7 / 31
7.義姉
しおりを挟む
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
山並郁夫とは、俺のこと。
俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
ところが、人生、思ったようにはいかない。
俺は、隊長大文字伝子と運命的に出逢ったことで、今後の方針を固めた。
それは、『闇サイトハンター』として、EITOに、いや、大文字伝子に協力していくことだ。
2月21日。早いものだ。明後日は、今の天皇さんの誕生日か。
俺は、新しいアジトで朝食を採り、朝刊を読んでいたが、ふと思いついてアネの家に行くことにした。
アネと言っても義姉。腹違いのアネだ。
子供の頃から、時折、親に黙って会っていた。義姉は、「お医者さんごっこ」をしたがった。
成人してから、交流が途絶えていたが、あることをキッカケに、再会した。
野放図な所のある義姉は、一時、風俗で働いていた。
『府中のドンファン』と呼ばれた、金持ちは、数あまたある女性の中から、知り合った義姉と結婚した。
ドンファンは再婚である。義姉が風俗に働いていたことから、『財産目当て』とマスコミから揶揄され、ドンファンの親族・親類も追い出そうとしていた。
子供が生まれていたら、少しは状況が変わっていただろうが、ぽっくり死んだ爺さんの『殺人』の疑いがかけられていた。
だが、義姉には「遺言書」が会社の顧問弁護士によって作られていて、預金を全額義姉に残す、と遺言書には書かれていた。
殺人は、証拠不充分で不起訴、預金は義姉が相続した。親族は、何も残されていなかった訳ではない。それでも、親族は騒いだ。
弁護士は弁護団を連れて、殺人事件の裁判に臨み、勝訴した。
相続は、不満があっても、親族は文句を言えなくなった。
実は、弁護団への依頼は義姉に俺がアドバイスをしたのだ。
そんな回想をしながら、義姉のパソコンを覗くと、『凝りもせず』俺の名前と同じ名前の主人公の『エロ小説』を書いていたようだった。
「姉貴。俺の名前、使うなよな。俺は『性の王様』じゃないからな。」と、居眠りをしていた義姉を起こした。
「だって、郁チャンが主人公だと書きやすいんだもん。」「そんなに俺が好きか?」
「好き。」「抱いて欲しいか?」「欲しい。」「断る。俺の好みじゃない。」「意地悪。」
いつもの、押し問答だ。義姉が書いているのは、パソコンのワープロだが、脱稿したら、『原稿用紙』モードでプリントする。俺が教えてやったやり方だ。
もう400字詰め原稿用紙を書き損じては丸めてポイの時代だ。
義姉が納品している出版社は、未だに電子ファイルを扱わない。プリントした原稿と、バックアップのFDを渡すことになっている。
FD?最初聞いた時は、腰が抜けたものだ。
「ねえ、郁チャン。新しいパソコン買ってよ。」「自分で買えばいいだろ?」
「だって、どれがいいか分からないから。この頃、調子悪いのよ。保存するのに30分かかっちゃうし。」
「じゃあ、掃除してやるよ。ダメなら買ってやる。それで、いいだろ?」
「うん。じゃあ、郁チャンの好きなバターライス作るね。」
俺は義姉が出て行った後、確認した。時間がかかる訳だ。バックグラウンドで色んなアプリが動いている。
俺は、すぐに通信を遮断。持参したUSBに、義姉の原稿を保存してから、バックグラウンドのアプリを強制終了、アンインストール。ゴミファイルを一斉に『掃除』した。
後で、義姉には、OSとワープロソフトとを再インストールさせよう。
いや、俺がやる方が早いか。
マルウェアを退治する際、『発信源』の『履歴』を見付けた俺は、FDドライブを繋ぎ、FDにアドレスと履歴をメタファイルにして書き込んだ。
今や、ロートルの方が安全な時代だ。
「治る?」と、言いながら、義姉はバターライスを運んで来た。
「ちょっとした掃除はしたが、『悪い虫』付かないようにするのに、時間がかかるな。」
「じゃあ、抱いてくれるの?」「何で、そっちに行くかなあ。テレビゲームでもしようよ。」
「分かった。」「良い子だ。」
午前1時。帰宅後、FDから、ハッカーに繋いでみたら、大変なことが分かった。こいつ、闇サイトをやってやがる。
しかも、俺の『伝子様』を困らせる原因なんか・・・。俺の出番だ。
―完―
