『聖女の力が暴走した結果、無自覚にヤンデレ皇子を落としてしまった件』

春夜夢

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『第3話:お前の力は、誰にも渡さない』

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「――冗談じゃ、ないですよね?」

ベッドの上、彼に押し倒された姿勢のまま、私は絞り出すように言った。

レオン殿下は……いや、レオン様は、すぐにでも私に口づけしそうな距離にいて。
けれど、その青い瞳はまっすぐで、冗談など微塵も含まれていなかった。

「……俺が、本気でお前を“確かめたい”と思ったとして」

彼の手が、私の頬から、首筋、そして肩へと滑っていく。
その指先が触れるたび、身体の奥がじんわりと熱くなる。

「それが……お前の“癒しの力”のせいだとしたら?」

「癒し、って……でも、こんな……っ、くちびるを……」

「触れただけで癒せるなら、それが手であろうと、唇であろうと、関係ないはずだろう?」

なんでこの人は、こんなに理屈っぽく迫ってくるの!?
しかも、どこか理性的なふりをしながら、目の奥では野獣のように欲を滲ませて。

「やめて、くださいっ……!」

震える声を振り絞ると、彼はピタリと動きを止めた。

「……お前は、無自覚すぎる」

「えっ……?」

「こんなにも強力な癒しの力を持っていながら、それがどういう意味を持つかも理解していない……」

レオン様はそっと身を起こし、私の上に覆いかぶさるのをやめてくれた。

けれど――彼の声は冷たく、そして鋭くなっていた。

「……いいか、覚えておけ。お前の力は、兵士を回復させる程度で収まるものじゃない。魔王さえ屈服させる可能性を持つ、【魅了と快楽による支配】の力だ」

「っ……そ、そんな……」

「だからこそ、俺以外に触れるな。……誰にも、お前を渡さない」

その言葉が、胸の奥にずしんと響いた。

それは命令だった。警告だった。
けれど同時に、なぜか少しだけ、心が跳ねた。

レオン様は、私を守ろうとしている……?

「お前の力を欲しがる者は、これから幾人も現れる」

「……でも、私は癒したいんです。傷ついた人を、助けたい」

「なら、その力で癒せ。――俺だけを」

「……えっ?」

再びレオン様の瞳が私を見つめる。その蒼が、炎のように熱かった。

「“俺のもの”として、生きろ。……それが嫌なら、二度と俺の前に現れるな」

そして彼は部屋を出て行った。

残された私は、シーツの上で膝を抱えたまま、胸の高鳴りが収まるのを待つしかなかった。

自分が、何を巻き込んでしまったのかもわからぬまま――
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