『スキル0の俺が“女神の代行者”に指名されて、気づけば世界最強ハーレムでした』

春夜夢

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第1話『役立たずの烙印と、天界からのスカウト』

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「お前、やっぱりスキルゼロだったんだな。ははっ、笑える」

焚き火の前で、パーティーのリーダー・カイルが声を上げて笑う。
仲間たちも、それに続いて嘲笑を漏らした。

「探索スキルも、戦闘スキルも、回復スキルもなし。……一体何ができるってんだ?」

リク・アークライト――俺は、うつむいたまま何も言い返せなかった。

この世界《アト=セリア》では、すべての人間に生まれつき“スキル”が与えられる。
火を操る者、空を飛ぶ者、獣と話す者。
だが俺のスキル欄は、空白だった。

スキルゼロ。いわゆる“無資格者”。

15歳の時にその烙印を押され、どのギルドにも所属できず、唯一拾ってくれたのがこの冒険者パーティーだった。

――だった、のだ。

「明日から、お前はここまでな。もう足手まといはいらねぇんだよ」

「……分かったよ」

言い返す気力すら、残っていなかった。

俺は、夜の森をひとり歩き、月明かりを頼りに野営地を離れた。


---

崖下にある湖を見下ろす高台。
風が冷たい。

「……もう、どうでもいいかもな」

その瞬間だった。

空が割れた。

まるで天が裂けるように光が落ち、俺の身体を包んでいく。

「リク・アークライト。あなたを迎えに来ました」

「……誰?」

目の前に浮かぶ光の中から、
銀の髪と淡い蒼を宿す瞳の少女――いや、少女に見える“なにか”が現れた。

「私はリュミエール。この世界の“創造の女神”です」

「は……?」

「このまま死のうとしたあなたの魂が、呼び出したのです。
 リク。あなたに、私の“代行者”としての資格を与えます」

「待ってくれ、何言って……」

言い終わる前に、彼女が指を鳴らした。

【スキル:天界適合】【スキル:万象支配】【スキル:契約の鍵】……

目の前に、ありえない数のスキルが浮かび上がった。

「え……俺の、ステータス?」

「いまから、それはあなたのものになります」

「ちょっと待て、なにがどうなって……」

「説明は後。まずは、“生きて”。私があなたを選んだ理由は、それから明かします」

女神が手を差し伸べる。

そして次の瞬間、俺の身体は光に包まれ、消えていた。


---

目を覚ますと、そこは見たこともない大理石の神殿だった。

「……夢、じゃないよな」

傍らには、さっきの銀髪の女神――リュミエールが座っていた。

「ようこそ、私の神域へ。ここから、あなたの物語が始まります」

「物語って……俺、ただのスキルゼロだぞ?」

「それは人間界での評価。私は、あなたの“魂の構造”を見て選びました。
 あなたは、女神すら従える存在になれる素質がある」

「女神……すら?」

「ふふ。では、最初の“契約者”をご紹介しましょうか」

そう言って、リュミエールが指を鳴らす。

扉が開いた。

そして、現れたのは――
金髪碧眼、ふわりとしたドレス姿の、天使のような美少女だった。

「は、初めまして……。私はノア。精霊界から参りました」

「え、精霊?」

「私、リクさまのために、全力でお仕えしますっ!」

いきなり抱きつかれた。
ふわふわで、やわらかくて、香りがして、思考が止まる。

「ちょ、ちょっと……近い近い!」

「だって、リクさまに会えるの、楽しみにしてたんですもんっ!」

俺の、静かな人生は――
ここで、確実に終わった。

そして、別の意味で、はじまった。


---

◆次回予告
第2話『精霊の契約と、目覚める力』
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