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お礼をされるみたいです。
しおりを挟む部屋で1人でいると色々考えてしまう。ユーリとこれからどう仲直りするのか。ミラー様達の毒見のこと……。
温かいのが食べれないなんて損している。料理は作りたてが美味しいのに。私のスキルを使ってどうにかミラー様達に温かい物を食べさせてあげたいな。ミラー様の死ぬ運命を変えるだけじゃなくて、人として幸せになる道も作ってあげたい。そんなことを考えていたらまた胸元の無線機が振動する。
ブー、ブー、ブー。
「はい、もしもし」
「ユリ殿、良ければ今から食後のティータイムはいかがかな?」
「はい、大丈夫です。どこに向かえば良いですか?」
「今から部屋に案内を向かわせるから待っててくれ」
「分かりました。お待ちしています」
ミラー様から連絡があり、これからお茶をするそうだ。夕飯もあるのだから少しお腹の空き具合が心配になってしまうが、多分大丈夫だろう。
ちなみに夕飯はこの高級宿の食事をまたミラー様達がご馳走してくれるそうだ。
しばらく待っているとノックがあり、ミラー様の従者の男性が立っていた。彼は前に王城で迷った時に道案内してくれたことがある。
「お久しぶりです。では案内致しますね」
彼はそう私に言うと、無線機を使って「今からそちらに向かいます」と連絡を取っている。
「無線機、皆さんも使っているのですね。使い心地はどうですか?」
「とても助かっていますよ。警護なども今まで以上に連携が取れてやりやすくなっています。みんなユリ様に感謝していますよ」
「感謝なんて大袈裟ですよ。でも役に立ってるなら良かった」
そうこう雑談している間に、これまた高級そうな重厚な扉の前に着く。
「ではこちらでミラー様がお待ちですのでよろしくお願いします」
彼がその扉を開けると、中は落ち着いた雰囲気の部屋で、ミラー様が出迎えてくれた。
「やあ、こちらへどうぞ」
私に手を差し出すと、テーブルまで案内してくれ自ら椅子を引いてくれる。ミラー様と会うまでは、婚約を断ってしまったし少し気まずいかなと思っていたのだが、今まで通りの扱いを受け私に気まずさを感じさせない。彼の方が年下なのに、本当にこういう所は大人だなと思ってしまう。
「今日はこのお礼を兼ねて君の好きな物を贈らせてもらいたいんだけど、何が良いかな? 宝石? アクセサリー? 何でも言ってくれ」
ミラー様がそう言って見せたのは私が王城を去る時に置き土産として渡した四次元バック。ちゃんと使ってくれているようで嬉しくなる。
「別にそんなお礼なんて要りませんよ。今日もご飯をご馳走になって、宿まで泊めて頂いてそれで十分です」
「いや、これはとてつもない発明だよ。国宝級と言っても良い。お礼をしないと僕が怒られてしまう。報酬を渡そうとしたら依頼じゃないからと断っただろう? だったらせめてお礼をさせてくれないかな?」
「うーーん、ではこのティータイムで私の好きなケーキを頼んでも良いですか? それがお礼ということで」
「それは全然構わないが……それではちゃんとしたお礼にならないだろう」
「私はその気持ちだけで十分ですので。そのバックだって城に滞在中良くしてもらったお礼として渡したので、そのお礼にお礼をもらうことなんて出来ません」
「……確かにお礼のお礼は変だな。分かった、じゃあ好きなケーキを用意させよう。マーク」
後ろに控えて話を聞いていたマークがすぐさま私の希望を聞いて、さらに控えの従者に伝言を頼む。何でも良いということで、2つも頼んでしまった。久々のケーキに心も弾む。ケーキなど普段は高級品でなかなか食べれないのだ。
暫くすると、マーク様が紅茶とケーキを運んで来て、目の前でお茶を淹れてくれる。
「あれ? お茶の時は毒味が要らないんですか?」
