乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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イカはやっぱりアレが良いと思うのです。

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「おい! お前の相手はこっちだ!」

 ユーリに手を引かれて走ると、洞窟から出てきたイカの魔物が海に入って行こうとする所だった。すかさずユーリが挑発して魔物の意識をこちらに向ける。
 洞窟から抜け出した魔物は全長10メートルは超えているんじゃないかという大きさで、良くこれが洞窟の中に入ってたと思う。どうなってるんだ。
 魔物はこちらの話が通じるようで、ユーリの声を聞くとこちらを向いて襲いかかってくる。そして私があっけに取られていると、ユーリが再びイカの魔物に斬りかかる。
 しかしそれを見た魔物が口から墨を吐き出し、それを寸前の所で避けるユーリ。墨が落ちた地面からはとても酸っぱい、酸のようなきつい臭いを放っている。


「気をつけて! このイカ墨嫌な臭いを発してる!」

「あぁ、きっと毒だな。少しでもかかったらきっと体が溶けるだろうな」

「溶ける!? やばすぎじゃない!! どうすれば良いのよ!!」

「とにかくあいつの頭の核を狙って攻撃だ!」

 よく見ると巨大イカの頭の中央には真っ赤な大きい魔石が埋まっており、その魔石の周りに紋様のようなものが浮かんでいる。そこが普通のイカと違う点であり、あれがただのイカではなく魔物だと言うことを証明している。あれを壊さないといけないみたいだ。

「大人しくクタバレーーーー!!」

 そう叫ぶとイカの足を駆け登り直接魔石を攻撃しようとするユーリ。しかし攻撃をしに行こうとしても、何本もある足に阻まれてしまう。そしてその足は先程と同じように何回斬り落としてもすぐ再生してしまうからキリがない。

「くっ……ユリ! 俺が奴の気を引きつけて攻撃するから、お前は魔法で援護しろ! 物理攻撃は効かないが魔法攻撃なら効くかも知れない!!」


 そう言うとユーリが私とは逆方向に走りながら巨大イカに攻撃を仕掛けて、誘導していく。魔法で攻撃しろって言ってもどうすれば良いのよ……。イカと言えばやっぱりイカのげそ焼き? 焼けば倒せる?
 とっさに前の世界での居酒屋メニューが思い出される。イカの炙り焼き、バター醤油などをつまみに飲むのが好きだった。

「いけっファイアーーーーっ!! 丸焼きにして食べてやる!!」

 そう私が叫び魔法を飛ばすと大きな炎の柱が巨大イカから燃え上がる。

「やった! 倒せた!?」

「バカ! 水タイプの魔物に炎を当てても倒せないだろう!!」

「っ!!」

 ユーリがそう叫んだ途端大きな水飛沫が上がり、炎が一気にかき消されて巨大イカが中から現れる。自分で水を出して炎を消したみたいだ。全く弱らせることが出来ていない。むしろ怒りで先程より狂暴化している気すらする。
 そうだ、水タイプに火の技を当ててもダメだった。水タイプには雷だ!! 某国民的ゲームのモンスターを思い出して雷を出すべきだったと今さら思い当たる。しかしあの巨大イカを倒すには半端な攻撃じゃ意味ないだろう。でもそんなレベルの雷を万が一ユーリに当ててしまったら彼の命が危なくなってしまう。どうしたら良いの!?

「スパーク!!」

 思い出したポ◯モンの技を叫び魔法を打つ。それはしっかりと巨大イカの頭に当たったが、少し焦げた臭いがしただけで全く効いてない。やはりあれくらいの威力じゃ足りないみたいだ。

「遠慮せずにやるんだ!」

「無理よ! 万が一あなたに当たったら死ぬわよ!」

「考えろよ! 俺らはパーティーだろ!? 個別に戦ってたら意味ない! 倒すのは俺に任せろ!」

 そう言うと彼は私の方に剣を向ける。
 そうか! その手があったか!
 私は彼の剣に向けて魔法を放つ。彼の剣に雷の属性を付与するのだ。私の魔法を受けた彼の剣がビリビリと稲妻を伴ってるのを見て油断をしてしまったようだ。そんな様子を見逃さずに私を目掛けてイカの足が襲って来る。必死に避けようとするが、避けきれずにイカの足が振り払うような仕草で私に当たる。強い衝撃を全身に受け、フッと身体が浮き大きく宙に投げ飛ばされた。

「ユリッ!! くそっ! これで終わりだ!!」

 そうユーリが叫んで走って行くのが目に入り必死で補助魔法を飛ばす。その魔法によってフワッと浮き上がった彼がイカの頭に稲妻の剣を突き刺し、イカの体全体に稲妻が走る。そしてとても大きい魔物の断末魔が鳴り響き、ドシンと地面に倒れる音が聞こえる。

 良かった、倒せたんだ。これで港の人達に大きな被害は出ないで済む。ユーリが慌ててこちらへ駆け寄ってくるが間に合わない。……私はそのまま海に落ちた。

「ユリ!!!!」

 慌てたユーリの声が聞こえるが答えることが出来ない。全身を強く打ってしまったみたいで腕や足も全く動かない。
 自分にヒールをかけようにも意識が朦朧としてきてもうそんな余裕もないようだ。そのまま私は意識を失い、海の底へと沈んでいった。
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