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神殿の魔石はやはりアレなようです。
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「ここが……?」
「はい、恐らくあの中央の祭壇にある石が皆さんの仰っている魔石だと思いますが如何でしょうか?」
ララさんと神官長が案内してくれたのは祈りの間という、神殿の中央に位置する小さな部屋。この祭壇前に佇み、神官長やララさんが毎日祈りを捧げるそうだ。……そう、あの魔石に。
「あの赤い魔石が本当に魔王の魂なのでしょうか? あの魔石は我らの力の源になると言われ、私達神官長が代々守り、祈りを捧げてきたものになるのです」
「……鑑定してみないことにはなんとも言えないが、私達がダンジョンで見た魔石と見た目はそっくりだな」
あの魔石と同じく少しおどろおどろしい赤い光を発している大きな魔石。そこにリア様が近づき手を翳す。
「では鑑定します!」
「…………」
「これはっ……! いや、そんなことは……」
「何だ!? 何が分かったんだ!?」
リア様が難しい顔で魔石を見つめながら何やら考え事をしている。
「……ユリ殿、こちらへ来て頂けますか?」
ミラー様の呼びかけを無視して私を指名されどうして良いのか悩んだが、ミラー様が優しく促してくれてリア様に近づく。するとリア様が小声で耳打ちする。
「今から言うことを知っていたら頷いて下さい。何も知らなければそのままにして」
分かったと言うようにリア様を見つめると再びリア様の顔が近づいてくる。美しい顔がすぐ脇に来て緊張するが、なんとか耳に意識を集中させる。
「あなたはこの場所に魔石があることを知っていましたか?」
それはゲームで知っていたので正直に軽く頷く。
「魔王と神殿に繋がりはありますか?」
リア様の質問の意図が分からず首を傾ける。
「ではその魔石から魔王に力が供給されていることは?」
「!?」
リア様の話にビックリして見つめ返すと、また難しい顔をするリア様。
「では更に詳しく鑑定する為に力を貸して下さいね」
そう言われると右手を繋がれる。リア様の少しひんやりとした手にも慣れてきた。私が魔力を流すとリア様も目を瞑り集中する。その様子をみんながじっと見つめて待つ。
「……間違いないようですね。これは間違いなくあのダンジョンにあった物と一緒です。魔王の魂と呼んでいるものです」
「えっ!? 嘘っ!! 本当に……?」
「まさかっ! そんな訳ありますか!? 我々はずっとこの魔石に祈りを捧げ続けてきたんですよ!?」
リア様の鑑定結果にララさんと神官長が驚き、取り乱している。同じのがあるとは言ったが、まさか本当に魔王の魂だとは思っていなかったのだろう。
「リア殿は国が認めている公認鑑定士だ。彼の鑑定が間違っているはずがないだろう。彼の鑑定結果に嘘偽りなど無い。彼を疑うことは国家を疑うことになるぞ」
「いや……そんなつもりでは。申し訳ありません。取り乱してしまいました。リア様の鑑定結果を疑うつもりはなかったのですが、なかなかすぐに受け入れ難く……」
ミラー様の発言に神官長もたじだじだ。まさかリア様にそんなにすごい発言力があったとは……。確かにリア様の鑑定を疑ったら切りないものね。
国がちゃんと保証してくれてるから、リア様の鑑定結果が絶対であると皆納得出来るのね。
「疑いたくなってしまう気持ちも分かります。私達も初めてダンジョンで魔石を見た時はそんな思いでしたから」
「ユリ様っ! なんとお優しいお言葉!」
私がフォローすると神官長が手を握りしめてきそうになった所をユーリがさりげなく間に入って止めてくれる。
そういう所は本当にスマートなのよね。どこで覚えたのかしら。
「神官長様達も落ち着くのに時間が欲しいでしょう。ミラー様と今後について相談したいこともありますので、今日はこちらに泊めて頂けますか?」
「そうだな。対策を考えてから動いた方が良いだろう。頼めるか?」
「はい! 部屋は余っていますのでぜひお使いください! ララ、手配をお願いできるか?」
「承知しました! すぐに用意致します!!」
そう言うとバタバタと駆けて行くララさん。