目の前で温かいお茶を飲むミラー様を見て、そういえば以前も一緒に温かいお茶を飲んでいたと思い出す。
「僕のお茶はマークが毎回淹れてくれているんだ。マークが淹れてくれたものなら毒味の必要がないからね」
確かに私のお茶は毎回メイドやローランが淹れていたが、その横でマーク様がミラー様の分を淹れていた気がする。その時はマーク様は何でも出来るのかと思って見てたのだが、そう言う意味があったのか。
ミラー様とマーク様の強い信頼関係を見た気がして、嬉しくなると同時に、ユーリとはどうやったら信頼関係を築いていけるのだろうかとまた落ち込んでしまう。
「君は何か悩みがあるみたいだね。ユーリとのことかい?」
「っ! ミラー様、今の発言リア様みたいでした」
「リア殿は本当に色々見えているが、僕はただの勘だよ。勘というか、君は顔に良く出るからとても分かりやすいんどけどね。どう、1人で悩んで結論が出ないなら僕に話してみてくれないかい? 君の力になりたいんだ」
「ミラー様……」
確かに、1人で悩んでても解決しそうにない。ここはミラー様に助言でももらおうと思い、この前の温泉事件のことをミラー様に話す。
「……という訳で、安心して力が抜けたらタオルが取れちゃって、その「ぐふっ」」
「ゴホッ、ゴホッ」
「大丈夫ですかミラー様!?」
ミラー様がむせて咳き込むのを見てマーク様が慌てて駆け寄る。
「大丈夫だ。少し動揺しただけだ。続けて」
「大丈夫なのですか……? それでその姿を見られてからユーリがやたらと距離を取ってきたり、食事の時みたく少しでも触れようとするとあんな態度を取られてしまって、どうやって元の関係に戻れるか悩んでいて……」
「思ってたより衝撃的な話だったのだが……。いくつか質問をして良いかい?」
「はい」
「まず君は彼と付き合ってはいないんだよね? それとも恋人なのかい?」
「付き合ってないです」
「そうか、それは良かった。じゃあその見られてしまった時君はどんな反応をしたんだ?」
そう言われて私は目を瞑りあの時の状況を思い出す。実際は私も少し動揺していてハッキリとは覚えて居ないのだ。
「はっきりとは覚えてないけど……。私は気にしないからあなたも気にしないでって言った気がする。ほら、ユーリにとっては私なんか親戚のおばさんみたいなものかなって」
「……最初はユーリに怒りを感じていたが、今の発言を聞いて彼が不憫に思ったよ。彼はその時なんて言っていたんだ?」
「少しは気にしろって怒られちゃったの。やっぱりおばさんの体なんか見たくないって不愉快だったのですかね」
「……彼に同情するよ」
「私もです」
なんだか遠い目をしたミラー様と、ミラー様の発言にすぐさま同意したマーク様。やっぱり男性だとその気持ちが分かるのかな?
「とにかくそれで君は困っているんだよね?」
「はい、そうなんです。このままじゃ良くないと思って」
「分かった。この件は僕に任せてもらえないかな? 男同士の方が色々分かり合えると思うからね」
そう言ってウインクをしてくれるミラー様を見てやっと安心する。ミラー様なら私達のことを上手く取り持ってくれるだろう。
「分かり合えはするけど、彼女の裸を見た彼にはお仕置きをしなきゃね」
「?? ミラー様何か今言いましたか?」
「いや? 何も言ってないよ、空耳じゃないかな」
そうしてお茶の時間が終わると、マーク様が部屋まで案内してくれる。
「俺まであの異次元バックを頂きありがとうございます」
「いえ、マーク様にもお世話になったので。所でマーク様1つ相談があるのですが……」
私が考えていたことをマーク様に話すと、彼は目を輝かせ頷いてくれた。
それならすぐに用意出来るのでまた後で部屋にお持ちしますね。資料になるものも一緒に持って行きます。
「ありがとうございます」
ミラー様がいる間に一仕事終えられるかな?
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