異次元の殺し屋・万華鏡

クライングフリーマン

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11.【パラドックス(paradox】

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ここは、『本の国』。
 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 俺には聞こえる。殺してくれ、と。
 どこの次元でも聞こえている。

 跳んで来たのは、ある閣僚の部屋。
「あいつは、目障りだ。」「もう手は打ってあります。」
 部屋を出た男は、どこかに電話した。
「あんたがやらないなら、俺がやる。初めてじゃないんだ。」

 俺は、電話の相手の場所に跳び、後を尾行した。
 ここでも、選挙運動の真っ最中だ、立て看板を見ると、明日が投票日だ。

 夜。ある部屋。
「ノックもせず、女性の部屋に訪問とは失礼ね。」
「恐くはないのか?」「恐いのは、『平和ぼけ』して選挙を他人事として捉えて、多数決の外に出てしまっている人達よ。」
「流石に、他の政治家とは違うな。」
「誰でもいい。誰かがやる。国の政治を順番主義と定番死守する政治家とはね。撃たないの?」

 男は撃った。だが、女性は倒れなかった。

 俺が『場所替え』したからだ。

「お前、何者だ。」「殺し屋だ。」
「殺し屋?あの女が雇ったのか?」「いや、趣味でやっている。」
「俺は失敗者か。」「いや、失敗か成功かは未来が決める。どの政治家に投票するのが正解かどうかと似てるな。あの女は、SPが守ったことになるだろう。お前は・・・自分で決めろ。」

 俺は、その殺し屋の目の前から消えた。
 俺は、直感で知っていた。あの殺し屋を殺してはいけないことを。
 あの殺し屋は俺を知らない・・・まだ。

 あの殺し屋は、過去の俺自身だ。
「異次元の殺し屋」になる前の。
 それを知ったのは、随分後のことだ。

 あの時点で、「将来の女性総理」を無くすことは出来ない。
 大きな損失だから。
 今まで、前の総理、あおの前の総理が無茶苦茶やってきた。
 彼女は「初めての女性総理」というだけではない。
 既に国民の間では人気が高かった。
 対立候補の「悪辣な工作」で、複雑な、国のトップの選挙で2度も煮え湯を飲まされてきた。
 国民は知っていた。じっと耐えてきたことを。

 だから、あの殺し屋を移送した。安全な場所に。
 いつか再会することがあるだろうか?
 いや、干渉すべきでないと、また直感が働いた。

 未来の『本の国』、いや、日本の未来の為に。

 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
 ケースバイケースだ。

 さあ、次の『別の次元』に跳ぶか。

 ―完―
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