールズ姿、似合ってるね、。みんな。」と言いながら、みちるが撮った『エマージェンシーガールズのコスプレ隊』の記念写真を見せた。
 午後1時。愛宕邸。
「掃除して分かったけど、前の家とそっくりだね。セキュリティーシステム万全だし。」と愛宕が言うと、「元日から『リベンジ』ね。」「リチャレンジだろ?高遠さんが言ってた。リベンジは恨みある人への復讐だって。」
 午後1時。久保田邸。
「あっちゃん、本当に来るの?」「来るわよ、私の部下は仕事熱心だからね。新年からトレーニングよ。」「掃除と片づけ出来たよ。」「こっちも書類仕事終り。あっと言う間の1年だったわね。」「うん、色々あったね。」
 2人が笑ってると、「あつこ君、健太郎のミルクは?」と久保田管理官が顔を出した。
 午後1時。みゆき出版社。
 山村が挨拶をした。「この調子で頑張って頂戴!!」
 午後1時。喫茶店アテロゴ。
「じゃあな、また来年。よいお年を。」と物部が言い、辰巳と泰子は挨拶をして帰って行った。栞は満百合を抱いて、「伝子も、この感触を持つ時、来るかしら?」
「子供?ああ、大ジョブ大ジョブ。」物部は満百合の顔を覗き込みながら言った。
 午後1時。ウーマン銭湯。
 なぎさが、年末年始の貼り紙の内容をメモしている。
「予約しておきますか?」中込支配人が声をかけた。
「はい。よろしくお願いします。」
 午後1時。伝子のマンション。
「3が日?大丈夫?コンティニュー、攻めて来ない?」「向こう次第さ。皆、動きがあったら予定はキャンセルするから、遠慮無く言ってくれ、って。」
 2人の会話に割り込んで、「いい上司の下に、いい部下ってこと?」と綾子が言った。
「お義母さん、たまには、いいこと言いますね。」「たまには・・・強くなったわね、婿殿。いえ、学さん。あ、そうだ。エマージェンシーガールズのユニフォーム、ぴちぴちね。お腹出てるから?」
「そういうものなんだよ。ヒーロー・ヒロインは文句言わずに人助け。」
 藤井と森が入って来た。
「さあ、年越しそば、作るわよ!!」
 午後1時。EITO秘密基地。
「では、来年もよろしくお願いします。」と言って本郷はマセラティに乗り込んだ。
 大蔵や部下達は、見送った。
 午後1時。中津興信所。
 写真を見ながら、中津は言った。「お前達、似合うなあ。エマージェンシーガールズのユニフォームって、特殊素材らしいが、プロポーションを損ねないな。どうだ、高崎達もEITOボーイズの衣装着てみるか?」
 高崎と泊は、黙って、手を横に振った。
「いんじゃない?」「お正月に記念撮影しましょうよ。」と公子と根津は言った。
 午後2時。高速道路。
 マセラティを追ってくる車があった。本郷は覚悟を決めたが、後続車は、追い越し車線に入り、加速して、いずこかへと消えた。
 後続車の車内。
 沢山の機械が並んでいる。単なる追い越し車では無かった。
 ―完―
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