『猫又見習い、江戸を斬る ~陰陽師見習いと怪異取り締まり帳~』

春夜夢

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第19話:五街道封陣戦、開戦

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江戸を囲むように張り巡らされた五つの結界陣――
通称「五街道封陣」。

それぞれが、江戸の主要な方角を押さえ、
すべてが起動すると“中央神座”が絶対封印陣として完成する。

「五つの封印点は、東:浅草、南:品川、西:高田、北:王子、中央:神座塔」

黒猫連が手配した地図を前に、綾太郎がうなずく。

「四つを潰せば、神座の起動は阻止できる。
 逆に、どれか一つでも守られれば、江戸全体が封印される」

「タイムリミットは?」

「日の出まで。あと六時間だ」

▶ 東・浅草
「ここは私が!」

桐子が印を切りながら、風のように駆ける。

敵は、結界獣“風刃”。
風そのもののように動くその姿に、
桐子は術式を張り巡らせ、瞬時に封を施した。

「風は、止めるよりも“受け流す”方が早い――!」

式陣が爆ぜ、東の封印が解除される。

▶ 南・品川
「こっちは任せてくれや」

現れたのは、あの剣客・九頭竜新十郎。
静かに太刀を構え、封陣に潜む“火狐”と激突。

「燃えるものは、斬るしかねぇ」

ひと太刀で火を断ち、狐を払い、南が落ちる。

▶ 北・王子
「“裏の陰陽師”舐めんなよ……!」

黒猫連の若き術士が、毒を帯びた“霧鬼”と対峙。

己の血を式陣に混ぜ、命を削る結界破り。

「俺たちは、“見捨てられた者”の代表なんだよ!」

北もまた、解放された。

▶ 西・高田
「“シロ”、やれるか?」

シロはうなずき、猫又形態に変化。
白い尾が光を帯び、敵の“影獣”を斬り裂いた。

影を断つには、何よりも“名前”が必要だった。

「俺の名は、シロ!」

その叫びとともに、封陣が破られる。

▶ 中央・神座塔
「四方、落とされたか……!」

神座の間で、左京将監が顔をしかめる。

「だが、最後はこの私が――」

そのとき。

「――よぉ、待たせたな」

綾太郎が、塔の屋根に現れた。

風を背に、月を背負い、尾がゆらりと揺れる。

「てめぇと俺の決着、つけに来たぜ」

左京将監の目が鋭くなる。

「綾太郎……やはり来たか」

「お前の“都合のいい理想”なんざ、全部ぶち壊してやるよ」

刃と刃が交わる音が、神座塔の空に鳴り響く。

🌙次回:「神座決戦、陰陽師 vs 猫又」へつづく
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