月影の森の誓い

春夜夢

文字の大きさ
5 / 9

5

しおりを挟む
夜明けの森は、静寂と冷たい風に包まれていた。
アレンはひとり、湖のほとりに座り込んでいた。
月影の中で交わした約束の言葉──「必ず戻る」。
その声が、耳の奥で今も残響している。

ルカがいなくなってから、すでに半月が過ぎていた。
森にはルカの気配が残り、湖の水面はまだ微かに銀色に光っている。
アレンはその光に手を伸ばし、そっと呟いた。

「……あなたは、今どこにいるの……?」

彼は涙をこらえ、杖を握る。
ルカを探すために、魔法の研究を重ね、森の精霊セリスにも教えを請うた。
だが、セリスは静かに首を振るだけだった。

「ルカは、自らの運命と戦っているの。
あなたができるのは……彼を信じること。」

アレンは唇を噛み、目を閉じた。
信じること──それが一番難しい。

一方その頃、ルカは王国の外れ、荒れ果てた山岳地帯にいた。
魔族の襲撃で負傷し、獣の姿のまま倒れた彼を助けたのは、放浪の旅人だった。
その旅人から聞いた噂で、ルカは知る。
──王国が、魔族の勢力に呑み込まれようとしている。

「……アレン……」

息を吐くたびに胸が痛む。
離れた距離の中でも、ルカの中にアレンの気配が生きている。
彼の笑顔、声、温もり。
すべてが支えとなり、ルカは再び立ち上がる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

この恋は決して叶わない

一ノ清たつみ(元しばいぬ)
BL
元勇者のおっさんが、ただの何でも屋だと偽って現役の勇者達と旅に出るお話。 ???×おっさん 異世界から連れて来られたいたいけな勇者や生意気な騎士達の面倒を見させられてうっかり好かれてしまうし、昔の仲間やペット、宿敵にまでにちょっかいをかけられたりしておっさんも大変です。 ダメ親父を気取ってはいますが、本当はかっこよかったのです。 ※8万字程度 ※ぐいぐい来る若者(?)にたじろぐおっさん ※タイトル回収は最後、メリバ気味ですので本当にご注意ください ※ライト気味なBLでストーリー重視 ※pixivやムーンライトノベルズ様にも掲載中 ※執筆が前すぎて一人称

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

祖国に棄てられた少年は賢者に愛される

結衣可
BL
 祖国に棄てられた少年――ユリアン。  彼は王家の反逆を疑われ、追放された身だと信じていた。  その真実は、前王の庶子。王位継承権を持ち、権力争いの渦中で邪魔者として葬られようとしていたのだった。  絶望の中、彼を救ったのは、森に隠棲する冷徹な賢者ヴァルター。  誰も寄せつけない彼が、なぜかユリアンを庇護し、結界に守られた森の家で共に過ごすことになるが、王都の陰謀は止まらず、幾度も追っ手が迫る。   棄てられた少年と、孤独な賢者。  陰謀に覆われた王国の中で二人が選ぶ道は――。

もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた

谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。 就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。 お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中! 液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。 完結しました *・゚ 2025.5.10 少し修正しました。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

処理中です...