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いじめられっこの冒険
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とある田舎に男の子が住んでいた。
男の子は小学校6年生。
優しい性格で、クラスのガキ大将に目をつけられ、いじめられていた。
「お前は、弱虫だから、強くなるために俺が鍛えてやる。」
そう言って、男の子の大事な物を山の上にある神社に隠されてしまった。
僕の住む村には山があり、山の上には小さな神社がある。
小さな神社なので、特に誰が管理しているということもない。
村に住むおじいさんが、たまに手入れをするくらい。
薄汚れていたり、錆びていたり…はっきり言って、一人ではあまり行きたくない場所だ。
でも、大事な物を隠されてしまったからには、取りに行かないと。
僕は山を登ることにした。
神社まで続く階段も所々朽ちていてあまり登りやすいとは言い難い。
登り始めたのは夕方だった。カアーァとどこかでカラスの泣き声。
真っ赤な夕焼けがどこか落ち着かない気分にさせる。
大丈夫、走っていけば、日が沈むまでに山を降りられる。
そう思って階段を駆け上がる。
途中、赤い葉っぱが茂っている木の前で、僕は立ち止まった。
近道があることを思い出したのだ。
「赤い葉っぱが茂っている木があるけど、そこの横にある獣道を進むと、神社への近道なんだ」と前に誰かが言っていた。
出来れば早く帰りたい。
僕は、近道を進むことにした。
獣道を急ぎ足で歩く。
しばらくして、道が途切れてしまった。
「あれ?近道なんて嘘だったのかなあ」
仕方がないから来た道を戻ることにした。
でも、獣道だから、ちょっと分かりにくい。
僕はいつの間にか、山で迷ってしまっていた。
あの草は見たような気がする、あの白い花も見たような…
歩き回るがどうにも、階段のある道に戻れなくなってしまった。
しばらくすると、一際夕焼けの赤に辺りが染まって、日が暮れた。
そう日が暮れてしまったのだ。
暗くなってしまった森の中、僕はふと嫌なことを思い出した。
この山は自殺の名所だと。死ぬ人が多くて、それで霊を鎮めるために神社が建ったんだよ、と。
なんでこんな時に思い出してしまったのだろう。
背筋がゾクゾクして、思わず走るが、余計迷っただけだった。
日が暮れてどれくらい経っただろう。
どこかで車の音がした。
道路があるのかも!そう思って走って行くと、草がたくさん生えた獣道みたいなところに出て、黒い車が止まっていた。
人がいる!
「すいません!助けてください。道に迷ってしまって!」
僕は声を張り上げた。
車のそばに、男の人がいた。
黒い服を着ている背の高い男性だった。
「道に迷ってしまって!助けてください!」
僕は息を切らせて事情を話した。
男性は、最初こそ驚き戸惑ったものの、僕の話を静かに頷きながら聞いてくれた。
ガキ大将に大事な物を神社に隠されてしまったこと。毎日いじわるされていることなども、静かに聞いてくれ、僕は思わず嗚咽を漏らしていた。
その男性は僕の肩に手を置き、
「大変だったね。そしたら、俺で良ければ、一緒に神社まで行こうか?」
そう提案してくれた。
それに僕は泣きながら頷いた。
そして二人で歩き始めた。
男性が車を停めていたすぐそこに階段の道があり、二人でゆっくり登り始めた。
僕は学校であったことを話しながら登る。
男性は、うんうん、と頷いてくれる。
「あの、お兄さんはどうして、あんな所にいたんですか?」
僕は話の流れで聞いた。
そしたら、お兄さんは、黙ってしまった。
しばらく間が空いて、ポツリと
「…彼女に…別れたいと言われてしまってね」
お兄さんの後ろに三日月が見える。
逆光になっていて、あまりよく見えないが、悲痛な雰囲気を感じ、僕は思わずハッとした。
この山は自殺の名所だ。
つまり…彼女に振られて、自殺しようとしていたのだ。
「大丈夫ですよ!お兄さんすごい良い人だから、新しい彼女なんてすぐできます!」
僕は慌てて言った。
「見ず知らずの僕に優しくしてくれて、話も聞いてくれて、僕、お兄さんに会えて本当に良かったです」
僕は笑顔でそう言った。
お兄さんは一瞬、動きをとめ、顔を上げた。
「ありがとう」
そして微笑んだ。
少し、お兄さんの雰囲気が和らいだ気がした。
そうして、色々話しながら、神社まで登り、僕は無事大事な物を見つけた。
大事な物は、おばあちゃんの縫ってくれた体操服入れだ。
おばあちゃんは、数年前に亡くなっていて、いわば形見だった。
そして、明日、体育の授業もある。
どうしてもその日のうちに取りに行きたかったのだ。
お兄さんは、山の麓まで一緒に階段を下りてくれた。
麓のほうから、僕を探す人の声がした。
「もう大丈夫だね、じゃあ俺はもう行くよ。車も停めっぱなしだし。」
そう言って、お兄さんは手を振った。
無事、家に帰った僕は両親にこっぴどく怒られた。
もう夜の10時だった。
家の前にはガキ大将もいて泣いていた。
ガキ大将の親にゲンコツで殴られて、親子で頭を下げられた。
「このバカ息子!お前のせいでクラスメイトが遭難して死ぬところだったんだぞ!」
と親に怒鳴られ、殴られ、とんでもなく怒られて、ガキ大将は鼻水と涙でぐちゃぐちゃの顔だった。
ちょっとスカッとしたのは内緒だ。
その後、僕は、ガキ大将にいじめられることはなくなった。
穏やかな学校生活を送っている。
