『猫又見習い、江戸を斬る ~陰陽師見習いと怪異取り締まり帳~』

春夜夢

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第20話:神座決戦、陰陽師 vs 猫又

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神座塔の頂。
浮かび上がる式盤の光の中で、綾太郎と左京将監が相対していた。

「綾太郎……お前は“特異点”だ。
 人でも妖でもない、純粋な力の媒体。
 お前こそ、世界を変える器だ」

「器だぁ?」

綾太郎の目が鋭く光る。

「てめぇらはいつもそうだ――
 “使えるか使えないか”でしか、誰かを見ねぇ」

「使うことが何だというのだ。
 世界は秩序を必要とする。そのための力に、何が悪い?」

左京が腕を振ると、巨大な式陣が天に伸びる。
雷のような妖力が綾太郎を包む。

「なら俺は、“秩序をぶっ壊す”側に立つ!」

綾太郎が宵桜を抜き、雷を斬る。

刃と術式が空中で衝突し、神座塔が震える。

「封印術・双滅輪!」

左京将監が放ったのは、両手で操る二重式盤。

時間を歪め、相手の動きを止める最上級の術だった。

「止まれ、“猫又”!」

綾太郎の動きが、ぴたりと止まる。

「ふん……これで終わりだ」

左京が歩み寄ろうとした、その時。

「……止める、なよ」

一瞬、空気が揺れた。

「猫は、“止まる”ように見せかけてるときこそ、一番危ねぇんだぜ」

刹那。
綾太郎が宵桜を回転させ、双滅輪の結界を打ち砕いた。

「お前、猫舐めすぎなんだよ!」

斬撃が、左京の袖を裂く。

「くっ……!」

「お前さ、何もわかってねぇ」

綾太郎は静かに言った。

「封印ってのはな、誰かを“閉じ込める”んじゃねぇ。
 本当は、“守る”ためのもんだったんだ」

「……」

「俺は、あのばあさんにそう教わった。
 “強い力ほど、自分で抑えられるようになりな”ってな」

「黙れ!!」

左京将監が術符を一斉に放つ。
炎、水、風、影――あらゆる属性が襲いかかる。

だがその中心で、綾太郎の姿が光を放った。

「――“名を持った者”の力、見せてやるよ」

刃が風を裂き、影を祓い、すべてを断つ。

一閃。

左京の術盤が砕け散った。

「……終わりだ」

綾太郎が最後に、封印札を左京の胸に貼る。

「“力”ってのは、“誰かのために振るえる”やつにこそ、託されるんだ」

左京将監の意識が薄れ、倒れ込む。

神座塔の光が静かに消え、
江戸を包んでいた結界が、完全に解除された。

町には、朝が戻ってくる。

綾太郎は、刀を納めながらぽつりと言った。

「……さて。これで、“猫又見習い”は卒業かな」

🌙次回:「神座の夜明けと、新たな道」へつづく
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