マフラーに包まれて

クライングフリーマン

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マフラー

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 マフラー

 母が亡くなって、遺品整理を始めた時、母のマフラーと母のブランケットは捨てた。
 思い出してしまうから。

 ごめんなさい、お母ちゃん。泣いてたら、生きていかれへん。
 まだ、長男の役目、終ってなかった。

 仏壇や墓を守るのも、長男の仕事やねん。
 法事終っても、遺品整理終っても、相続終っても。

 毎朝毎晩、お花に水やったり、水入れ替えたり、お茶入れ替えたり。
 毎晩、お経のテープ流して、線香とろうそく、とぼしてるで。

 98年、よう頑張ったな。「殺してくれ!」って言われた時が、一番困ったな。

 今も、通ってた時に締めてたマフラー、してる。
 ものもち、ええやろ?あんたとお父ちゃんの子ぉやさかいな。

 他にもマフラー、あるのにな。ほつれたマフラー、締めてまた行ってくるわ。
「行ってきます!」リンをチンチンと鳴らし、いつまでお金もつかな?と思いながら、自転車出してスーパーに向かう私。

 事故に遭わないように、見張っててや。
 ほな。

 ―完―

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