あの時、一緒に山の中を歩いてくれたお兄さんはどうしているだろうか。
新しい彼女できたかな。
男の子は小学校6年生。
優しい性格で、クラスのガキ大将に目をつけられ、いじめられていた。
「お前は、弱虫だから、強くなるために俺が鍛えてやる。」
そう言って、男の子の大事な物を山の上にある神社に隠されてしまった。
僕の住む村には山があり、山の上には小さな神社がある。
小さな神社なので、特に誰が管理しているということもない。
村に住むおじいさんが、たまに手入れをするくらい。
薄汚れていたり、錆びていたり…はっきり言って、一人ではあまり行きたくない場所だ。
でも、大事な物を隠されてしまったからには、取りに行かないと。
僕は山を登ることにした。
神社まで続く階段も所々朽ちていてあまり登りやすいとは言い難い。
登り始めたのは夕方だった。カアーァとどこかでカラスの泣き声。
真っ赤な夕焼けがどこか落ち着かない気分にさせる。
大丈夫、走っていけば、日が沈むまでに山を降りられる。
そう思って階段を駆け上がる。
途中、赤い葉っぱが茂っている木の前で、僕は立ち止まった。
近道があることを思い出したのだ。
「赤い葉っぱが茂っている木があるけど、そこの横にある獣道を進むと、神社への近道なんだ」と前に誰かが言っていた。
出来れば早く帰りたい。
僕は、近道を進むことにした。
獣道を急ぎ足で歩く。
しばらくして、道が途切れてしまった。
「あれ?近道なんて嘘だったのかなあ」
仕方がないから来た道を戻ることにした。
でも、獣道だから、ちょっと分かりにくい。
僕はいつの間にか、山で迷ってしまっていた。
あの草は見たような気がする、あの白い花も見たような…
歩き回るがどうにも、階段のある道に戻れなくなってしまった。
しばらくすると、一際夕焼けの赤に辺りが染まって、日が暮れた。
そう日が暮れてしまったのだ。
暗くなってしまった森の中、僕はふと嫌なことを思い出した。
この山は自殺の名所だと。死ぬ人が多くて、それで霊を鎮めるために神社が建ったんだよ、と。
なんでこんな時に思い出してしまったのだろう。
背筋がゾクゾクして、思わず走るが、余計迷っただけだった。
日が暮れてどれくらい経っただろう。
どこかで車の音がした。
道路があるのかも!そう思って走って行くと、草がたくさん生えた獣道みたいなところに出て、黒い車が止まっていた。
人がいる!
「すいません!助けてください。道に迷ってしまって!」
僕は声を張り上げた。
車のそばに、男の人がいた。
黒い服を着ている背の高い男性だった。
「道に迷ってしまって!助けてください!」
僕は息を切らせて事情を話した。
男性は、最初こそ驚き戸惑ったものの、僕の話を静かに頷きながら聞いてくれた。
ガキ大将に大事な物を神社に隠されてしまったこと。毎日いじわるされていることなども、静かに聞いてくれ、僕は思わず嗚咽を漏らしていた。
その男性は僕の肩に手を置き、
「大変だったね。そしたら、俺で良ければ、一緒に神社まで行こうか?」
そう提案してくれた。
それに僕は泣きながら頷いた。
そして二人で歩き始めた。
男性が車を停めていたすぐそこに階段の道があり、二人でゆっくり登り始めた。
僕は学校であったことを話しながら登る。
男性は、うんうん、と頷いてくれる。
「あの、お兄さんはどうして、あんな所にいたんですか?」
僕は話の流れで聞いた。
そしたら、お兄さんは、黙ってしまった。
しばらく間が空いて、ポツリと
「…彼女に…別れたいと言われてしまってね」
お兄さんの後ろに三日月が見える。
逆光になっていて、あまりよく見えないが、悲痛な雰囲気を感じ、僕は思わずハッとした。
この山は自殺の名所だ。
つまり…彼女に振られて、自殺しようとしていたのだ。
「大丈夫ですよ!お兄さんすごい良い人だから、新しい彼女なんてすぐできます!」
僕は慌てて言った。
「見ず知らずの僕に優しくしてくれて、話も聞いてくれて、僕、お兄さんに会えて本当に良かったです」
僕は笑顔でそう言った。
お兄さんは一瞬、動きをとめ、顔を上げた。
「ありがとう」
そして微笑んだ。
少し、お兄さんの雰囲気が和らいだ気がした。
そうして、色々話しながら、神社まで登り、僕は無事大事な物を見つけた。
大事な物は、おばあちゃんの縫ってくれた体操服入れだ。
おばあちゃんは、数年前に亡くなっていて、いわば形見だった。
そして、明日、体育の授業もある。
どうしてもその日のうちに取りに行きたかったのだ。
お兄さんは、山の麓まで一緒に階段を下りてくれた。
麓のほうから、僕を探す人の声がした。
「もう大丈夫だね、じゃあ俺はもう行くよ。車も停めっぱなしだし。」
そう言って、お兄さんは手を振った。
無事、家に帰った僕は両親にこっぴどく怒られた。
もう夜の10時だった。
家の前にはガキ大将もいて泣いていた。
ガキ大将の親にゲンコツで殴られて、親子で頭を下げられた。
「このバカ息子!お前のせいでクラスメイトが遭難して死ぬところだったんだぞ!」
と親に怒鳴られ、殴られ、とんでもなく怒られて、ガキ大将は鼻水と涙でぐちゃぐちゃの顔だった。
ちょっとスカッとしたのは内緒だ。
その後、僕は、ガキ大将にいじめられることはなくなった。
穏やかな学校生活を送っている。
あの時、一緒に山の中を歩いてくれたお兄さんはどうしているだろうか。
新しい彼女できたかな。
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