乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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勇者の所に落ちたようです。

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 私はあのミラー様と話した翌日に、荷物をまとめこの城を出ていく準備をしている。持ち物はあまりない。あの報酬やこちらで新しく頂いた下着などは私しか使えないだろうから持って行く荷物に詰めている。
 荷物はチート能力を使い、バックの中を4次元空間にして詰め放題だ。バックの持ち主にしか取り出せない仕様にしている為、盗難対策もバッチリダだ。
 餞別とお世話になったお礼としてミラー様とローラン、リア様にも同じように加工を施したバックをプレゼントする。ローランに聞いたところによると、見た目より容量が多いバックは魔道具として存在しているらしいが、4次元で入れ放題というのはまだないそうだ。

「本当にこんな貴重なものを私がもらっても良いのでしょうか。これ1つで一体いくらの価値があるのか……」

「みんなには本当にお世話になったもの。これは私からのお礼だから受け取って」

「はい、本当にありがとうございます。出発は今夜の予定なんですよね」

「うん、夜に発つつもりだからそれまではよろしくね」

 昼に出て行った方が安全だと言われたが、あの勇者が日中はダンジョンに居る可能性があるのだ。今回私は転移で彼のもとに行こうと思っている。リア様に聞いたら、彼をイメージしながらそこに行くと強く思えばチート能力で転移できるはずと言われている。だから彼がテントに居るだろう夜に移動することにしたのだ。

「承知いたしました。では今から昼食を準備してまいります。何かリクエストはございますか」

「うーーん、じゃああのパスタが食べたいな、海鮮たっぷりの」

「あれお気に入りでしたもんね。では厨房に行って参ります」

 ローランが居なくなると一気に寂しさが増してくる。ここのお城に来てずっとローランと一緒に過ごしてきたのだ。実は私と一緒に旅に着いて来てくれると言ってくれたのだが、お断りした。彼女を危険な目に合わせるわけには行かないから。
 
 私は準備を進めながら、この城での思い出にふける。衣裳部屋を見返すとあの胸元がざっくり開いたドレスと、夜会で着た美しいドレスが目に入る。ミラー様との夜会もなんだかんだ言って素敵だったな……王子様のようなというか本物の王子様にエスコートされ、お姫様になったような気分だった。あんなドレス一生着れないだろうし、良い体験だったな。
 このドレスは旅にも必要ないし、持って行かないつもりだ。私はそのさらに奥にあるワンピースを取り出す。これはあの勇者にもらった服だ。あまりセンスが良いとは言えないけど気に入っている。今日はこれを着て勇者の元へと行く予定だ。そのワンピースを部屋の方に持ち出し壁にかけておく。


 その日のディナーはフルコースを用意してくれた。きっとローランが計画してくれていたのだろう、その気持ちが嬉しい。ご飯も食べて、湯船に浸かり大満足な私はホクホクのままローランに別れを告げる。しんみりしてしまうのは苦手なのだ。

「ローラン、今までありがとう。またね」

「はい……。ユリ様の安全をいつまでも祈っております」

「うん、ありがとう。ローランも元気でね」

 私が笑顔で告げると、ローランも微笑んで去って行った。私はあのワンピースに着替えると、あの勇者のことをイメージする。今はもう夜9時になる。この時間ならきっとあの勇者もテントに居るはずだ。彼の所へ行きたい、そう強く願うと私の体が強い光に包まれ、思わず目を閉じる。


 ◇


 ピチャン。
 うん? 何か温かいというかこれはお湯??

 光に包まれたと思ったら強い浮遊感に襲われる。そしてその浮遊感が終わったと思ったら温かいお湯の中に居た。


「はっ!? お前何で」

 彼の声が聞こえ恐る恐る目を開けると……。

 そこには肌色の彼が居た。肌色というか、素っ裸の彼が……。

「なっなっなっ! 何で裸なのよ!!!」

「バカっ! 大きな声出すなよ! 他の客に気づかれるぞ!! とにかく落ち着け!!」

「ごめん。ちょっと状況が分からなくて」

「何でお前がここに居るんだよ」

「ここはどこなの?」

「ここは宿屋の男湯だ。早く出て行け!」


 そう言われて周りをよく見るとここは温泉だった。幸い屋外にあり、ここは少し奥に入った岩場の所で他の客からは運良く死角になっている。良かった、あわや覗きだと訴えられちゃうところだったわ……。というか男湯に入ってる時点でもうアウトだが。
 目の前の彼は入浴中だったのか。良かった、腰にタオルを巻いていて大事な部分は隠れてる。私の視線に気づいたのか彼の顔が更に赤くなる。

「あら、結構良い身体付きなのね」

 その場の空気が気まずくて茶化すようにそう言ってしまったのだが、他の客の話し声が聞こえてくる。どうやらこちらに向かって来ているようだ。

「まずい。お前黙ってろよ」

 そう言うと彼は私を隠すように抱え込み、岩場の影に隠れる。いわば岩ドン状態だ。

 ドキドキドキドキ。どちらの心臓の音なのか分からないくらい彼と接してしまっている。石鹸で洗い立ての匂いを感じ、ドギマギしてしまう。




「…………」

「…………」




「ふぅ。危なかった」


 どうやら私たちのことには気づかずに奥の浴場に向かってくれたらしい。

「助かった……。ありがとう」

「あぁ……って、お前なんて格好してんだよ!」

 そう言って顔を赤くする彼を見て自分の格好を確認するが、どうやら彼に抱え込まれた時に上半身も濡れてしまったらしい。白いブラウスが透けて、肌に張り付いてしまっている。

「とにかくお前はここから出て服をどうにかしろ。俺の部屋は201号室だからそこで待ってろ。ここに来たんだからそれくらいの転移出来るだろう?」


「うーーん、やってみる。あなたの剣は部屋にあるの?」

「あぁ置いて来ている」

「じゃあそれを目印にするわ。それなら行ける気がする」



 そう言って彼の剣をイメージして再び転移をする。強い光に包まれると浮遊感が襲ってくる。次に目を開けると、ベットが1つのシンプルな部屋の中に居た。恐らくそこが彼の泊まっている部屋なのだろう。壁には彼の剣が立て掛けてあった。

 まずは服を魔法で乾かす。彼が戻ってくるまでに乾いてなければまた怒られてしまいそうだ。もちろんチート能力で服を乾かすくらいお手の物だ。
 彼が戻ってくるまではまだ時間がかかるからどうしようか……。とりあえずベットに座って待つことにした。このシンプルな部屋には本当にベットしかなく、椅子とテーブルすらないのだ。



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