24 / 25
第24話「祝福の儀、そして──」
しおりを挟む
王城の正殿。
ふたりの契りを公式に認め、国として祝福する儀式の日が訪れた。
王族としての結婚ではなく、
“未来を共に歩む契約者”として、堂々と認められる儀。
王妃や宰相をはじめ、多くの来賓が見守る中――
セイルは、白銀の刺繍が施された衣を身にまとっていた。
「……似合ってるよ、セイル」
控室でそう言ったレイグランは、
自身も王太子としての正装を崩さず、それでいてどこか“新たな覚悟”を纏っていた。
「これが“番の代わり”なら、贅沢すぎるって思ってた。
でも今は……誇らしく思うよ」
「代わりなんかじゃない。“唯一”なんだ。君が選んだように、俺も君を選んだ」
儀式は静かに、しかし厳かに進んでいく。
王の前に跪くふたり。
国の守護を司る魔法具が頭上にかざされ、淡く輝く。
「王太子レイグラン・アルミナス。
そして、セイル・アーデル。
この日より、汝らふたりの契りは、王政において正式に認められる」
場内から、拍手と歓声が湧き上がった。
かつて“番でなければありえない”とされていた契りが、
ついにこの国で“公”として立ち上がった瞬間だった。
儀式が終わり、夜になって。
ふたりきりの小さな宴が、王城の離れの一室で開かれていた。
セイルはグラスを手に、少し頬を染めながら言った。
「……ねえ、これから僕は“何”になっていくんだろう」
王妃でもない、正室という立場でもない。
でも、彼の隣には確かにいる。
それは、“名前”にできない関係。
レイグランは微笑んだ。
「君は君だ。それでいい」
「……それじゃ、ちょっとズルい答えだな」
セイルは笑った。
でもその胸の奥に、ゆっくりと確信が芽生えていく。
“誰かの形に収まる必要なんてない”。
ふたりの形は、ふたりで決めればいい。
「レイグラン」
「ん?」
「……これからも、“あなたを選び続ける”って約束してもいい?」
その言葉に、王太子はほんの少しだけ、まぶたを伏せて――
やがて静かにうなずいた。
「……なら俺も、君を愛し続けることを誓おう。
――番なんかじゃなく、“君”だから、ずっと」
月明かりが、ふたりを包む。
国を変えた恋。
それは始まりでもあり、終わりのない旅路の約束でもあった。
この国の歴史に刻まれる、新しい愛のかたち。
ふたりの契りは、“血”ではなく“心”で結ばれた、永遠の物語。
──End.
ふたりの契りを公式に認め、国として祝福する儀式の日が訪れた。
王族としての結婚ではなく、
“未来を共に歩む契約者”として、堂々と認められる儀。
王妃や宰相をはじめ、多くの来賓が見守る中――
セイルは、白銀の刺繍が施された衣を身にまとっていた。
「……似合ってるよ、セイル」
控室でそう言ったレイグランは、
自身も王太子としての正装を崩さず、それでいてどこか“新たな覚悟”を纏っていた。
「これが“番の代わり”なら、贅沢すぎるって思ってた。
でも今は……誇らしく思うよ」
「代わりなんかじゃない。“唯一”なんだ。君が選んだように、俺も君を選んだ」
儀式は静かに、しかし厳かに進んでいく。
王の前に跪くふたり。
国の守護を司る魔法具が頭上にかざされ、淡く輝く。
「王太子レイグラン・アルミナス。
そして、セイル・アーデル。
この日より、汝らふたりの契りは、王政において正式に認められる」
場内から、拍手と歓声が湧き上がった。
かつて“番でなければありえない”とされていた契りが、
ついにこの国で“公”として立ち上がった瞬間だった。
儀式が終わり、夜になって。
ふたりきりの小さな宴が、王城の離れの一室で開かれていた。
セイルはグラスを手に、少し頬を染めながら言った。
「……ねえ、これから僕は“何”になっていくんだろう」
王妃でもない、正室という立場でもない。
でも、彼の隣には確かにいる。
それは、“名前”にできない関係。
レイグランは微笑んだ。
「君は君だ。それでいい」
「……それじゃ、ちょっとズルい答えだな」
セイルは笑った。
でもその胸の奥に、ゆっくりと確信が芽生えていく。
“誰かの形に収まる必要なんてない”。
ふたりの形は、ふたりで決めればいい。
「レイグラン」
「ん?」
「……これからも、“あなたを選び続ける”って約束してもいい?」
その言葉に、王太子はほんの少しだけ、まぶたを伏せて――
やがて静かにうなずいた。
「……なら俺も、君を愛し続けることを誓おう。
――番なんかじゃなく、“君”だから、ずっと」
月明かりが、ふたりを包む。
国を変えた恋。
それは始まりでもあり、終わりのない旅路の約束でもあった。
この国の歴史に刻まれる、新しい愛のかたち。
ふたりの契りは、“血”ではなく“心”で結ばれた、永遠の物語。
──End.
1
あなたにおすすめの小説
見捨てられた(無自覚な)王女は、溺愛には気付かない
みん
恋愛
精霊に護られた国ルテリアル。精霊の加護のお陰で豊かで平和な国ではあったが、近年ではその精霊の加護も薄れていき、他国から侵略されそうになる。戦いを知らない国王は、スネフリング帝国に助けを求めるが、その見返りに要求されたのは──。
精霊に護られた国の王女として生まれたにも関わらず、魔力を持って生まれなかった事で、母である王妃以外から冷遇されているカミリア第二王女。このカミリアが、人質同然にスネフリング帝国に行く事になり─。
❋独自設定有り。
❋誤字脱字には気を付けていますが、あると思います。すみません。気付き次第修正していきます。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】一途すぎる公爵様は眠り姫を溺愛している
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
リュシエンヌ・ソワイエは16歳の子爵令嬢。皆が憧れるマルセル・クレイン伯爵令息に婚約を申し込まれたばかりで幸せいっぱいだ。
しかしある日を境にリュシエンヌは眠りから覚めなくなった。本人は自覚が無いまま12年の月日が過ぎ、目覚めた時には父母は亡くなり兄は結婚して子供がおり、さらにマルセルはリュシエンヌの親友アラベルと結婚していた。
突然のことに狼狽えるリュシエンヌ。しかも兄嫁はリュシエンヌを厄介者扱いしていて実家にはいられそうもない。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、若きヴォルテーヌ公爵レオンだった……。
『残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました』『結婚前日に友人と入れ替わってしまった……!』に出てくる魔法大臣ゼインシリーズです。
表紙は「簡単表紙メーカー2」で作成しました。
家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?
しゃーりん
恋愛
婚約者を妹に取られる。
そんな小説みたいなことが本当に起こった。
婚約者が姉から妹に代わるだけ?しかし私はそれを許さず、慰謝料を請求した。
婚約破棄と共に跡継ぎでもなくなったから。
仕事だけをさせようと思っていた父に失望し、伯父のいる辺境に行くことにする。
これからは辺境で仕事に生きよう。そう決めて王都を旅立った。
辺境で新たな出会いがあり、付き合い始めたけど?というお話です。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
〖完結〗旦那様が私を殺そうとしました。
藍川みいな
恋愛
私は今、この世でたった一人の愛する旦那様に殺されそうになっている。いや……もう私は殺されるだろう。
どうして、こんなことになってしまったんだろう……。
私はただ、旦那様を愛していただけなのに……。
そして私は旦那様の手で、首を絞められ意識を手放した……
はずだった。
目を覚ますと、何故か15歳の姿に戻っていた。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全11話で完結になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる