落ちこぼれ予言者と、世界を救うただの少年

春夜夢

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未来が見えると、未来を変えたくなる

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その日も、空は穏やかに晴れていた。
 けれど、少女の胸の中では、嵐が渦を巻いていた。

 「……また、外れた」

 村のはずれ、小さな丘の上。
 木陰に腰を下ろした少女──フィノは、ため息まじりに古ぼけた本を閉じた。

 「このままじゃ、“予言者失格”だよね……」

 予言の才能をもって生まれたはずのフィノだったが、彼女の“未来視”はあまりにも不安定だった。
 当たったり、外れたり。そして何より──「変わってしまう」。

 なぜなら彼女は、未来が見えてしまうと、“そうならないように”動いてしまうのだ。

 ──猫が屋根から落ちる未来?
 →干し草の山を置いて助ける。

 ──隣の子が大怪我する未来?
 →前もってその場に行かせないようにする。

 その結果、フィノの予言は「よく外れる」と言われ、名家からは“失敗作”と烙印を押され、辺境へ追いやられた。

 「それでも私は、“救える未来”があるなら、放っておけないだけなんだよ……」

 そう呟いたフィノの元に、一陣の風が吹いた。
 木々の間から、誰かの足音が近づいてくる。

 ──カサ、カサ……

 「……誰?」

 警戒して振り向いたフィノの前に現れたのは──血の気の引いた顔、ボロボロの上着。
 まるで追われているかのように、はぁはぁと肩で息をする少年だった。

 「た、たすけて……!」

 「え?」

 「僕……王都から逃げてきたんだ……!」

 その言葉と同時に、フィノの視界に“未来”が見えた。

 ──この少年の行動が、未来を変える。

 ──この少年が、世界を救う“鍵”になる。

 そして、もう一つ。

 ──この出会いが、自分の運命さえも変える。

 「……だったら、助けるしかないよね」

 少女は立ち上がった。未来を“外す”ために。
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