聖女と言われているけど、神殿では下働きもしているのかしら。神官長の指示ですぐ動く姿に違和感がない。そしてその仕草もあまり洗礼されたものではないのかなと感じてしまう。普通の少女のようだ。
ゲームの中の聖女リリーは天真爛漫さはあったけど、仕草や動作なんかはもっとお淑やかだった気がするけど。
暫くするとララさんと何人かの神官さん達が来て部屋へと案内してくれる。
神殿には元々王家の方が来た時用に客室がいくつか用意してあるそうだ。今回はそこを貸してもらえることになった。
「それにしても、神殿は趣がありますね。壁にも色々な彫刻が彫ってあって素敵です」
「この神殿は古の時代から受け継いで来たもので、保存の魔法がかけてあり当時の姿そのままなのですよ」
「えっ!? 当時のままなんですか!? それは凄い……ロマンを感じますね」
部屋まで案内してくれる最中だったのだが思わず立ち止まってしまう。
「ロマンって何だよ。ただ古いだけだろう」
「そんなことないよ。昔の人がこんなに大きな石を運ぶの大変だったろうなとか、色々なことに思いを馳せれるじゃん!」
元の世界に居た時の私は歴史オタクでもあったので、こうやった古い建物を見ると歴史のあれこれを想像してしまう。
「大変って、それ用のスキル持ってるやつが運んだだけだろうが」
「……そうだった。この世界はそうだった。確かにそれじゃあロマンを感じれないかも。あれ? でも王宮はそんなに古くない建物だったよね?」
「あぁ。王宮は数十年に一度建て替えているからね。新しく発見された技術を取り入れたり、防犯上の都合もあるしね。そうやって定期的に建て替えることで、雇用を生んだり、他国への牽制にもなるんだよ」
「なるほど。雇用まで考えるとはさすが王宮ですね。じゃあやっぱりこうやって昔の姿を留め続けてる神殿はやっぱりロマンを感じれるなぁ」
「ここにあるのがロマンだけなら良いのですがね」
「?? どういうこと?」
リア様の発言に首を傾けるが曖昧な笑顔で流されてしまった。
「では30分後にリア殿の部屋で良いかい?」
「分かりました」
「ああ」
「問題ありません」
各自部屋を案内されると次の集合が知らされる。何やらリア様からあの魔石に関して重要な報告があるとのことだ。
「はい、恐らくあの中央の祭壇にある石が皆さんの仰っている魔石だと思いますが如何でしょうか?」
ララさんと神官長が案内してくれたのは祈りの間という、神殿の中央に位置する小さな部屋。この祭壇前に佇み、神官長やララさんが毎日祈りを捧げるそうだ。……そう、あの魔石に。
「あの赤い魔石が本当に魔王の魂なのでしょうか? あの魔石は我らの力の源になると言われ、私達神官長が代々守り、祈りを捧げてきたものになるのです」
「……鑑定してみないことにはなんとも言えないが、私達がダンジョンで見た魔石と見た目はそっくりだな」
あの魔石と同じく少しおどろおどろしい赤い光を発している大きな魔石。そこにリア様が近づき手を翳す。
「では鑑定します!」
「…………」
「これはっ……! いや、そんなことは……」
「何だ!? 何が分かったんだ!?」
リア様が難しい顔で魔石を見つめながら何やら考え事をしている。
「……ユリ殿、こちらへ来て頂けますか?」
ミラー様の呼びかけを無視して私を指名されどうして良いのか悩んだが、ミラー様が優しく促してくれてリア様に近づく。するとリア様が小声で耳打ちする。
「今から言うことを知っていたら頷いて下さい。何も知らなければそのままにして」
分かったと言うようにリア様を見つめると再びリア様の顔が近づいてくる。美しい顔がすぐ脇に来て緊張するが、なんとか耳に意識を集中させる。
「あなたはこの場所に魔石があることを知っていましたか?」
それはゲームで知っていたので正直に軽く頷く。
「魔王と神殿に繋がりはありますか?」
リア様の質問の意図が分からず首を傾ける。
「ではその魔石から魔王に力が供給されていることは?」
「!?」
リア様の話にビックリして見つめ返すと、また難しい顔をするリア様。
「では更に詳しく鑑定する為に力を貸して下さいね」
