異次元の殺し屋・万華鏡

クライングフリーマン

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32.【狂気(madness)】

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ここは、『算の国』。
 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 俺には聞こえる。殺してくれ、と。
 どこの次元でも聞こえている。

 跳んで来たのは、ある選挙演説会場。
 ここは、まだ選挙が終っていないようだ。
 聴衆の最前列の女の子が叫んだ。「違う!文字を教えてくれたのは、今の隣国じゃない。それなのに、なんで『文字を教えてくれた隣国に敬意を表すのは当たり前だ』って言うの?」
 女の子は、暴力的に、その場からSPが排除した。

 どの次元でも、似た様な光景を見てきた。
 恐らく、選挙後、負けても『隣国に謝る儀式』をやる積もりなのだろう、ここ、『算の国』の国の代表も。
 隣国は、世界の頂点に立つ為に、ありとあらゆる侵略を進めてきたに違い無い。

 ある路地。女の子は、出刃包丁で刺されようとした。
 だが、暴漢が刺したのは女の子ではなく、『リンゴ飴』だった。
『応援』に来た暴漢の仲間は、呆れた。
「お前の仕事は、邪魔者を消すことだ。お前の邪魔者は『リンゴ飴』なのか?」

「オジサンは、だあれ?なんで私を助けたの?」
「君の名前は『阪田』じゃない?」
「そう、阪田尭世。」
「じゃ、助けなきゃ。」

 俺は、南極ぼけを封じ、高校生の阪田尭世に正体を明かした。
「ふと気が付くと、お父さんのデザイン事務所の前に立っていた。お父さんは、オジサンを知らなかった。オジサンに『助けてー』って心の底から叫んでいたのは、君だったんだね。」
「オジサンのことは何て呼べばいい?」
「そうだな。剛(ごう)とでも言っておくか。ところで、国の代表、ここでは内外国心大臣は、本気で隣国の蝉国に恩義を感じて、無条件に移民を受け入れているの?」
「うん。蝉国はね、災害や就職難で困っているの。富裕層は、土地を買収してもう映り住んでいるわ。貧困層は、働かなくてもお金が貰える生活援助費制度に飛びついて、どんどん移り住んでいる。生活援助費は、私達がこれから納める『国民納付金』から出ている。国民じゃない人達に、『国民納付金』を使っている。蝉国の富裕層にさえ。今まで半年間住んでいればという条件が、入国したらという要件に変わる。私達は、異民族の奴隷になる。『将来の子供のために』って始まった『子供納付金』は、現在の子供には使われず、将来の異民族の子供のために』が本音だった。もう絶望しかないわ。」

 次元のルールがあるとすれば、次元のルール破りばかりしている俺だが、尭世の将来を守ることにし、『細工』をしてから、選挙後の時間軸に跳んだ。

 与党の獲得議席は1議席だった。連立与党だったのに、1議席だった。
 いつの間にか、法律が変わっていたからだ。
『選挙権』は16歳から55歳、『被選挙権』は20歳から50歳になった。
 議員の定年も60歳になり、現役の61歳以上の議員はいなくなった。自動議員辞職である。
 結果、『お情け投票』は無くなり、現役議員の多くが一般人になった。
 政党・議会は再編成された。
 新しい与党は、蝉国民族の交流・貿易を断絶した。観光ビザすら出ない。
 進出していた国内企業は、無条件に撤退させた。
 子女をいつ殺されるかも知れないという、人々の不安は払拭された。

 外国も、『算の国』の、思い切った施策・政策に同調した。
 国力が上がると、『北海国』の態度は掌を返し、拉致した人々の『本当の遺骨』を返還、謝罪した。
『算の国』政府は、蝉国だけでなく、数々の無礼をしてきた佘魔国にも容赦しなかった。交流・貿易を断絶したのだ。そして、在佘魔人は、『祖国』に帰った。
 そして、『帰化』条件を厳しくした。

 更に、電波オークションが行われ、公営・民営テレビは、一切の補助金のない企業体制となり、放送免許は『更新制』になった。

 最後に、憲法には、『全ての法律による利便は異民族に適用されない。ルールは異民族にも適用する』と追加・修正された。

 初代大統領の阪田金太郎氏は、初代総利大臣頼光美奈子と共に世界に向け、発信した。
『算の国』は、いかなる侵略も受付けない、と。

 選挙後、僅か3日のことだった。良かったな、尭世。

 じゃ、長居も出来ない。

 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
 歴史の改ざんも行うさ、場合によっては。

 さ、次の世界が俺を待っている。

 ―完―
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