============================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
山並郁夫とは、俺のこと。
俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
ところが、人生、思ったようにはいかない。
俺は、隊長大文字伝子と運命的に出逢ったことで、今後の方針を固めた。
それは、『闇サイトハンター』として、EITOに、いや、大文字伝子に協力していくことだ。
2月21日。早いものだ。明後日は、今の天皇さんの誕生日か。
俺は、新しいアジトで朝食を採り、朝刊を読んでいたが、ふと思いついてアネの家に行くことにした。
アネと言っても義姉。腹違いのアネだ。
子供の頃から、時折、親に黙って会っていた。義姉は、「お医者さんごっこ」をしたがった。
成人してから、交流が途絶えていたが、あることをキッカケに、再会した。
野放図な所のある義姉は、一時、風俗で働いていた。
『府中のドンファン』と呼ばれた、金持ちは、数あまたある女性の中から、知り合った義姉と結婚した。
ドンファンは再婚である。義姉が風俗に働いていたことから、『財産目当て』とマスコミから揶揄され、ドンファンの親族・親類も追い出そうとしていた。
子供が生まれていたら、少しは状況が変わっていただろうが、ぽっくり死んだ爺さんの『殺人』の疑いがかけられていた。
だが、義姉には「遺言書」が会社の顧問弁護士によって作られていて、預金を全額義姉に残す、と遺言書には書かれていた。
殺人は、証拠不充分で不起訴、預金は義姉が相続した。親族は、何も残されていなかった訳ではない。それでも、親族は騒いだ。
弁護士は弁護団を連れて、殺人事件の裁判に臨み、勝訴した。
相続は、不満があっても、親族は文句を言えなくなった。
実は、弁護団への依頼は義姉に俺がアドバイスをしたのだ。
そんな回想をしながら、義姉のパソコンを覗くと、『凝りもせず』俺の名前と同じ名前の主人公の『エロ小説』を書いていたようだった。
「姉貴。俺の名前、使うなよな。俺は『性の王様』じゃないからな。」と、居眠りをしていた義姉を起こした。
「だって、郁チャンが主人公だと書きやすいんだもん。」「そんなに俺が好きか?」
「好き。」「抱いて欲しいか?」「欲しい。」「断る。俺の好みじゃない。」「意地悪。」
いつもの、押し問答だ。義姉が書いているのは、パソコンのワープロだが、脱稿したら、『原稿用紙』モードでプリントする。俺が教えてやったやり方だ。
もう400字詰め原稿用紙を書き損じては丸めてポイの時代だ。
義姉が納品している出版社は、未だに電子ファイルを扱わない。プリントした原稿と、バックアップのFDを渡すことになっている。
FD?最初聞いた時は、腰が抜けたものだ。
「ねえ、郁チャン。新しいパソコン買ってよ。」「自分で買えばいいだろ?」
「だって、どれがいいか分からないから。この頃、調子悪いのよ。保存するのに30分かかっちゃうし。」
「じゃあ、掃除してやるよ。ダメなら買ってやる。それで、いいだろ?」
「うん。じゃあ、郁チャンの好きなバターライス作るね。」
俺は義姉が出て行った後、確認した。時間がかかる訳だ。バックグラウンドで色んなアプリが動いている。
俺は、すぐに通信を遮断。持参したUSBに、義姉の原稿を保存してから、バックグラウンドのアプリを強制終了、アンインストール。ゴミファイルを一斉に『掃除』した。
後で、義姉には、OSとワープロソフトとを再インストールさせよう。
いや、俺がやる方が早いか。
マルウェアを退治する際、『発信源』の『履歴』を見付けた俺は、FDドライブを繋ぎ、FDにアドレスと履歴をメタファイルにして書き込んだ。
今や、ロートルの方が安全な時代だ。
「治る?」と、言いながら、義姉はバターライスを運んで来た。
「ちょっとした掃除はしたが、『悪い虫』付かないようにするのに、時間がかかるな。」
「じゃあ、抱いてくれるの?」「何で、そっちに行くかなあ。テレビゲームでもしようよ。」
「分かった。」「良い子だ。」
午前1時。帰宅後、FDから、ハッカーに繋いでみたら、大変なことが分かった。こいつ、闇サイトをやってやがる。
しかも、俺の『伝子様』を困らせる原因なんか・・・。俺の出番だ。
―完―
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる