乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

文字の大きさ
27 / 63

お礼をされるみたいです。

しおりを挟む
 
 部屋で1人でいると色々考えてしまう。ユーリとこれからどう仲直りするのか。ミラー様達の毒見のこと……。
 温かいのが食べれないなんて損している。料理は作りたてが美味しいのに。私のスキルを使ってどうにかミラー様達に温かい物を食べさせてあげたいな。ミラー様の死ぬ運命を変えるだけじゃなくて、人として幸せになる道も作ってあげたい。そんなことを考えていたらまた胸元の無線機が振動する。


 ブー、ブー、ブー。
「はい、もしもし」

「ユリ殿、良ければ今から食後のティータイムはいかがかな?」

「はい、大丈夫です。どこに向かえば良いですか?」

「今から部屋に案内を向かわせるから待っててくれ」

「分かりました。お待ちしています」

 ミラー様から連絡があり、これからお茶をするそうだ。夕飯もあるのだから少しお腹の空き具合が心配になってしまうが、多分大丈夫だろう。
 ちなみに夕飯はこの高級宿の食事をまたミラー様達がご馳走してくれるそうだ。
 しばらく待っているとノックがあり、ミラー様の従者の男性が立っていた。彼は前に王城で迷った時に道案内してくれたことがある。


「お久しぶりです。では案内致しますね」

 彼はそう私に言うと、無線機を使って「今からそちらに向かいます」と連絡を取っている。


「無線機、皆さんも使っているのですね。使い心地はどうですか?」

「とても助かっていますよ。警護なども今まで以上に連携が取れてやりやすくなっています。みんなユリ様に感謝していますよ」

「感謝なんて大袈裟ですよ。でも役に立ってるなら良かった」

 そうこう雑談している間に、これまた高級そうな重厚な扉の前に着く。

「ではこちらでミラー様がお待ちですのでよろしくお願いします」

 彼がその扉を開けると、中は落ち着いた雰囲気の部屋で、ミラー様が出迎えてくれた。

「やあ、こちらへどうぞ」

 私に手を差し出すと、テーブルまで案内してくれ自ら椅子を引いてくれる。ミラー様と会うまでは、婚約を断ってしまったし少し気まずいかなと思っていたのだが、今まで通りの扱いを受け私に気まずさを感じさせない。彼の方が年下なのに、本当にこういう所は大人だなと思ってしまう。


「今日はこのお礼を兼ねて君の好きな物を贈らせてもらいたいんだけど、何が良いかな? 宝石? アクセサリー? 何でも言ってくれ」

 ミラー様がそう言って見せたのは私が王城を去る時に置き土産として渡した四次元バック。ちゃんと使ってくれているようで嬉しくなる。

「別にそんなお礼なんて要りませんよ。今日もご飯をご馳走になって、宿まで泊めて頂いてそれで十分です」

「いや、これはとてつもない発明だよ。国宝級と言っても良い。お礼をしないと僕が怒られてしまう。報酬を渡そうとしたら依頼じゃないからと断っただろう? だったらせめてお礼をさせてくれないかな?」

「うーーん、ではこのティータイムで私の好きなケーキを頼んでも良いですか? それがお礼ということで」

「それは全然構わないが……それではちゃんとしたお礼にならないだろう」

「私はその気持ちだけで十分ですので。そのバックだって城に滞在中良くしてもらったお礼として渡したので、そのお礼にお礼をもらうことなんて出来ません」

「……確かにお礼のお礼は変だな。分かった、じゃあ好きなケーキを用意させよう。マーク」

 後ろに控えて話を聞いていたマークがすぐさま私の希望を聞いて、さらに控えの従者に伝言を頼む。何でも良いということで、2つも頼んでしまった。久々のケーキに心も弾む。ケーキなど普段は高級品でなかなか食べれないのだ。

