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第7話「炎の前触れ」
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夜が深まるほどに、王都の空気は妙に湿っていた。
窓の外に広がるのは、静けさと闇。
けれど、そこには確かに、“何か”が渦巻いていた。
セイルが王宮の一室で就寝の準備をしていたその時。
ノックもなく扉が開いた。
「レイグラン殿下の命により、身柄を保護します」
黒衣の男たちが数名、無表情のまま室内へと押し入る。
否応なく腕を掴まれ、セイルは抵抗する間もなく引きずられた。
その目には、警備の紋章ではなく──
見覚えのない、古い家紋が刻まれていた。
(これは……正式な王命じゃない)
直感でそう理解したが、声は出なかった。
薄暗い回廊を抜け、連れていかれたのは、
王宮の地下でも封鎖された“旧議事堂”。
そこにはすでに数名の男たちが待っていた。
「よく来たな、“特異番”。我々は、お前に“祖国の秩序”を取り戻してもらう」
穏やかな声音で語るのは、保守派の中でも特に過激とされる老貴族──
元宰相・クラウス卿だった。
「君が番である限り、この国は混乱する。
王太子殿下が本当に愛を貫きたいのであれば、“君の存在”は消すしかないのだよ」
その言葉に、セイルは蒼白になった。
番であることが罪ならば、
自分の存在そのものが、王太子の未来を蝕んでしまう。
(僕が、いなくなれば……)
「……レイグランは、あなたたちの都合で動くような人ではありません」
震える声でそう返した時、クラウスは皮肉げに微笑んだ。
「では、試してみよう。
愛とはどれほど脆く、そして──どれほど愚かか」
その頃、執務室にいたレイグランの元へ、急報が飛び込んだ。
「殿下! セイル様が、所在不明です!」
紙を落としかける手をレイグランは止め、その場に立ち上がる。
「地下へ向かう者を見たという証言が複数……」
彼の目が、鋭く光った。
「……クラウスか。動いたな」
執務服の上から外套を羽織り、腰の剣を手にする。
「探せ。城内すべてをくまなく。俺が行くまで、絶対に手を出すな」
その声は、怒りに震えていた。
たった一人の番を、愛する者を──
もう二度と、誰にも奪わせはしない。
その夜、王都の空には雲が垂れ込み、雷の兆しが走った。
静けさの裏で、ひとつの嵐が、確かに動き始めていた。
窓の外に広がるのは、静けさと闇。
けれど、そこには確かに、“何か”が渦巻いていた。
セイルが王宮の一室で就寝の準備をしていたその時。
ノックもなく扉が開いた。
「レイグラン殿下の命により、身柄を保護します」
黒衣の男たちが数名、無表情のまま室内へと押し入る。
否応なく腕を掴まれ、セイルは抵抗する間もなく引きずられた。
その目には、警備の紋章ではなく──
見覚えのない、古い家紋が刻まれていた。
(これは……正式な王命じゃない)
直感でそう理解したが、声は出なかった。
薄暗い回廊を抜け、連れていかれたのは、
王宮の地下でも封鎖された“旧議事堂”。
そこにはすでに数名の男たちが待っていた。
「よく来たな、“特異番”。我々は、お前に“祖国の秩序”を取り戻してもらう」
穏やかな声音で語るのは、保守派の中でも特に過激とされる老貴族──
元宰相・クラウス卿だった。
「君が番である限り、この国は混乱する。
王太子殿下が本当に愛を貫きたいのであれば、“君の存在”は消すしかないのだよ」
その言葉に、セイルは蒼白になった。
番であることが罪ならば、
自分の存在そのものが、王太子の未来を蝕んでしまう。
(僕が、いなくなれば……)
「……レイグランは、あなたたちの都合で動くような人ではありません」
震える声でそう返した時、クラウスは皮肉げに微笑んだ。
「では、試してみよう。
愛とはどれほど脆く、そして──どれほど愚かか」
その頃、執務室にいたレイグランの元へ、急報が飛び込んだ。
「殿下! セイル様が、所在不明です!」
紙を落としかける手をレイグランは止め、その場に立ち上がる。
「地下へ向かう者を見たという証言が複数……」
彼の目が、鋭く光った。
「……クラウスか。動いたな」
執務服の上から外套を羽織り、腰の剣を手にする。
「探せ。城内すべてをくまなく。俺が行くまで、絶対に手を出すな」
その声は、怒りに震えていた。
たった一人の番を、愛する者を──
もう二度と、誰にも奪わせはしない。
その夜、王都の空には雲が垂れ込み、雷の兆しが走った。
静けさの裏で、ひとつの嵐が、確かに動き始めていた。
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