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29.【金脈(vein of gold)】
しおりを挟む======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『海の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、ある海水浴場。
『芋を洗う』とは、このことだ。
ある親子が「スイカ割り」をしていた。
右だ、左だ!野次馬に乗せられて、子供は失敗した。
悔しがる子供。「オジサン、カタキうってよ。」
母親の悲しそうな目を見て、すぐ決意。
上着を脱ぎ、カッターシャツを腕まくりして、手ぬぐいの目隠しをされる。
真芯ではなく、少しずらしてバン!!
見事に割れた。
遠くの野次馬でさえ、スタンディングオベーション。
割れたスイカと破片を『海の家』に持って行く。
今は、ちゃんと始末しない人が多いから、皆レンタルだ。
割れたスイカを、そこで食べることも出来る。
子供は、みるみる内に食べ終わった。
「ちょっと、寄って行きません?」
100メートルほど先の家だった。
子供を寝かしつけた後、着替えに行った母親はバスタオル1枚だけだった。
しまったな、と思ったが、色んな女性が脳裏に浮かんだが、彼女の目は何かを訴えていた。
『対戦』を終えた母親は、きちんと着替えて、三つ指ついた。
「助けて下さい、神様。今の『お供え』じゃ足りないかも知れないけど。」
「神様じゃないけど、事情を聞きましょう。」
俺は南極ぼけをしなかった。
彼女の話では、先日、SNSで、離党した元与党議員が、重大な告発をした。
監房長官室には大金庫があり、しょっちゅう職員が金を運んで来ると言う。外遊して、金をばらまいているのは、内内閣痩身大臣や外務大臣だけでは無かった。
党の重鎮や各大臣は『現生』をもって外遊し、金をばらまき、支援を約束し、『キックバック(謝礼金)』を内緒で入手するという。
その管理を行っているのが、『財産運営省』だそうだ。
どこも似たり寄ったりの悪事の構造だ。
母親は、夏休み明けに『海の国』そのものが無くなるから、最後の海水浴に連れて行った、と言う。
金はあるところにはある、ないところには回って来ない。
俺は、跳んだ。各所に。
空港から旅立つ「政府要人」のスーツケース・手荷物は「軽く」なった。
監房長官室や大臣室から金庫は消え、ドラム型洗濯機が出現、お札は「綺麗に」なった。
『財産運営省』の金庫もコインランドリーのようになっていた。
登庁した職員が卒倒した。ドラムの中で、お札が舞っている。
空港から税関を通る「隣国人」の手荷物には、『必ず』麻薬が発見され、入国は出来なくなった。
役所では、20年以上の滞在履歴が無い者は、帰化申請書は却下された。
内内閣痩身大臣は、行方不明になった。
あの母親敏江は、元与党議員その人だった。
差出人不明の葉書が、仲川敏江に届いた。スイカの絵はがきだった。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
仲川さん、あんたなら立て直せる。俺は信じてるぜ。
さ、次はどこの世界かな?
―完―
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