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第29話 君がくれた未来に、今度は俺が応えたい
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週末。
空は高く、空気は少し冷たかった。
俺が選んだ場所は、十年前の“卒業式の日”に、遥と最後に会った場所。
その時、何も言えなかった俺が、今日――ようやく言葉を持って、ここに来た。
「ここ、覚えてる?」
「もちろん。……君が、俺を置いて逃げた場所だ」
「……言い方、やめろ」
笑いながらも、遥は少しだけ目を細めた。
「でもな、あの日、お前を見送ったあとに思ったんだ。
“もう一度会えたら、絶対に手を離さない”って」
「それ、先に言われた」
ポケットから、小さな箱を取り出す。
遥からもらったのと同じ黒いケース。
開ければ、そこには――シンプルな銀のリング。
「お前がくれた未来に、今度は俺が応えたい」
遥が息を飲んだのがわかった。
「俺は、選ばれたことに甘えてばかりだった。
でも、今度は自分の意志で言いたい。
――これからも、一緒にいてください。どこへでも」
遥はゆっくりと箱を受け取ったあと、何も言わずに俺を抱きしめた。
「……ありがとう。
君に“選び返して”もらえるなんて、思ってなかった」
「バカ。ずっと、お前だけだったよ」
しばらく、言葉もなく肩を重ねたまま、空を見上げた。
十年前、離れた場所。
だけど今は――ふたりの始まりを刻み直す場所になった。
遥は、そっと指輪を取り出して、俺の左手薬指にはめてくれた。
「……似合うな。俺の隣に、ぴったりだ」
「……俺も。ずっと、隣にいたくなる人なんて、お前だけだったよ」
風が吹いた。
でも、寒さはなかった。
この指にある重みと、隣にいるぬくもりが――
何よりも、あたたかかった。
空は高く、空気は少し冷たかった。
俺が選んだ場所は、十年前の“卒業式の日”に、遥と最後に会った場所。
その時、何も言えなかった俺が、今日――ようやく言葉を持って、ここに来た。
「ここ、覚えてる?」
「もちろん。……君が、俺を置いて逃げた場所だ」
「……言い方、やめろ」
笑いながらも、遥は少しだけ目を細めた。
「でもな、あの日、お前を見送ったあとに思ったんだ。
“もう一度会えたら、絶対に手を離さない”って」
「それ、先に言われた」
ポケットから、小さな箱を取り出す。
遥からもらったのと同じ黒いケース。
開ければ、そこには――シンプルな銀のリング。
「お前がくれた未来に、今度は俺が応えたい」
遥が息を飲んだのがわかった。
「俺は、選ばれたことに甘えてばかりだった。
でも、今度は自分の意志で言いたい。
――これからも、一緒にいてください。どこへでも」
遥はゆっくりと箱を受け取ったあと、何も言わずに俺を抱きしめた。
「……ありがとう。
君に“選び返して”もらえるなんて、思ってなかった」
「バカ。ずっと、お前だけだったよ」
しばらく、言葉もなく肩を重ねたまま、空を見上げた。
十年前、離れた場所。
だけど今は――ふたりの始まりを刻み直す場所になった。
遥は、そっと指輪を取り出して、俺の左手薬指にはめてくれた。
「……似合うな。俺の隣に、ぴったりだ」
「……俺も。ずっと、隣にいたくなる人なんて、お前だけだったよ」
風が吹いた。
でも、寒さはなかった。
この指にある重みと、隣にいるぬくもりが――
何よりも、あたたかかった。
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