乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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食事は色々大変みたいです。

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 ミラー様が連れてきてくれたのはお洒落なレストラン。マーク様が先に着き話を通してくれていたようで個室に案内される。
 マーク様も同席するようで、ミラー様の隣にマーク様、ミラー様の前に私、その隣にユーリが座る。


「ではユリ殿は好きなメニューを選んでくれ」

 ミラー様がそう言うと、マーク様がメニューを渡してくれる。しかしメニューを渡されたのは私だけで、他の3人は何も見ていない。

「あの、メニューが1つしかないならミラー様からどうぞ」

 こんな個室でメニューが1つしかないのはおかしいと思うが、やはり先に私が見るのは違うだろうと思いミラー様に渡そうとするが断られてしまう。

「僕たちはもうメニューを決めてるから良いんだ。ユリ殿が好きなのを選んでくれたら注文するよ」

 そう言われてしまったら早くメニューを決めなければならない。ユーリもこの店は初めて来たはずなのに大丈夫なのかな?そう心配しつつ、メニューを見る。さすが港町なだけあって、海鮮を使ったサラダやパスタ、ピザなどが多い。


「じゃあ私はこのたっぷりシーフードシチューのパイにしようかな」

 こちらの料理は元いた世界に似ている。どちらかと言うと西洋の料理が近いけど私はそちらも好きだから問題ない。
 ベルを鳴らすとマーク様が注文をしてくれる。


「ミラー様達は視察でこの港町に来ていたんですよね? 視察ってどこを見ていたんですか?」

「……お前、そんなこと気軽によく聞けるな。国家機密に関することかも知れないんだぞ」

 私がミラー様にそう問いかけるとユーリから注意が入る。うっかりしていたが確かにそうだ。彼の方が常識人みたいで少し悔しい。

「そんなに大袈裟な話じゃないから平気だよ。答えられないことはちゃんとそう言うから気軽に話してくれて構わない。その方が僕は嬉しいからね」

 そうミラー様が優しく言ってくれるとユーリがまた不機嫌そうな顔をする。彼は一体いつまでその調子でいるつもりなのだろうか。
 暫く4人で雑談していると料理が運ばれてくる。私の前には湯気が立った温かいパイと具沢山のスープが置かれる。
 他の人の頼んだものを見ようとすると、思わず固まってしまう。


「皆さんは何を頼んだんです……か? えっ?」

 彼ら3人の前に置かれたのは、海の幸のパエリア。しかし私の物と違って一切湯気が立っていなくて冷めてしまっている。
 王子様に冷めたものを出すなんてこの店はどうかしてる! そう思って立ち上がり店員を呼ぼうとすると、ユーリに腕を掴まれ「とにかく座れ」と促される。


「驚かしてすまなかったね。僕たちのはあえて冷めたのを出してもらっているんだよ。ほら、毒見をしなければいけないから出来立ては食べれないんだよ」

「遅延性の毒もありますので、毒見係が食べてから30分経たないと食べれませんので。だから私が早く到着して先に3人分頼んでいたのです」

「そうだったんですね……そうとは知らず失礼しました。でも何でユーリまで毒見してもらってるの? 普段何も気にしてなかったけど本当はダメなの?」

 彼は普段一緒にご飯を食べるが、自分で作った時もお店で食べる時もそんなこと全く気にしてなかったのに。もしかして暖かいのが食べたくて毒味を省いていたのか。

「俺はこの人と食べる時だけ毒見が必要なんだよ。そういう決まりなの。だからこの人とご飯行きたくなかったんだよ。俺と一緒にいると余計にリスク背負うのに何で誘うんだか」

「ミラー様と居る時だけなんだ……?」

 冷めたパエリアは少しお米が乾燥してきている。出来立てだったらさぞ美味しかっただろうに。それにしてもユーリはやはりだからミラー様と一緒にいる時は毒見が必要なのか? だったら普段から必要そうだが何故一緒の時だけなのだろう。私が首を傾げていても誰も教えてくれない。これは国家機密に関することなのだろうか。


「すまないね。こればかりは仕方ないからユリ殿も気にしないでくれ。じゃあ頂こうか」

 そう言ってミラー様はスプーンで掬うと、「ふー、ふー」と息を吹きかけてパエリアを口に運ぶ。うん?

