30 / 30
30.【極楽浄土(Buddhist paradise)】
しおりを挟む======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『真の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、ある墓地。
お婆さんが、墓参りの途中、何かを叫んでいる。
相手はショベルカーで、墓石を次々と掘り崩して行く。
「ここは、日本の、日本人の墓地だよ!」
ショベルカーが鳴り止んだ。
正午。昼休みか。
「あんたの墓も『殺された』の?」
「いや・・・。」
南極ぼけの話をしたら、簡単に信じてくれたので、俺は墓参りを手伝い、一緒にお参りをした。
お婆さんは、ミニバイクに跨がり、後ろに乗れ、と言う。
「ノーヘルでもいいのかな?」
次元によって、法律は違うものだ。
「運転は自信あるよ。」と言って、お婆さんは俺にヘルメットを渡した。
お婆さんは、手ぬぐいを3つ被っていた。成程。サイズ調整をしていたのか。
「南極のお仕事、ご苦労様でした。今日は、連れ合いの月命日でね。あの『大型スコップ』は、墓の新しい地主の機械だ。中々国に地主が売ったのさ。」
この次元での墓の所有権はどうなっているか分からないが、元々の次元では、切り取った面積分、先祖の墓として買うが、家系が途絶えると、地主に所有権が戻る。
詰まり、お参りする子孫が居る限り、その家系の家族親族の物で自己管理する。
あの異様な光景は、地主が強制退去させ、替わりに中々国の墓が出来ると言う。
この次元の隣国が、俺の元々の次元・・・どこだっけ?まあ、いいや。それに似ているなら、中々国の習慣も土葬だ。いや、火葬もあるのかな?
どちらにしても、追い出して居座るのは、国単位だけではないらしい。
「お墓の管轄のお役所は?」
「国土保有省。行っても無駄だよ。もう国が滅びようとしているんだから。」
やはり。、次元が違っても似たことが多い。
お茶の礼を言い、俺は、国土保有省に向かった。
国土保有省。国保大臣室。
「お墓のことですが・・・。」「何、陳情?手続きちゃんとした?書類は?」
「あ。コレです。判子願います。」
そう言って、俺は国保大臣の判子と拇印を書類に押した。
書類には、こう書いてあった。
『国家総合大臣の命令により、国民の先祖代々の墓を中々国に安価で売り、追い出したことは、民族を無視した暴挙であり、引責辞任をし、国家総合大臣ともども命をもって償います。』
夕方。墓に行くと、ショベルカーは引き揚げて行った。
お婆さん、大したこと出来なくてゴメンよ。取り敢えず、2人だけ、お先に冥土に行って貰った。
ご先祖は大切にしなくちゃな。
さ、次は、どの次元かな?
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
今回は、人間だけど。
―完―
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる