乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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もう1度調査に行くようです。

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「なるほど。ダンジョンの奥に魔王に関係する魔石があるのか……。それは確かに早めに調べた方が良いかも知れないな」

「こいつの話をそのまま信じるのか? 夢で見た話なんだろ?  すぐに調査に行くなんて危険極まりないだろ。あの巨大イカの調査だって始めたばかりなのに、またあいつが出現したらどうする」

「確かに夢で見ただけだけど……絶対にあるはずなの。それをどうにかしないと魔王を完璧に倒すことは出来ないのよ! 私を信じて?」

 ミラー様は私の話を真剣に検討してくれるが、ユーリがあまり乗り気ではない。確かにまたあの巨大イカが現れたら大変だが、魔石をどうにかしなければ魔王を倒せないのだから、ここは信じてもらわないと困る。
 私がユーリの目を真っ直ぐ見て信じるようにもう一度告げると彼が私を端に引っ張り小声で呟く。

「本当に魔石を調べたいってだけだよな? 他に理由はないよな?」

「当たり前でしょ? それ以外に理由なんてある?」

「……そうか。なら分かった」

 彼は何を疑ってるのだろう? 少し訝しげに彼を見るが、そっぽを向いてしまう。

「じゃあとりあえず調査は俺たちで行くからミラーは連絡を待ってろよ。今回みたくダンジョンまで来るなよ」

 ミラー様は来ないようにと伝えていたのに結局船に乗って本人も来てしまったらしい。やっぱりユーリも何だかんだミラー様を大切に思っているのね。さすがにこの国の王子を危険な目に合わせられないからユーリの意見には賛成だ。

「……僕が行って迷惑を掛ける訳にも行かないからね。その代わりその魔石が見つかった時に備えて助っ人を呼んでおくよ」

「助っ人ですか?」

「ああ。お楽しみにね。とにかくその魔石が本当に見つかったら……」

 そう呟くと一人で考え込むミラー様。ユーリも真面目な顔で何やら考えている。少し重苦しい空気の中その日は解散となった。
 そしてその翌日に再びダンジョンへと向かう。ミラー様達には病み上がりだから無理をしないように言われたのだけど、反対を押し切った。早く確かめないと気持ちが落ち着かないのだ。


 ◇


「じゃあマーク僕の代わりによろしく頼んだよ。何かあればすぐ連絡してくれ」

「ええ、見つかり次第連絡しますので、無理はなさらないように」

 今回はミラー様はお留守番をする代わりに、マーク様が一緒に来てくれることになっている。あの海の洞窟までも、ミラー様の大きな船で案内してくれるから泳がなくて済むのだ。

「お前がまた溺れたら厄介だからな。それよりお前がこっちに着いてきてあいつは大丈夫なのかよ」

「ええ、ミラー様には別件の仕事もありますので。私以外にも付き人が居ますので問題ないですよ」

「なら良いが、お前も俺たちの足を引っ張るなよ」

「ええ、分かっています。それに私は色々役に立つと思いますよ?」

 マーク様も普段とは違いしっかりと装備を着けている。彼は短剣を使うタイプらしく、腰に2本の短剣を刺している。黒を基調としたレザーのジャケットとパンツがとても似合っていてつい見てしまう。

「? 何かついていますか?」

「いえ、そういう服装も大人っぽくて素敵だなと思ってつい見てしまいました。すみません」

「ユリ殿にそう言ってもらえると嬉しいですね。ユリ殿も大人っぽく素敵な女性ですから」

「本当ですか? マーク様に大人っぽいと言われると照れちゃいますっ!」

 私達がそう話していると少しムスッとしたユーリが咳払いをする。

「おい、話してる間に魔物に襲われても知らないからな。ほらもう着く。準備しろよ」

 そう言われるともう目の前にあの海の洞窟のダンジョンが見えている。今回は入り口からおかしなものが出てたりしない。
 陸に降り立つとユーリがサッサと進んでしまうので少し待ったをかける。


「ちょっと待ってユーリ! 試したいことがあるの」

 そう言うと、私はバックの中から例の試験紙を取り出して、あのイカ墨が吐かれた所へと向かう。まだあの毒は地面に残って今も異臭を放っている。
 手を触れないように気をつけながらも試験紙をイカ墨に浸すと、あっという間に真っ赤になる。

「やった! 実験成功よ!」

「それは例の話していた毒感知のものですか?」

「そうなんです! こうして液体状の毒が入っていると赤くなるようにしていて、一目で分かるようにしてて……どうですか?」

 マーク様にも近づけて見せてみる。ユーリはあまり興味ないみたいで、毒だから気をつけろよと呟くと洞窟の入り口を調べに行ってしまう。

「あとは濃度が薄くなった毒にもちゃんと反応するかとか、他の毒にもちゃんと反応すれば使えると思うんです」

「ええ。あとは熱しても変わらず反応あるかなど色々確認しなければなりませんが、すごい発明ですね! 全ての毒味をなくすことは無理でも、信頼のおけるものが作った料理にはこの試験紙の検査だけにすることや、毒味係が食べる前に一度これで検査をすることで、彼らを犠牲にすることが減りますし、本当にありがとうございます!」

 いつも必要最低限の発言しかしないマーク様が少し興奮気味で話してくれる。そうだよね、今まで毒味で犠牲になった人だって居るはずだ。この試験紙でそういった問題も解決出来たら良いな。

「それでは宿に戻ったらこの試験紙を頂けますか? 城の専門の者に渡して有効性をもっと細かく調べてもらいます」

「はい、よろしくお願いします」

「もう話は良いだろう。行くぞ」

 そう声を掛けられるとユーリ、私、マーク様と続きダンジョンの中へと恐る恐る足を踏み入れて行った。

 ◇


「他のダンジョンと中は対して変わらないのね。やっぱり全体的にジメジメしていて、そういう魔物も多いけど」

 あの巨大イカは居ないが、中はカニのような魔物や、ナマコのような魔物まで、さすが海の洞窟と言わんばかりのラインナップである。
 魔物が現れてもユーリがさっとやっつけてしまうので、私達はその後ろをついて行くだけだ。

 少し拍子抜けしてしまうくらい、魔物のレベルもそこまで高くなく、あっさりと最深部らしき所まで辿り着く。階段を降り切った先には、ぽっかりと穴が空いている。

「ここからあのイカが出て来たのか。ここは今までなかった空間だ。このダンジョンの地図も貰ったがこの部屋はのっていない」

 そう言って懐から出した地図を広げるユーリの横に立ち覗き見る。確かに1番下の階は今いる場所まででその奥は描かれていない。

「この奥に魔石があるのか……。行くぞ、気をつけろよ」

「ええ」

「はい」

 息を呑み、慎重に進んでいくユーリ。私も何が起きても大丈夫なようにすぐに魔法を出す心構えをしておく。
 しかし進んだ先には何もなく、ただ別れ道が続いていた。

「どっちに行けば良いのかしら」

「……多分右から嫌な音が聞こえています。あるとしたらそちらじゃないでしょうか」

「音? 私は何も聞こえないけど」

「そいつがそう言うならそうなんだろう。右だ」

 そう言うとユーリが右の道を進もうとする。

「いや、ちょっと待ってください! そっちに」
「何だって?」

「キャーーーー!」

ユーリが一歩足を踏み出した途端、それは現れた。


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