 暫くすると、マーク様が紅茶とケーキを運んで来て、目の前でお茶を淹れてくれる。

「あれ? お茶の時は毒味が要らないんですか?」

 目の前で温かいお茶を飲むミラー様を見て、そういえば以前も一緒に温かいお茶を飲んでいたと思い出す。

「僕のお茶はマークが毎回淹れてくれているんだ。マークが淹れてくれたものなら毒味の必要がないからね」

 確かに私のお茶は毎回メイドやローランが淹れていたが、その横でマーク様がミラー様の分を淹れていた気がする。その時はマーク様は何でも出来るのかと思って見てたのだが、そう言う意味があったのか。
 ミラー様とマーク様の強い信頼関係を見た気がして、嬉しくなると同時に、ユーリとはどうやったら信頼関係を築いていけるのだろうかとまた落ち込んでしまう。


「君は何か悩みがあるみたいだね。ユーリとのことかい?」

「っ! ミラー様、今の発言リア様みたいでした」

「リア殿は本当に色々見えているが、僕はただの勘だよ。勘というか、君は顔に良く出るからとても分かりやすいんどけどね。どう、1人で悩んで結論が出ないなら僕に話してみてくれないかい? 君の力になりたいんだ」

「ミラー様……」


 確かに、1人で悩んでても解決しそうにない。ここはミラー様に助言でももらおうと思い、この前の温泉事件のことをミラー様に話す。

「……という訳で、安心して力が抜けたらタオルが取れちゃって、その「ぐふっ」」

「ゴホッ、ゴホッ」

「大丈夫ですかミラー様!?」

 ミラー様がむせて咳き込むのを見てマーク様が慌てて駆け寄る。

「大丈夫だ。少し動揺しただけだ。続けて」

「大丈夫なのですか……? それでその姿を見られてからユーリがやたらと距離を取ってきたり、食事の時みたく少しでも触れようとするとあんな態度を取られてしまって、どうやって元の関係に戻れるか悩んでいて……」

「思ってたより衝撃的な話だったのだが……。いくつか質問をして良いかい?」

「はい」

「まず君は彼と付き合ってはいないんだよね? それとも恋人なのかい?」

「付き合ってないです」

「そうか、それは良かった。じゃあその見られてしまった時君はどんな反応をしたんだ?」

 そう言われて私は目を瞑りあの時の状況を思い出す。実際は私も少し動揺していてハッキリとは覚えて居ないのだ。


「はっきりとは覚えてないけど……。私は気にしないからあなたも気にしないでって言った気がする。ほら、ユーリにとっては私なんか親戚のおばさんみたいなものかなって」

「……最初はユーリに怒りを感じていたが、今の発言を聞いて彼が不憫に思ったよ。彼はその時なんて言っていたんだ?」

「少しは気にしろって怒られちゃったの。やっぱりおばさんの体なんか見たくないって不愉快だったのですかね」

「……彼に同情するよ」
「私もです」

 なんだか遠い目をしたミラー様と、ミラー様の発言にすぐさま同意したマーク様。やっぱり男性だとその気持ちが分かるのかな?

「とにかくそれで君は困っているんだよね?」

「はい、そうなんです。このままじゃ良くないと思って」

「分かった。この件は僕に任せてもらえないかな? 男同士の方が色々分かり合えると思うからね」

 そう言ってウインクをしてくれるミラー様を見てやっと安心する。ミラー様なら私達のことを上手く取り持ってくれるだろう。


「分かり合えはするけど、彼女の裸を見た彼にはお仕置きをしなきゃね」

「?? ミラー様何か今言いましたか?」

「いや? 何も言ってないよ、空耳じゃないかな」

 そうしてお茶の時間が終わると、マーク様が部屋まで案内してくれる。

「俺まであの異次元バックを頂きありがとうございます」

「いえ、マーク様にもお世話になったので。所でマーク様1つ相談があるのですが……」

 私が考えていたことをマーク様に話すと、彼は目を輝かせ頷いてくれた。

 それならすぐに用意出来るのでまた後で部屋にお持ちしますね。資料になるものも一緒に持って行きます。

「ありがとうございます」

 ミラー様がいる間に一仕事終えられるかな?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

処理中です...