「あの、ミラー様? 今ふーふーしましたか?」

「あぁ、僕は猫舌なんだ」

「でもそのパエリアもう冷めてますよね? 冷ます必要ないんじゃ……」


「こいつはこういう奴なんだよ。気にするな」

「そうなんです。ミラー様は猫舌だと言っていますが温かい料理など食べたことないはずなんです」

 呆れた様子で言うユーリと困った顔のマーク様を見て私も納得する。うん、ミラー様はこういう人だった。ゲームでのミレー様はもっとしっかりした人なイメージだったんだけどな。
 ふと横を見るとユーリの口元にご飯が付いているのを発見する。全く、こういう所がまだ子供なんだから。


「もう、ご飯ついてるよ。ミラー様の前なんだからちゃんとしてよね」

 ペシッ。
 そう言って私が彼の口元のご飯を取ろうとするとその手を叩かれ拒絶される。


「……そういうのいいから」

「ご、ごめん。自分で取れたよね」

「……あぁ」




「そういえばこの港町は海鮮の他にも有名な物があるんだ。明日見に行ってみないかい?」

 少し気まずくなってしまった私達のことを怪訝そうに2人が見ていたが、そこには触れずにミラー様が話を逸らしてくれた。そんなミラー様に助けられてなんとか食事を食べ終え、私たちは今日泊まるミラー様達が貸し切っている宿に向かった。


 ◇


「ではここが今日借りている宿だよ」

 そうミラー様が紹介したのは恐らくこの辺りで1番高級な宿に違いない。広いロビーにはシャンデリアがぶら下がっており、ふかふかなソファーがいくつも並んでいる。


「おい、ここ一泊いくらするんだよ」
「私だって分からないわよ。あなたここも泊まれるか聞きに来たんじゃなかったの?」
「こんなとこ来るわけないだろう。あの宿はきっと冒険者お断りだったんだ」
「どうしよう。1ヶ月パンしか買えないかも」

 ミラー様に聞かれないように小声で囁き合う。とても私達が気軽に払えるような値段じゃない。


「君達は普段一緒に過ごしてるんだろう? 部屋は一緒が良いかい? それとも別にするかい?」

 そうミラー様に聞かれ、ユーリと顔を見合わせる。気まずさ的には別にしたいが、2部屋借りたら今月はパンすら買えなくなるかも知れない。そう瞬時に判断した私達は頷き合う。

「1部屋……」
「まぁ僕が君達を相部屋にする訳ないけどね」

 そうミラー様がニコッと告げた瞬間ユーリの顔が青くなる。……今月はひもじい生活になりそうだ。

「安心して下さい。貸切として全部屋代をこちらで支払いは済ませているので、宿泊費は要りませんよ」

「「良かったあ~~」」

 そうマーク様が言ってくれてやっと喜ぶことが出来た。マーク様にそれぞれの部屋の鍵を頂き一度部屋に荷物を置きに行く。


「1人なんて久しぶりだな……。少し寂しくなっちゃう」

 ユーリの所に来てから彼と離れることはほとんどなかったから。久々に一人でいるとかなり部屋が広く感じる……。いや、これ本当に広い部屋だ。
 恐らくスイートルームまでは行かないだろうが、1人部屋にしてはかなり広い。室内にドレッサーやデスク、簡易キッチンまである。恐らくミラー様が用意してくれた良い部屋なのだろう。
 いくらするのかと思うと恐ろしいけど、一生泊れなさそうな部屋だから思う存分味わってしまおう! ユーリもこんな広い部屋を与えてもらったのかな?



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