そう言われると右手を繋がれる。リア様の少しひんやりとした手にも慣れてきた。私が魔力を流すとリア様も目を瞑り集中する。その様子をみんながじっと見つめて待つ。
「……間違いないようですね。これは間違いなくあのダンジョンにあった物と一緒です。魔王の魂と呼んでいるものです」
「えっ!? 嘘っ!! 本当に……?」
「まさかっ! そんな訳ありますか!? 我々はずっとこの魔石に祈りを捧げ続けてきたんですよ!?」
リア様の鑑定結果にララさんと神官長が驚き、取り乱している。同じのがあるとは言ったが、まさか本当に魔王の魂だとは思っていなかったのだろう。
「リア殿は国が認めている公認鑑定士だ。彼の鑑定が間違っているはずがないだろう。彼の鑑定結果に嘘偽りなど無い。彼を疑うことは国家を疑うことになるぞ」
「いや……そんなつもりでは。申し訳ありません。取り乱してしまいました。リア様の鑑定結果を疑うつもりはなかったのですが、なかなかすぐに受け入れ難く……」
ミラー様の発言に神官長もたじだじだ。まさかリア様にそんなにすごい発言力があったとは……。確かにリア様の鑑定を疑ったら切りないものね。
国がちゃんと保証してくれてるから、リア様の鑑定結果が絶対であると皆納得出来るのね。
「疑いたくなってしまう気持ちも分かります。私達も初めてダンジョンで魔石を見た時はそんな思いでしたから」
「ユリ様っ! なんとお優しいお言葉!」
私がフォローすると神官長が手を握りしめてきそうになった所をユーリがさりげなく間に入って止めてくれる。
そういう所は本当にスマートなのよね。どこで覚えたのかしら。
「神官長様達も落ち着くのに時間が欲しいでしょう。ミラー様と今後について相談したいこともありますので、今日はこちらに泊めて頂けますか?」
「そうだな。対策を考えてから動いた方が良いだろう。頼めるか?」
「はい! 部屋は余っていますのでぜひお使いください! ララ、手配をお願いできるか?」
「承知しました! すぐに用意致します!!」
そう言うとバタバタと駆けて行くララさん。
聖女と言われているけど、神殿では下働きもしているのかしら。神官長の指示ですぐ動く姿に違和感がない。そしてその仕草もあまり洗礼されたものではないのかなと感じてしまう。普通の少女のようだ。
ゲームの中の聖女リリーは天真爛漫さはあったけど、仕草や動作なんかはもっとお淑やかだった気がするけど。
暫くするとララさんと何人かの神官さん達が来て部屋へと案内してくれる。
神殿には元々王家の方が来た時用に客室がいくつか用意してあるそうだ。今回はそこを貸してもらえることになった。
「それにしても、神殿は趣がありますね。壁にも色々な彫刻が彫ってあって素敵です」
「この神殿は古の時代から受け継いで来たもので、保存の魔法がかけてあり当時の姿そのままなのですよ」
「えっ!? 当時のままなんですか!? それは凄い……ロマンを感じますね」
部屋まで案内してくれる最中だったのだが思わず立ち止まってしまう。
「ロマンって何だよ。ただ古いだけだろう」
「そんなことないよ。昔の人がこんなに大きな石を運ぶの大変だったろうなとか、色々なことに思いを馳せれるじゃん!」
元の世界に居た時の私は歴史オタクでもあったので、こうやった古い建物を見ると歴史のあれこれを想像してしまう。
「大変って、それ用のスキル持ってるやつが運んだだけだろうが」
「……そうだった。この世界はそうだった。確かにそれじゃあロマンを感じれないかも。あれ? でも王宮はそんなに古くない建物だったよね?」
「あぁ。王宮は数十年に一度建て替えているからね。新しく発見された技術を取り入れたり、防犯上の都合もあるしね。そうやって定期的に建て替えることで、雇用を生んだり、他国への牽制にもなるんだよ」
「なるほど。雇用まで考えるとはさすが王宮ですね。じゃあやっぱりこうやって昔の姿を留め続けてる神殿はやっぱりロマンを感じれるなぁ」
「ここにあるのがロマンだけなら良いのですがね」
「?? どういうこと?」
リア様の発言に首を傾けるが曖昧な笑顔で流されてしまった。
「では30分後にリア殿の部屋で良いかい?」
「分かりました」
「ああ」
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