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夜の事務所。
昨日と同じランプの灯り。
同じソファ。
同じ二人――でも、胸の奥の空気は、もうあの頃とは違っていた。
陽翔と蓮は、今日も隣に座っていた。
手は、もう自然に繋いでいる。
指先が絡むことにも慣れ始めて、
そこに特別な“照れ”ではなく、静かな“安心”が宿っていた。
「……この感じ、好きだな」
陽翔がぽつりと呟く。
蓮は返事をせず、ただ指を少しだけ強く握り返した。
言葉よりも、その手の力で気持ちが伝わってくる。
「なあ、蓮さん」
「ん」
「これ……付き合ってるって、言っていい?」
蓮の指がぴくりと止まった。
夜の空気がふっと張り詰める。
陽翔は、怖いとかじゃなく――
ちゃんとこの瞬間を、受け止めようとしていた。
「俺さ、こういうの、ちゃんとしたいんだ」
「……」
「曖昧なままじゃなくて……“好き”って、言いたい」
蓮の瞳が、静かに陽翔を見る。
夜の光がその瞳に映り、静かに揺れていた。
今までみたいにからかい合う声も、軽口もなく、
ただ真っすぐに見つめる視線だけが、ふたりの間に落ちた。
「……ほんと、お前って」
蓮は少し目を細め、息を吐いた。
言葉の先に迷いはなかった。
ただ、胸の奥に隠していたものを、静かに吐き出すように――
「……俺も、お前のこと、好きだ」
「……!」
陽翔の胸の奥が、ぎゅっと掴まれるように鳴った。
期待していた言葉なのに、聞いた瞬間、息が詰まる。
蓮はほんの少し照れたように目を逸らして、
「……何回も言わせんなよ」と呟いた。
「うわ、今の……ずるい」
「うるさい」
「……でも、嬉しい」
陽翔の声は震えていた。
けれど、その震えの奥には、確かな喜びがあった。
「俺も……蓮さんが好き」
ふたりの視線が、再びぶつかる。
夜の事務所の静けさが、まるでふたりを包み込むようだった。
蓮が、ゆっくりと陽翔の指を握り直した。
そのまま、軽く引き寄せる。
ソファに座るふたりの距離が、また少し縮まった。
「……これで、いいだろ」
「うん」
「……俺たち、付き合ってる」
「うん」
陽翔の頬に、ふっと微笑みが広がる。
蓮もほんの一瞬だけ、目元を緩めた。
大きな言葉も、派手な告白もいらなかった。
指先と声と目で、全部が伝わった。
*
「なあ、陽翔」
「ん」
「……これから、めんどくせぇくらい甘やかすなよ」
「それ、俺が言いたいセリフ!」
「……負けねぇからな」
「なにそれ、宣戦布告?」
「……みたいなもんだ」
陽翔は笑って、蓮の胸元に額を預けた。
抱きしめられるでも、キスをするでもない。
ただ、ふたりの心がゆっくりと寄り添う夜。
この瞬間から――
「曖昧な関係」は、ちゃんと恋人になった。
指先がもう、離れないように絡んでいる。
これが、ふたりの“名前を持つ関係”の始まりだった。
🕊️ 第23話 予告:「恋人になった夜」
手を繋いで、想いを交わした夜。
曖昧な関係は終わり、ふたりは“恋人”として新しい時間を迎える。
ただ一緒にいるだけで、心が溶けていく――そんな夜。
昨日と同じランプの灯り。
同じソファ。
同じ二人――でも、胸の奥の空気は、もうあの頃とは違っていた。
陽翔と蓮は、今日も隣に座っていた。
手は、もう自然に繋いでいる。
指先が絡むことにも慣れ始めて、
そこに特別な“照れ”ではなく、静かな“安心”が宿っていた。
「……この感じ、好きだな」
陽翔がぽつりと呟く。
蓮は返事をせず、ただ指を少しだけ強く握り返した。
言葉よりも、その手の力で気持ちが伝わってくる。
「なあ、蓮さん」
「ん」
「これ……付き合ってるって、言っていい?」
蓮の指がぴくりと止まった。
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陽翔は、怖いとかじゃなく――
ちゃんとこの瞬間を、受け止めようとしていた。
「俺さ、こういうの、ちゃんとしたいんだ」
「……」
「曖昧なままじゃなくて……“好き”って、言いたい」
蓮の瞳が、静かに陽翔を見る。
夜の光がその瞳に映り、静かに揺れていた。
今までみたいにからかい合う声も、軽口もなく、
ただ真っすぐに見つめる視線だけが、ふたりの間に落ちた。
「……ほんと、お前って」
蓮は少し目を細め、息を吐いた。
言葉の先に迷いはなかった。
ただ、胸の奥に隠していたものを、静かに吐き出すように――
「……俺も、お前のこと、好きだ」
「……!」
陽翔の胸の奥が、ぎゅっと掴まれるように鳴った。
期待していた言葉なのに、聞いた瞬間、息が詰まる。
蓮はほんの少し照れたように目を逸らして、
「……何回も言わせんなよ」と呟いた。
「うわ、今の……ずるい」
「うるさい」
「……でも、嬉しい」
陽翔の声は震えていた。
けれど、その震えの奥には、確かな喜びがあった。
「俺も……蓮さんが好き」
ふたりの視線が、再びぶつかる。
夜の事務所の静けさが、まるでふたりを包み込むようだった。
蓮が、ゆっくりと陽翔の指を握り直した。
そのまま、軽く引き寄せる。
ソファに座るふたりの距離が、また少し縮まった。
「……これで、いいだろ」
「うん」
「……俺たち、付き合ってる」
「うん」
陽翔の頬に、ふっと微笑みが広がる。
蓮もほんの一瞬だけ、目元を緩めた。
大きな言葉も、派手な告白もいらなかった。
指先と声と目で、全部が伝わった。
*
「なあ、陽翔」
「ん」
「……これから、めんどくせぇくらい甘やかすなよ」
「それ、俺が言いたいセリフ!」
「……負けねぇからな」
「なにそれ、宣戦布告?」
「……みたいなもんだ」
陽翔は笑って、蓮の胸元に額を預けた。
抱きしめられるでも、キスをするでもない。
ただ、ふたりの心がゆっくりと寄り添う夜。
この瞬間から――
「曖昧な関係」は、ちゃんと恋人になった。
指先がもう、離れないように絡んでいる。
これが、ふたりの“名前を持つ関係”の始まりだった。
🕊️ 第23話 予告:「恋人になった夜」
手を繋いで、想いを交わした夜。
曖昧な関係は終わり、ふたりは“恋人”として新しい時間を迎える。
ただ一緒にいるだけで、心が溶けていく――そんな夜。
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