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7.【幻の友人(Tapeworm)】
しおりを挟む======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『粉の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
公園のベンチに座っている少年。11歳くらいか。
「オジサンは、僕を殺しに来たの?」
ドキッとした。殺し屋に向かって「殺しに来たの?」って言うなんて。
「君には超能力があるのかな?なんで殺しに来たって、思ったんだ?」
「同級生の子が誘拐されたんだ。『粉の国』って聞いて、そうだ。って答えると、どこかへ連れて行かれた。明くる朝、死体が・・・遺体が見つかった。臓器や目が抜かれていた。歯医者に通ってたから、その子だって分かった。僕は誘拐されたことを警察に言ったけど、『行方不明の届』」は親じゃないとダメって言われた。」
「その子の親は?」
「行方不明。親類の人が書類出したけど、『きっと旅行ですよ』なんて言われた。五味国人の警察官に。世の中変わった。国中で五味国人に入れ替わって行く。学校の先生、警察官、裁判官、政治家。それと、マスコミ。」
「自衛官は入ってないんだね。」と、少年の反対側に、その男は座った。
前回はジャーナリストだったが、今回は自衛官か。
「自分から辞めたの?それともクビ?」
「何故、それを?」
「服装がきちんとしていない。中途半端と言うべきか。」
「クビ。見抜いたところを見ると、ご同類?」
「当たらずとも遠からず、かな。」
「この子の言った通り、『粉の国』には絶望しか残っていない。有事に選挙なんかやってる『お花畑』ばかりだから。」
「『お花畑』ねえ。五味国人問題は、選挙の争点になるのかな?」
「争点も何も、言い出した政党や立候補者は潰されちゃうんだ。」
悲しそうに訴える少年と、隣の元自衛官に俺は共通点を幾つか見いだした。
「潰される?」
「五味国人を『排斥』する発言をする立候補者がいます、ってニュースで言ってた。分かりにくいから、インターネットで調べたら、『ある人や集団、または物事を、受け入れがたいとして拒み、排除することを意味する』って書いてあった。受け入れがたいのは、アナウンサー個人じゃなくて、五味国人だよね。」
「放送法違反だよね。アナウンサーも局も中立公平でなければいけないのに。」と、元自衛官は同調した。
俺は、少年を家まで送って行くと言う元自衛官と別れた。
だが、少年はいつの間にか消えていた。
10年前。五味国。
招待された『粉の国』の政治家達。
ある部屋。映写機のカラカラカラと鳴る音が聞こえる。
《このように、『粉の国』に五味国は『言葉の対応する文字』をお教えしました。
ですから、『粉の国』は『恩返し』をしなければいけないのです、友人に。少しずつでいいのです。『恩返し』をしましょう、友人に。
》
俺は、映写会の前に出て言った。「洗脳はそこまでだ、文字を教えたのは違う民族だ、恩義は要らないよ。人間の肉の入った料理は旨かったかな?あれは、洗脳出来なかった人間の肉だぜ。捕まえ損なった元曽理大臣は、やがて、復帰する。捕まえて料理にするより、大衆の面前で惨めな死に方をする。その時のヒットマンが、その事務員だ。」
俺は、映写機の横の事務員を指さした。
「そして、その事務員に恩を売られて曽理になるのが、お前、とお前だ。自滅党の、破滅の案内人だ。」
俺は映写機と、その事務員を撃った。
そして、未来の曽理大臣、いや、破滅の案内人を撃った。
騒ぎになったが、死体はなかった。
まだ続いていた晩餐会では、『集団食中毒』が起こった。
元の時間軸に戻った。
あの公園は・・・無かった。
選挙活動は、どこもやっていなかった。
コンビニに入った、『粉の国』の店員しかいなかった。
そして、何気なく尋ねてみた。
「選挙活動?投票はインターネットですよ。目の見えない人も耳が遠い人も手が不自由な人も脚が不自由な人も投票出来るようになったのは、今年からだったかな。お客さん、知らないの?」
「ああ、長い間、ペンギンと暮していたんでね。便利な世の中になったもんだね。」
―完―
・・・じゃ、なかった。
コンビニの中にQRコードを見付け、スマホをかざして見た。
立候補者の中に、彼がいた。
「ガンバレよ。単小保中尉・・・元中尉。」
―完―
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