乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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私にも出来ることがあったようです。

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「やめて! やめてよユーリ!」

 リア様の胸ぐらを掴み掛かるユーリを慌てて間に入るが、ユーリは声を荒げる。

「あいつがそんなことするはずないだろう! 俺達がどんな思いでやってきたと思ってるんだ!!」

「君の気持ちは分かる。だがリア殿の言うことも一理ある。ララ殿はただ神殿に騙されているだけかも知れない」

 そうミラー様に諭されると、頭が少し冷えたようで悪かったと言ってリア様を離すユーリ。だがまだ怒りは収まってはいないようで、グッと手を握りしめている。

「私の考えはあくまでも、憶測でしかありません。だがしかし、魔王のことに関しては最悪の事態を想定して動いたほうが良いと思います」

「あぁ。僕もそれに賛成だ。神殿のやっていることがハッキリするまでは、彼らが裏切っている可能性も考えなくてはならない。彼らの動きの監視と偵察をする為にも、暫くはここに滞在した方が良いだろう」

「なら俺があいつに近付いて監視する。その方が神殿のやつらも自然に見えるだろう」

「そうだね。ララ殿はユーリ殿を特別視しているし、それが良いだろう。頼んだよ。では僕とリア殿で神殿の内部の様子を探るとしよう」

「分かりました。魔石に関して調査をしていることにして、滞在が延びることもあちらに伝えておきますね」

「……私は何をすれば良いですか?」

 話し合いがまとまってきているのについ口を出してしまう。みんなが何かしら動いているのに、私だけ何もしないのは嫌だ。

「ユリ殿はこのまま客として滞在して欲しい。みんなが色々動いていたら怪しまれてしまうだろう。君は普通を装って自由に動いてもらい、何か気になることがあったら僕達に教えてくれ」

「……分かりました」

 私が欲しい答えじゃなかったけど、ミラー様にそう言われてしまえば反論することが出来ない。
 その後は何度も集まるのは怪しい為、3日に一度集まり情報共有することが決まって解散となった。


 ◇

 夕食は食堂で頂き部屋に戻る。

「はぁ……結局モヤモヤして終わっちゃったな」

 自分だけ役割が与えられなかったことや、神殿に対する不信感、そしてあの2人の姿。私の胸の中はモヤモヤが晴れないままだ。

「怒ってるユーリ久々に見たな……」

 やっぱり2人は思い合ってるのかな。
 昼間の光景が頭から離れない。顔はハッキリ見えなかったものの、想像の中の2人は笑い合って仲良さげに話している。その姿は普段のユーリでは見ることのないくらい、年頃の男の子らしい笑顔だ。

 普段は緊張感を持ちながら、常に周りを警戒しているユーリ。そんな彼が年相応に戻れる場所が彼女の隣なのかも知れないと思うと、そのことにホッとして嬉しく感じつつ、その場所が自分の隣ではないことに落胆する。

 私の隣に居る時の彼は、思いっきり馬鹿にしてくるか、私がへまして心配してるか、仕方ないなと言って面倒見てくれる姿ばかり。

 年上なのに思いっきり迷惑を掛けている自覚もあるし、彼の助けになっているかと言ったら微妙な所だ。こんな私が一緒に居る意味があるのだろうか。

 そう思っていると、視界に化粧台が目に入る。
 ふらふらと化粧台の前に行って鏡を覗き込む。

「私に出来ることって言ったら、結局この万能スキルしかないのよね……」

 どんなことを確かめたら彼らの助けになるだろうか。

「鏡よ鏡、神殿の真意を見せて」

 そう鏡に問いかけるが、鏡は私の顔を映し続けるだけだ。

「うーーん、何か特別なことするんだっけ?」

 確か鏡に聞けばなんでも教えてくれた気がするんだけど。
 そう疑問に思いながら例のノートを出す。あの落界人専用ノートだ。

「何で何も映さないの?」

『曖昧な問いは何も映すことが出来ません』

 成程。神殿の真意は確かに曖昧だったかも知れない。しかし具体的にと言われてもどう言えば良いか分からない……困った。

 悩んだ結果、別の質問をすることに変えた。このスキル以外に使えるとしたら、私はこの先の未来を知っていることだ。何年後になるのかは分からないが、この世界はあのゲームの世界の時代へと続いてるはずだから。

 確かあの魔石はダンジョンの中と、神殿と他にもあったはずだ。
 その場所が分かれば魔力の供給先もハッキリするかも知れない。

『鏡よ鏡、あの魔王の魔石の場所を教えて』

 そう私が問うと、鏡の中が波打って揺れる。そして暫くするとある光景が映し出された。

「この人は……」

 鏡が映し出した光景に混乱する。そんなはずはない。もしそうだとしたら、誰を信じたら良いのか分からなくなってしまう。
 裏切っているのは神殿だけじゃないの……?

 鏡の中が元の状態に戻ると、真っ青になっている自分の顔が映る。
 これは自分1人じゃどうこう出来る問題じゃない。誰かに相談しなくては。

 通信機を取り出し、通話したい人をイメージする。……いや、誰に相談しよう。
 真っ先に頭に浮かんだのはユーリだが、すぐさまララさんの顔が思い浮かんでしまい掻き消す。普段は冷静な彼がこの件に関しては感情的になっている。あまり彼に相談するのは良くない気がする。
 それに彼には頼ってばっかりだと先程反省したばかりだ。

 ユーリではないとしたら、もうあの人しか居ない。いつもはちょっとアレだけど、今回の件に関しては真剣に対応しているからきっと相談に乗ってくれるだろう。
 もう一度通信機に魔力を流すとすぐに繋がることが出来た。



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