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夜明け前の空が淡く白み始める。
包囲された廃ビルの前で、ドローンの光が交錯し、
無数の銃口がふたりを狙っていた。
「……来るぞ、叶多」
「分かってる……やるしかねぇ」
足元のアスファルトが震えるほどの数の部隊。
〈シーカーズ〉の精鋭が包囲を固め、逃げ場は完全に塞がれている。
それでも――ふたりは目をそらさなかった。
「目標、捕縛優先。殺傷許可はレベル3」
無機質な声が拡声器から響く。
冷たい命令。
対して、叶多の心臓は熱く鳴っていた。
「ルカ、俺の合図で——走る」
「うん。君となら、どこまでも」
その言葉が終わった瞬間——
爆音。
叶多が床に落ちていた煙幕弾を拾い、地面に叩きつけた。
白い煙が一気に広がり、視界がゼロになる。
同時にルカの身体が動いた。
「——今だっ!!」
ルカは煙の中を風のように駆け抜ける。
銃声が連続で響き、火花が夜気を裂いた。
だがルカは、そのすべてを読み切るように身を翻し、腕で弾丸をそらす。
人間では追いつけない速さだった。
「目標、右へ移動!追撃部隊を展開せよ!」
兵士たちが散開する中、叶多はルカの背中を追った。
瓦礫を飛び越え、ビルの影をすり抜ける。
そのたびにルカの腕が伸び、叶多を庇うように引き寄せた。
「ルカ!」
「大丈夫、俺がいる!」
正面から2人の兵士が飛び出す。
閃光が走る——が、ルカは一歩も止まらなかった。
低い姿勢で踏み込み、兵士の銃を払い落とし、
そのまま踵で地面を蹴ってもう一人を壁に叩きつける。
まるで戦うために生まれた影。
でも、そこにあるのは“怒り”でも“本能”でもなかった。
叶多を生かすための、純粋な“意志”だった。
「叶多、手を!」
「おう!」
ルカが手を伸ばし、叶多がその手を掴む。
一瞬のタイミングで、ふたりはビルの裏通りへと滑り込む。
だが、追撃は終わらない。
上空からのサーチライトが追いかける。
ドローン部隊が屋根の上を滑るように降下してくる。
「包囲を突破するしかない!」
「分かってる……俺たちなら、できる!」
ふたりは視線を交わし、息を合わせた。
ルカが地面を強く蹴る。
夜明けの空へと跳び上がり、屋上のドローン部隊に突っ込んだ。
閃光。爆風。
金属の翼が弾け飛び、火花が夜明けの街を照らす。
「すげぇ……」
「君を守るためだもの」
ルカが微笑むと同時に、叶多も走り出した。
息が荒くても、心は軽かった。
ふたりなら、生き延びられる。
背後で兵士たちが追いすがる。
それでも、ふたりの影は振り返らなかった。
ただ前へ。
夜明けの風を切り裂きながら、
〈影〉と〈少年〉は、世界の包囲を正面から突破した——!
包囲された廃ビルの前で、ドローンの光が交錯し、
無数の銃口がふたりを狙っていた。
「……来るぞ、叶多」
「分かってる……やるしかねぇ」
足元のアスファルトが震えるほどの数の部隊。
〈シーカーズ〉の精鋭が包囲を固め、逃げ場は完全に塞がれている。
それでも――ふたりは目をそらさなかった。
「目標、捕縛優先。殺傷許可はレベル3」
無機質な声が拡声器から響く。
冷たい命令。
対して、叶多の心臓は熱く鳴っていた。
「ルカ、俺の合図で——走る」
「うん。君となら、どこまでも」
その言葉が終わった瞬間——
爆音。
叶多が床に落ちていた煙幕弾を拾い、地面に叩きつけた。
白い煙が一気に広がり、視界がゼロになる。
同時にルカの身体が動いた。
「——今だっ!!」
ルカは煙の中を風のように駆け抜ける。
銃声が連続で響き、火花が夜気を裂いた。
だがルカは、そのすべてを読み切るように身を翻し、腕で弾丸をそらす。
人間では追いつけない速さだった。
「目標、右へ移動!追撃部隊を展開せよ!」
兵士たちが散開する中、叶多はルカの背中を追った。
瓦礫を飛び越え、ビルの影をすり抜ける。
そのたびにルカの腕が伸び、叶多を庇うように引き寄せた。
「ルカ!」
「大丈夫、俺がいる!」
正面から2人の兵士が飛び出す。
閃光が走る——が、ルカは一歩も止まらなかった。
低い姿勢で踏み込み、兵士の銃を払い落とし、
そのまま踵で地面を蹴ってもう一人を壁に叩きつける。
まるで戦うために生まれた影。
でも、そこにあるのは“怒り”でも“本能”でもなかった。
叶多を生かすための、純粋な“意志”だった。
「叶多、手を!」
「おう!」
ルカが手を伸ばし、叶多がその手を掴む。
一瞬のタイミングで、ふたりはビルの裏通りへと滑り込む。
だが、追撃は終わらない。
上空からのサーチライトが追いかける。
ドローン部隊が屋根の上を滑るように降下してくる。
「包囲を突破するしかない!」
「分かってる……俺たちなら、できる!」
ふたりは視線を交わし、息を合わせた。
ルカが地面を強く蹴る。
夜明けの空へと跳び上がり、屋上のドローン部隊に突っ込んだ。
閃光。爆風。
金属の翼が弾け飛び、火花が夜明けの街を照らす。
「すげぇ……」
「君を守るためだもの」
ルカが微笑むと同時に、叶多も走り出した。
息が荒くても、心は軽かった。
ふたりなら、生き延びられる。
背後で兵士たちが追いすがる。
それでも、ふたりの影は振り返らなかった。
ただ前へ。
夜明けの風を切り裂きながら、
〈影〉と〈少年〉は、世界の包囲を正面から突破した——!
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